あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

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トレードの経験を積み、あなたは相場のリスクを理解するようになりました。今後、取引の戦略を増やすために信用口座を開設したいと思います。しかし、個人投資家は信用口座は開設しない方がいいという話も聞きます。どのようにすればいいでしょうか?

正解は・・・
(3)リスクを理解しているのであれば、信用口座を開設しても問題ない

何事も使い方次第で、毒にも薬にもなるものです。信用口座は、少ない手元資金での売買を可能にするものですから、うまく利用すれば効率的に収益を上げることができます。たとえば、同じ値幅を取るのに、3分の1の手元資金で運用すれば、資金効率は3倍になります。すなわち、100万円を使って100万円の株を買うとき、3倍の倍率の信用口座を使えば300万円分買えますから、値上がり益は3倍になります。同時に値下がり損も3倍になるのです。こういったリスク・リターンを十分に理解しているのであれば、信用取引をためらう理由はありません。(3)が正解です。また、空売りするには信用口座を開設する必要があります。すなわち、信用口座を利用しなければ、相場の上げ下げの半分だけしか収益の機会がないことになります。


大きな資金があれば信用口座を使わなくても、株式を大量に買うことができます。つまり、信用口座は資金力のない一般の投資家にとってこそ利用価値の高いものです。(1)の「一般の投資家は信用口座を開設しない方がいい」は少々的外れです。このことは、資金力のない人は、大きなリスクを取らなければ、大きなリターンを狙えないことも意味しています。金持ち喧嘩せずですね。(2)の「空売りはいいが、信用買いは避ける」というのも、なぜそうなのかという合理的な理由が見当たりません。


私は日頃から、自分の資金の性質に合った運用をするべきだと勧めています。「投資」と「投機」とを混同し、あいまいな運用をしていると、効率的な運用ができないばかりか、思わぬ損失を抱えることにもなります。「投資」と「投機」とは似て異なるものなのです。あなたが行っているのが「投資」なのか、あるいは「投機」なのかを知る1番の方法は、時間的に余裕のある、当面は使う予定のない資金での運用なのか、あるいは信用取引を含めた借入金での運用なのかを問うことです。


余裕資金での運用は投資です。たとえば、気に入った会社の株を持ちたい(部分的なオーナーになりたい)、あるいは株主優待制度に惹かれたり、配当金を受け取りたいなどの「保有」を前提とした購入は投資運用となります。


一方の投機は、当初から売り戻しを前提とした買い、買い戻しを前提とした売りで、狙いはその限られた期間内での「キャピタルゲイン」です。信用取引は返済売り、返済買いがセットになっているので、典型的な投機となります。借入金による売買も、債務の返済日までに一勝負を終える必要があります。デイトレ(日計り)も、その日のうちに売買を完結させるのですから投機です。


投資では自分の投資基準に合ったものを、じっくりと保有するのが基本です。ファンダメンタルズ分析などを基にした投資基準は割高、割安は判断しても、通常、価格のぶれまでは考慮しません。本来ビジネスの先の見通しに賭けているのに、目先の気まぐれな動きに動揺していては、腰の入った投資ができないからです。


反対に投機は、価格のぶれを取りにいくものと割り切っていていいでしょう。ある銘柄が1年で何パーセントか上がるとすれば、価格は少なくともその十数倍はぶれています。キャピタルゲイン狙いの投機の収益源はそこにあります。もっとも収益の機会は同時に損失の機会でもあるのですから、思惑通りの展開のときだけポジションを持ち、逆に行き始めたならすぐに閉じる必要があります。ぶれのサイクルを調べていくと、長く持つ投機は間違いだと気付きます。


空売り、信用買い、ともに基本的なリスクと対応の仕方は同じです。キャピタルゲイン狙いなのですから、ロスのゾーンで持ちこたえるのは、本来の目的から逸れています。もし、キャピタルゲイン狙いでないのなら、信用口座を使うのは間違いです。


また、無期限信用という制度は、金利収入目当ての証券会社の都合で作った制度ですから、制度信用では扱っていない銘柄などといった、他の方法がない場合以外は使わないことを勧めます。もし、利用した場合でも、長く持つ必要はありません。価格のぶれの1サイクルが半年に及ぶことなど皆無だといっていいのですから、制度信用でも時間切れとなるような投機はそもそも間違いなのです。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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