あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

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テクニカル指標を勉強し、トレードの経験を積んだあなたは、チャートの読み方がわかるようになりました。チャートで売買を行う際、もっとも有効な市場はどれでしょうか?

正解は・・・
(1)流動性に最も富んだ為替市場

テクニカル分析の基となる材料を提供し、効率的な売買を保証するものは流動性です。正解は(1)の「流動性に最も富んだ為替市場」となります。(2)や(3)のように、特定の事情や意向を持った参加者が大勢を占めている市場では、その行動様式を理解した上で、テクニカル指標を参考にするのがよいでしょう。

相場へのアプローチの仕方は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つが大きな柱です。テレビなどに出演して相場を解説しているエコノミストやアナリストは、ファンダメンタルズ分析の専門家なのですが、いまや彼らもしばしばチャートなどのテクニカル分析を使って解説をしています。私が相場をはじめた頃には、「罫線読み」などと呼ばれ、軽く扱う人が多かったことを思えば、隔世の感があります。

この2つは、共に相場へのアプローチとされていますが、実は分析する対象が違っています。ファンダメンタルズ分析は、国や企業など「投資対象」の分析です。一方のテクニカル分析が扱う対象は「市場」なのです。どちらにも一長一短がありますが、ファンダメンタルズ分析では、「投資対象」と「市場価格」の間にある大きな溝を埋めることができません。一方のテクニカル分析は、あくまで過去の値動きから、未来の値動きを、直感的、統計的に推測するだけという限界があります。

過去の値動きを基に、未来の値動きを予測するとき、その値動きのサンプルが多くなければ、その精度を高めることができません。また、何かを拠り所に売買するとき、その効率的な売買を保証しているのは流動性です。市場は、さまざまな事情や意向を持った多くの人が集まり、それぞれが取り易いと考えるリスクを取り合って、はじめて効率的に機能します。その意味で、長期投資を偏重し、キャピタルゲイン狙いの投機を蔑む知識人たちは、本当の意味の「資本主義」を理解していないのです。実需や投資資金の売買ニーズが、常に両サイドでマッチすることなどあり得ませんから、投機家がいなくなれば、実需や投資は売買を円滑にできなくなります。つまり、投機を潰せば、市場そのものを失い、計画経済に頼ることになります。

売りたいと思えば適当な価格でいつでも売れる。買いたいと思えば適当な価格でいつでも買える。このことは、売り手には買い手が、買い手には売り手が、常に存在していることを表しています。つまり、自分と正反対の事情や意向を持った人が多数存在して初めて市場が成り立ち、自分の快適な生活が保証されるのです。自分と違う立場や考え方の人を受け入れるのは嫌なことかも知れませんが、実はその人たちの存在があなたの幸せにつながっているのです。多様性がキーなのです。多様性が市場に流動性をもたらします。

ところで、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、どちらも一長一短でしかないとすれば、もっとしっかりとした拠り所はないものでしょうか。私は、市場分析の1種であるタペストリー・プライスアクション理論なるものを提唱しています。

タペストリー・プライスアクション理論とは、そもそも相場での価格はどうして変動するのかを説明した「タペストリー第1理論」と、相場のトレンドは投資資金によって、ボラティリティは投機資金によってつくられることを説明した「タペストリー第2理論」、そして、相場でもっとも安全かつ確実に収益を上げるには、市場価格を予測するのではなく、市場価格に反応するべきだとする「プライスアクション理論」からなっています。詳細は下記のホームページを参照してください。

66. 価格変動の本質:タペストリー第1理論
21. 投資と投機:タペストリー第2理論
http://www.geocities.com/dealers_web/trader.html

このような見方も、市場での多様性に寄与しています。他の見方の存在を認める限りにおいて、あなたや私の見方や行動は市場の流動性を高め、自分自身や他の人たちの快適な生活に貢献しているのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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