あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[投資心理に関する問題]

為替の信用取引でドル円をロングにして、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定の発表を待っているとき、発表があったとも思えないのに、ドル円が急に下落し始めました。その場合の取るべき行動は?

正解は・・・
(1)売る

私は常に投資と投機とでは相場に対する対応が違うと述べています、外貨預金などの外貨投資では、目先の価格のぶれなどに一喜一憂することはありません。のみならず、どんなに円高が進もうとも、ドルのままで使うことを考えれば、長期的なドル安円高ですら気にしなくていいのです。(参照:これといった理由も見当たらないのに、急速に円安が進みました。あなたがとるべき、もっとも適切な対応は?

いっぽう、投機での価格の逆行は、そのまま損失に繋がります。売られた理由など関係がありません。買って売られたなら、損するのです。損の拡大を防ぐには、損切りでも売るしかありません。

ドルが急に下落し始めたのには何らかの理由があります。市場がFOMCでの利上げを織り込んでいるときに、金利据え置きというリーク、あるいは、リークの噂が出れば、ドルは売られてしまいます。また、金利据え置きを織り込んでいるときには、利下げリークの噂などで売られます。また、FOMCの政策決定発表の直前といえど、他のドルの悪材料が出ないとは言い切れません。為替を動かす材料は、金融政策だけではないのです。

相場は誰かが大量に売れば下がります。その誰かとは、日本の自動車会社の実需のドル売り円買いかも知れません。あるいは、アメリカの投資家による日本株投資の為替手当てかも知れません。誰がなぜ売ったのかが分かれば、市場は安心して対応することができます。分からない場合には、自分たちで勝手に理由をでっちあげるのです。

そんな場合には「利下げがリークされた」などと噂が飛び交うこともあります。噂の出所を探すと、最初に自動車会社や投資家の売りを受けた銀行であったというようなことも起こります。あるいは、その銀行のカバー取引で売りを受けた銀行が、「あの銀行がこの時間に売るからには、当局の情報が漏れたに違いない」などと勝手に憶測します。当初の銀行が真実の顧客情報を明かさなかったために、市場は疑心暗鬼に陥るのです。また、関係者たちがそういった市場の不安心理を積極的に利用する場合もあります。

政府や企業が発表する数値を分析し、その国の市場や銘柄が魅力的かどうかを判断する投資は、その数値を信じるところから始まります。しかし、その数値はしばしば修正されたり、粉飾されたりします。計算の基準が変わることさえあります。投資はある意味、性善説的なゲームです。

短期売買などの投機が信じるのは価格だけです。投機には時間的な制限がありますので、「いずれ時間が証明するさ」などと、おっとりしていることが許されないのです。正しい情報でも、相場が動かなければ損益は発生しません。同時に、単なる噂でしかなくても、相場が動けば損益につながってしまうのです。

ここでの問題点は、相場がパニック的な動きをすると、早晩それを押し戻す動きが出てくるということです。パニック的な売りにつられて、自分も売ってしまうと、底値を売ってしまうことにもなりかねません。損失の拡大を防ぐためには、それでも売った方がいいのですが、戻り始めたなら買い戻さねばなりません。その売り買いのタイミングは、どんなに経験を積んでいても難しいのです。したがって、為替の信用取引など短期勝負のトレードでは、大きなイベントの前にはポジションを閉じておくのがプロの常識です。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「投資心理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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