あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

あなたは今年社会人になったばかりの知人から自社株を買ってもいいか?という質問を受けました。話を聞くと入社する会社はベンチャー企業で最近上場して勢いがありそうです。自社株を買う場合、会社から補助金が出るみたいです。さて、どのようにアドバイスをすればいいでしょうか?>>

正解は・・・
(2)仕事のモチベーションを上げるためにも、自社株の購入を薦める

どの答えも、一長一短があり、私の本音は「好きにしろ!」と言いたいところですが、(2)には、会社からの補助金を有効利用できるという明らかなメリットがあるので、正解としました。(1)や(3)では、せっかく会社が用意した利益の還元システムを、自ら放棄することになってしまいます。

日本の会社には、従業員持株会を設置しているところが数多くあります。これは会社が従業員の福利厚生の一環として導入し、支援する自社株購入制度です。この制度に加入すれば、税引後の給与から、毎月一定の金額が天引きされ、会社の補助金と合わせた金額で、毎月自社株をコンスタントに買い続けることになります。たとえば、個人が少ない資金で単位株数を購入することが不可能な場合でも、持株会としてまとめて購入し、個人には出資金に合わせて端株が分配されることになります。この同一金額で買い続けることを、ドルコスト平均法といい、株価が安いときには多めの株数、株価が高いときには少なめの株数を買うことができるので、長期投資には適しています。また、持株会から脱会することも、加入したままで株式の引出し、売却することも可能です。

あなたの知人は今年入社したばかりです。いかに先のことなど誰にもわからないといっても、最初から及び腰で勤めていたなら、得られるものも得られないで終わります。ある会社に入り、多くの人と出会うことも何かの縁なのですから、少なくとも数年くらいはその会社と運命を共にする気持ちでいいかと思います。

とはいえ、そのことのリスクについては、私は自著のなかでこのように書いています。

「1つの会社に勤めているということは、会社と自分とは一蓮托生なのですから、株式投資を嫌おうと嫌うまいと、銘柄的にはその会社に100%投資しているのと変わらないことになります。たとえば、大和証券に勤めていれば、その収入はおおむね大和証券の収益に連動します。しかし、会社は必ずしも収益に応じて従業員に還元してくれるとは限りません。

そこで、会社の収益に、より多くを連動させたければ自社株を買えばいいことになります。実際、株式投資には興味がないという方でも、自社株は保有しているという方も多いでしょう。最近流行りの『上場成金』なども、自社株(あるいは買う権利)を保有していればこそです。

しかし、1つの会社と一連托生を決め込むことは、良いときには100%報われもしますが、悪いときにはすべてを失う恐れもあります。たとえば、自社株を大量に保有していたかつての山一証券の社員は、その破綻とともに仕事を失い、収入の道を閉ざされただけでなく、保有株式も無価値となりました。

そういった一蓮托生のリスクを分散させるには、たとえば(社内ルールで禁じられていなければ)野村證券の株を買えばいいのです。山一証券破綻後も、野村證券が生き残っているのは周知のことでしょう。

とはいえ、山一証券が潰れるような環境のとき、いかに最大手といえども、同じ業界の野村證券の株価が果たして大丈夫なのでしょうか。近年の株価の回復とともに、上場来高値を更新する銘柄も出てきているなかで、野村證券の株価は、いまだにピークの4分の1ほどです。

リスクを分散させるには、より関連性のないものを同時に保有するのがいいのです。あなたが大和証券の社員なら、野村證券株よりも、三井住友銀行株がいいでしょう。いえ、同じグループの三井住友銀行よりは三菱東京UFJ銀行のほうがリスク分散になります。いえいえ、同じ金融関連よりもより遠い業界のものがいいのです。

つきつめれば、大和証券株が下がるときに、相当の確率で上がる銘柄を持てばリスク分散ができます。それが一社だけでなく、多くの違う動きをする銘柄を組み合わせたほうが、あるいは他の金融商品や不動産、外貨などを組み合わせたほうが、もっと効率的なリスク分散ができます。これが『分散投資』の考え方です」。

この文章の意味するところは、株式投資のリスクは誰でも知っているが、実は投資しないことのリスクの方が大きい、ということです。1つの会社だけに「決め打ち」することは、一か八かのリスクに通じるのです。したがって、同じ会社に長く勤めているうちに、その会社が自分の当初の想定していたものから外れてきたのが分かったなら、自社株を売って、他社の株に乗り換える。または転職して、自社株だけを持ち続ける。あるいは転職と同時に自社株を換金するという選択に移ってもいいでしょう。おかしいと思いながらも、成り行きだけで自社のリスクを100%取り続けて、何もかもを失った人は大勢います。

「あそびせんとやうまれけむ。たわむれせんとやうまれけむ」。人に迷惑をかけないで遊ぶことを否定するわけではありません。しかし(3)のように、自社株を買おうとしている人を止めさせてまで、遊びをすすめるだけの理由が見当たりません。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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