今週の解答
[その他の問題]
年初5日間が高ければ1月は高い。1月が高ければその年は高いという相場のジンクスがあります。1月の大発会から5営業日ほど、市場は力強い動きを見せました。あなたはこの年の動きをどう読みますか?
(3)相場のことは相場に聞くしかないので、
わからない
日経平均だと過去20年間くらいで、問題文のような傾向があるようです。また、過去22年間で20回に当てはまったとの調査もあります。このような、合理的な説明ができない相場のジンクスを「アノマリー」と呼びます。
本来の英語での意味は、anomaly、例外、異常、変則といったことで、ノーマルでないことを意味します。何故だか分からないが、なんだか当たっているような気がするのがアノマリーで、決算期の前後だとか、それなりに合理的な説明がつくものは、もはやアノマリーとは呼べないとする人もいます。
アノマリーは本来的に合理的な説明を拒絶しているのですから、信じるか、信じないかだけです。私は信じるわけでも、信じないわけでもなく、(3)相場のことは相場に聞くしかないので、わからないというのが本音です。
私が信じるわけでも、信じないわけでもないのは、アノマリーだけには限りません。政府発表の経済指標も、企業会計の数値も、テクニカル上のサポートやレジスタンスも、信じるわけでも、信じないわけでもありません。
政府発表の速報値や修正値に作為を加えることは可能だとみています。また、統計に用いるアイテムの選択や変更でも、その集積値が本当に経済の実態を表しているかどうかは議論の余地があります。企業会計も同様で、不正や作為がなくても、解釈の違いで数値は大きく違ってきます。いっぽうテクニカル上のサポートやレジスタンスは、判断する人や、見ているテクニカル分析の種類によって違いがでてきます。誰がみても同じである高値や安値にしても、それが重要なのかどうかは、解釈の問題となるのです。
投資家は基本的にそれらの数値を信じるところから投資判断を組み立てます。一方で、私を含めた投機家が唯一信じ、拠り所としているのは値動きだけです。なぜなら、値動きが結果としての損益をもたらし、その現実からは逃れることができないからです。したがって、アノマリーを信じてポジションを取っても、実際の値動きにより損益が発生し、リスク管理が必要となるのです。
アノマリーを信じる人はたくさんいます。アメリカでは、STOCK TRADER'S ALMANACというアノマリーをまとめた本が売られています。
ちなみに、ALMANAC というのは、日本にもある「暦」のように年末に出て、来年1年間の星回りや月齢、長期の天気予報、潮の干満などをまとめたカレンダーで、株式市場のアノマリーも含まれています。
アノマリーやその他の材料は、すべて相場に入るきっかけや手掛かりです。 20年も当たっているジンクスがあるのなら、まずは「信じたふり」をして買いスタンスでいるのも得策です。
灯油とガソリンで季節性を意識してトレードをする人もいます。小豆相場には「秋は買いから、春は売りから」という格言があります。以下に、日本株のアノマリーの実例を挙げますので、参考にしてください。
・年末から夏にかけてあがり、秋から冬にかけて下がる
・1月:1月の株高(資金流入)
・2月:節分天井(二八の水枯れ)
・3月:彼岸底(決算対策売り)
・4月:4月の株高(新年度相場、公的資金)
・5月:鯉のぼりの季節が過ぎたら株は売り(決算発表)
・6月:梅雨調整
・7月:サマーラリー
・8月:お盆閑散相場(休暇シーズン)
・9月:彼岸底(決算対策売り)
・10月:頭を垂れる稲穂相場
・11月:(中間期決算)
・12月:12月の株安、餅つき相場
・2日から取引が始まる月は相場が荒れる
・月曜日の株価は高い
・火曜日の急落
・株が一週間のうちで最も強いのは水曜日
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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