あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

アメリカに出張しているあなたはホテルでテレビを見ていました。ニュースを見ると、人口増加や原油に代わるエタノールの影響で農業や食品関係の会社の業績が好調という報道をしています。日本で似たような業種を調べるとまだ値上がりしてません。将来を見込んで投資をするべきでしょうか?

正解は・・・
(2)いつ上がるか分からないので、投資は避ける

トレーディングはタイミングです。どんなに着眼点がよく、先見の明があっても、時期尚早だと資金を寝かせてしまいます。資金が寝るだけならいいのですが、同じように資金を注ぎ込んでいた人たちが見切ってしまったり、環境そのものが変化してしまうと、思わぬ値下がりをみせることになります。ましてや、アメリカでのブームがいつ日本に飛び火するかは、まだわかりません。いまは投資を避けておいて、株価が値上がりし始めるのを待つのが正解です。

ここ数年、原油などの商品相場が上昇してきました。ニューヨークの原油は去年の7月に81ドル台の高値をつけ、その後は売られたとはいっても、まだ60ドル近辺です。売られた理由は、投機筋のポジション整理が一番大きいのですが、エタノールなどの代替エネルギーの開発、普及もボディブローにはなっているでしょう。商品相場では、昨年後半に次々と史上最高値をつけてから折り返した鉱物に代って、エタノールの原料となるコーンなど農産物が高値圏にあります。もっとも、こちらも投機筋のポジション整理が入りはじめているような値動きです。

鉱物が買われたのは、経済発展が著しい新興国の需要が大きいためだといわれています。また、それらの国は中国のように人口が多いか、インドのように急激に増え続けていて、その生活レベルの向上とともに食料需要も増大するのは目に見えています。エタノールや他の工業物質の原料需要だけでなく、農産物は本来の食料としての需要も拡大基調なのです。

鉱物と農産物とを比較すると、世界に供給能力があるのは、圧倒的に鉱物です。希少金属などといったところで、地球は全体が鉱物の塊ですから、どこかにあり余るほど存在しているはずです。ところが、農産物は地球の表面の1部にしかない土壌でしか生産できません。このまま地球の人口が増え続け、生活レベルが向上していくと、不足するのは食料と飲料水ではないかと思います。その意味では、農業や食品関係の会社は、これから伸びる産業なのだといえます。

とはいえ、日本では各地で作り過ぎによる野菜の廃棄が行われています。途上国での食料の供給不足と、日本などでの供給過多のミスマッチは、保護政策などによる価格のミスマッチも影響しています。新興国が日本の農産物を買えるようになるまでには、まだ時間を要するともいえるでしょう。

いずれにせよ、ファンダメンタルズ的にどんなに良い銘柄でも、すぐに値上がるとは限りません。また、最終的に値上がるにしても、上げ始めるまでに数カ月、数年を要することもあります。一方、ファンダメンタルズ的には価値が認められない銘柄が急騰し、数倍に値上がりすることもありえます。つまり、価格の動きに従うのが、安全かつ確実なのです。

その意味では、(3)の、すでに値上がりしているアメリカの会社の株を買うのも重要な選択肢なので、チャートなどを調べてみてもいいかもしれませんね。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「個別銘柄に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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