あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[投資心理に関する問題]

あなたが保有する株式の株価が、年初来高値やチャートポイントの抵抗線など、いわゆる目標株価と目されるところに届きました。そのときとるべき行動としてもっとも適切なものはどれでしょう。

正解は・・・
(1)(2)(3)の全て

今回は、全ての選択肢が正解といえます。ただし、「下げ始めたら早めに売る」という条件がつきます。その条件さえ守れば、目標株価に届いた時は「売る」「買い増す」「様子を見る」のどれでも結構です。

私は相場での上げ下げは、所詮5分5分だとみなすべきという考え方をしています。経験を積み知識が増えれば、相場観が当たる確率が増すのは事実ですが、これで安心だというレベルにまで到達した人を知りません。むしろ生半可に相場観がよくなったために、無用な自信をつけて、相場が逆に行った場合の対処が遅れてしまう人ならたくさん知っています。百戦錬磨であるはずのプロのディーラーのなかにも、過信で滅びた人は多くいます。相場に入るには相場観が必要ですが、入ってしまった後は、上げ下げ5分5分なんだと、謙虚に思っていた方がいいのです。

株式を買ったなら、上げる確率は50%。下げる確率も50%。株価は常にぶれますので、あらかじめ想定していたぶれ以上に下げたなら、売って損切ります。そして、もう一度どこかのレベルで買うのか、あるいは売りを建てるのか、まったく別の銘柄で再起をはかるのか、いずれにせよ、いつかどこかで再挑戦するのです。波に乗れていない時には、辛抱強くいい波が来るのを待つのも一考です。自分が乗れていない時に、勝負を焦るのは禁物です。

勝負は波に乗れている時に行います。株式を買ったのなら、株価が上がった時が勝負です。そして今日の問題のように、目標株価に届いた時がまさに勝負時です。年初来高値やチャートポイントの抵抗線は、株価を上下に弾く力を秘めています。すなわち、そこに届いて、そこから下落する場合も、抜けて、そこから更に上昇する場合も、大きな動きになることが多いのです。

(1)のように「利益を確定」させるのがもっとも確実な勝ち方です。目標株価に届いたといっても、自分が買ったレベルによっては、それほどの利益にならないこともあるでしょう。しかし、利益の大小は自分だけの都合ですが、年初来高値やチャートポイントの抵抗線は誰にとっても意味のあるレベルですので、敬意を払う必要があります。ここでの利食いの利点は、とにかく資金を増やせたこと。次の動きに対して、フリーハンドでいられることです。

(2)のように「買い増す」のは、余勢をかって大勝負に出ることを意味します。大きく動く相場で、利益を最大限に膨らませるには、怖くても嵩にかかって攻める必要があります。これを「買い乗せ」といいます。買い乗せの怖いのは、下げ始めると、それまでの利益も含めてあっと言う間に吹き飛ばすことです。その利益を守るには、最後に買ったコストを基準に、下げ始めると早めに売り逃げることです。

(3)の「様子見」は、(1)(2)に比べて無策に聞こえますが、利が乗った状態での様子見は決して悪いことではありません。このとき、上伸するようだと、そのまま利を伸ばすか、買い乗せるかの選択ができます。この場合も、下げ始めたなら、早めに利益確定の売りを出します。

この他にも、一部だけでも利食うという選択肢があり、これにも一長一短があります。利食いに、これが絶対という決め手はないのです。利食いこそが真剣勝負であり、相場の醍醐味です。ですから、私は「利食い千人力」だの「頭と尻尾はくれてやれ」だのと、安易な利食いを勧める言葉を嫌っています。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

書籍

このコーナーが本になりました!第二弾発売中
矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2

マネーのまぐまぐ!で連載中の「目指せ!相場の勝ち組〜矢口新の『トレードセンス養成講座』」が本になりました。過去の問題から、特に相場力アップに役立つ50問をピックアップ。矢口氏の書き下ろし解説もついて、自分の頭を使って考え相場の“基礎体力”を養うためのヒントが満載です。ぜひご覧ください。

『矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2』の詳細はこちら

プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

メールマガジン

矢口新のメルマガ

さらに詳しく勉強してみたい方にはこちらの無料メルマガをおすすめします。

相場を知る・より安定した将来設計のために

投資運用の基本を押さえれば、やればやるほど上達します。自己責任の時代。相場で飯を食いたい。息の長い相場生活を送りたい。そんなあなたへ、相場のプロからひとこと、ふたこと。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!

メールアドレス 規約に同意して
まぐまぐ!・有料メルマガ
相場はあなたの夢をかなえる─有料版─

ご好評のメルマガ「相場はあなたの夢をかなえる」に、フォローアップで市場の動きを知る ー有料版ー が登場。本文は毎週月曜日の寄り付き前。フォローアップは週2〜3回、ホットなトピックについて、より忌憚のない本音を語る。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!

【840円/月(税込)/毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く)】

購読申込み