今週の解答
[投資心理に関する問題]
中長期保有を前提に株を購入したあなた。ザラ場はどの程度の頻度で見るべき?
(1)可能な限りいつも
ザラ場とは寄付きと引けの間の時間、いわば、時間内取引にあたる市場です。ザラ場を見るということは、その日の終値だけでなく、板(売り買いのオーダー)の状況、値のつき方など、取引時間に株価がどう動いたのかを見るということです。
株価はさまざまな要因で変動します。株式投資をする上で、株価の変動を追いかけ、その変動に応じて適切な対処を行うことは非常に重要です。ですので、全く見ない、のは問題外です。あなたがデイトレーダーならば、勝負はザラ場のうちにつきます。したがって、少なくともポジションを抱えている間はザラ場の動きを注視する必要があるのはいうまでもないでしょう。ここで、中長期保有を前提に株を購入した場合でも、ザラ場を見る必要があるのかというのが、本日の問題点です。
ザラ場を時々しか見ないプロは多くいます。かってヘッジファンドに移った先輩などは、ゴルフ場から電話をかけてきて、「ヘッジファンドはいいぞ」と私を誘ってくれたことがあります。その頃、私自身はディーリングルームで、「あのシニアの連中はいつも居眠りしている」と言われていたものでした。しかし、相場が動き始めた時は、なぜか真っ先に売り買いしていました。居眠りしているようでいて、耳と神経は起きていたのです。
そういう我々もジュニアと呼ばれる頃には、ザラ場に貼り付いていた時期があります。おそらくどんな習い事でも、少なくとも数カ月間は、寝る間も惜しんで精進しないとモノにはならないのではないかと思います。プロはジュニア時代にその時期を過ごします。そして、材料に対する価格の反応や、値動きの癖を身体にたたき込むのです。また、プロの連中は自分が見ていなくても、上司や仲間の誰かがポジションを把握していて、何かことがあれば知らせてくれるのです。
中長期保有だからと、時々しか値動きをチェックしないでいて、知らないうちに想定外の動きをされていたならどうしますか?たとえば、前回見たときより3割ほど株価が下がっていたならどうしますか?時々しか見ないプロがいるのは、その時々のうちに次の動きの流れまでを読み込み、そうでない場合の対処法まであらかじめ決めておくからなのです。
ザラ場の動きはあなたを迷わせます。後から見ればつまらないような動きでも、目の前で動かれると一喜一憂してしまうものです。それで長期的な視野をなくしてしまうこともあります。しかし、それは上達へのプロセスなのです。価格変動のパターンや不条理さを身体で覚えるには、ザラ場を見るのが一番の早道です。お勤めの方でザラ場は見られないという方でも、1日だけでも有給休暇をとられて、材料と板、チャートを注視されてみることをお勧めします。
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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