あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

5%ルールで、持ち株に有名ファンドの買いが入ったのを確認しました。しかし、なぜか株価は下がる一方で、損切りラインに引っかかりました。どのようにするのがいいでしょうか?

正解は・・・
(2)損切りする

どんな理由であれ、相場が思惑とは逆にいったときには、損切るようにします。もともと、相場観とは仮説にすぎません。そんな仮説にすがって、損が出ているポジションをいつまでも保有したり、逆転を狙ってナンピンするのは現実的ではありません。相場での真実は価格だけです。1,000円で買った銘柄が、900円になったのを売って、口座にどれだけの金額が残っているかをみれば、価格だけが真実だということがわかります。

アナリストは銘柄のことは知っていても、相場のことは知らないなどとよくいわれます。あなたもそう思っているとすれば、あなたはアナリストに期待し過ぎています。アナリストの仕事は企業分析です。分析に用いる数値は企業が提供します。もちろん、勤勉なアナリストは企業の発表する数値を鵜呑みにするわけではなく、経営者などに面接して、数値の裏側を探ろうとはします。とはいえ、アナリストが企業が提供した数値を無視して、勝手気ままに数値をでっちあげるわけにはいきません。アナリストが責任を持てるのは、与えられたデータを分析することなのです。

国が発表する数値も同じです。たとえば、資本市場が未発達の国や、統計資料が疑わしい国でも、当たり前のように国際収支や成長率の発表を行います。しかし、資本市場がもっとも発達し、統計資料が充実しているアメリカですら、密輸や不法滞在の移民の数を正確にはつかめないでいます。また、軍需関連の輸出入は発表されていません。ましてや、中国、インドの数値が、より信頼に足るとは思えません。それでも、われわれはその数値をもとに相場観をたて、投資を行います。それでうまくいかなくても、別に不思議ではないのです。相場とはそういったゲームなのです。うまくいけば利食えますが、逆にいけば損切りしかありません。

5%ルールといえば、2、3年前に、長者番付のトップとなったファンドマネージャーがいた投資顧問が、直近に増やした銘柄を買うのが、流行ったことがありました。相場は誰かが買わないと上がりません。この場合は、価格をつり上げることが目的かのように、流動性の低い銘柄を大量に買うわけですから、その銘柄が上がる確率は高くなります。その意味では、そのファンドと「一緒に」買うことができたなら、勝てる確率は高まります。ただし、一緒に買うという情報はインサイダーに抵触するでしょう。したがって、あなたができるのは、たまたま保有していたか、彼らが買った後に買うことだけです。

相場では転換したのを確認してから売り買いするのが、安全かつ効率的にキャピタルゲインを狙うコツです。しかし、流動性のない商品は、皆が転換したと思ったら暴落、あるいは急騰してしまう恐れがあります。流動性のない商品を利食うときには、まだ上がりそうなときに、買い手がいるときに、売り逃げるのが常套手段です。つまり、5%ルール報告後の追随買いで上がっているときに、当のファンド自身は売り逃げるというのが、儲けるためには必要なのです。売り逃げずに、買い手がいなくなってしまえば、大量保有のファンドは大損してしまいます。

このトレードの成否は、5%ルール報告後にどれだけの追随買いが出るかにかかっていました。自分の後に大勢の人が買ってくれなければ、高値で売り抜けることはできません。意に反する値下がりは、あなたの後に続く人が少なく、当のファンドの売りに押されている危険な兆候です。その後、仮に小戻しがあっても、戻り売りに押される可能性が高いでしょう。このような状況を考えると、どんな値段でも早く売るべきです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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