今週の解答
[その他の問題]
日本の株価(日経平均)は4月初旬の17,500円台の高値をつけてから7カ月以上、6月中旬の安値14,000円台との間で、乱高下ともいえる動きをしています。そろそろどちらかに抜けても良さそうに思えるのですが、テクニカル的にどう捉えて売買するのが適当でしょう?
(3)三角保合に入っているため、
どちらともいえない。
高値波乱とは、上昇相場の最終局面で売り買いが交錯し、乱高下を繰り返しながらも高値を更新できない相場をいいます。そして、ある一定の日柄をこなしたあとは、急落する運命にあります。日経平均は4月の高値以来、上下に大きく振られながらも、高値が切り下がっていますので、高値波乱だという見方もできます。この点からは(1)が正解のようにも思えます。
いっぽう(2)の答えのように、大きく売り込まれて6月に安値をつけた後の日経平均は着実に安値を切り上げてきています。6月以降の期間だけをみれば、日経平均は上昇トレンドにあるのです。
つまり、週足でみるとよく分かりますが、日経平均は高値は切り下がるが、安値も切り上がっているという、三角保合(さんかくもちあい)に入っています。三角保合はどちらに抜けるか、トレンドを模索中の相場ですから、(3)のどちらともいえないが正解となります。もっとも、三角保合は入ってきた方向と逆方向に抜けることが多いともいわれていますので、その場合ですと、日経平均は上抜けします。
上抜けしてしまえば、高値は高値でなくなりますから、高値波乱などとは誰も言わなくなります。このようにテクニカル分析とは、過去から現在までの値動きのデータ(始値、高値、安値、終値)をもとに分析しますので、明日新しいデータが出て過去を塗り替えてしまえば、それまでの分析はまったく意味をなさなくなります。つまり、新高値が更新されたならば、前の高値のテクニカル分析上の意味は、ヒストリーです。
個人的には、私は上抜けをみています。高値波乱ですと、ある一定の日柄をこなしたあとは、急落する運命にあります。しかし今回の局面では、一定の日柄をこなしてからは、むしろ安値を切り上げています。ここが高値圏でなければ、踊り場(階段などの途中の平たいところ)、つまり上の階への骨休めの場所でしかありません。
また日本株は、日本の景気や企業収益、他国の株式市場からみて、それなりに割安感が出ています。運用難ともいえる多額の運用資金の受け皿として、日本株が再注目を浴びるだけの条件が揃ってきているのです。商品相場や債券相場は、運用難だと説明するしかないところまで、買われてしまっています。ここからどれだけ取れるかを考えると、商品や債券、新興国の株式ではなく、踊り場にいる日本株が絶好のターゲットに思えるのです。
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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