今週の解答
[ニュースに関する問題]
アメリカで政策金利の引き上げが決まりました。以下の3つの日本株の業種のうち、このニュースが株価の上昇要因になると思われるものはどれでしょう?
(1)自動車
金融当局が政策金利を引き上げるとき、次のような効果を期待していると考えられます。
1)インフレ懸念を抑える
2)過熱気味の景気を抑える
3)通貨を防衛する
政策金利の上昇は、この3つのそれぞれに一定の効果を発揮します。もっとも、現在取り沙汰されている日本のゼロ金利政策の解除は、将来の金利引き下げの必要性に備えて、これ以上金利が下げられないというゼロの状態から、あらかじめ引き上げておくという意味合いが強いのです。したがって将来の金融政策の「幅」を確保するためには、デフレでない限り、景気が後退気味でない限り、通貨高の弊害がでていない限り、すみやかにゼロ金利を脱したほうがいいといえます。
アメリカが利上げを決定すると、低い円の金利と高いドルとの金利差はより広がります。つまり、ドルを持つことがますます金利面で有利となり、「円安ドル高」要因となります。逆に日本が利上げを決定すると、円とドルの金利差は縮まりますので、「円高ドル安」要因になります。
問題の「アメリカが利上げを決定」し、為替が円安に推移するとした場合、海外にモノを売っている輸出業者の業績にプラスに働きます。例えば、某社がアメリカで年間1億ドルの売上があるとします。1ドル110円であれば110億円の売上を計上することができます。これが円安で1ドル120円になったとすると、120億円の売上となり、10億円の売上が上積みされます。逆に海外から原材料などを仕入れ、国内で販売している企業は、円安により仕入れコストが上がることになるのです。
自動車メーカーは日本を代表する輸出業者です。いっぽう、建設や食品は内需関連だといえます。内需関連は為替レートの影響をあまり受けないか、円安によるコスト高の影響を受けるケースもあるでしょう。また、日本経済は外需に大きく依存しています。そのため、日経平均も円安で上がり、円高で下がる傾向にあります。
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プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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