あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

米国のバーナンキ議長が中国経済の見通しは暗いと発言し、あなたが持っていた資源株や鉱山株は大幅に下落しました。損切りした数日後、中東情勢が深刻化し、少し前に保有していた資源株や鉱山株は急反発しています。精神的に参っているあなたはどのように対応すればいいでしょうか?

正解は・・・
(2) 精神的に参っているので、様子見を決め込む

このようなトレードのやり方は、大損する危険をはらんでいます。ここはしばらく相場から離れ、相場というものをもう一度学び直した後で、再度ポジションを取りましょう。この『トレードセンス養成講座』の右側に並んでいるBackNumberを読み直してみることをお勧めします。正解は、(2)の「精神的に参っているので、様子見を決め込む」となります。

個人投資家は言うに及ばず、投資のプロもしばしば陥ってしまう罠は投資物件を的確に分析すれば絶対に儲かると考えることです。しかし、どんなにファンダメンタルズを勉強し、材料を正しく理解しても、導き出した理論価格と実際の価格との間にあるギャップを埋めることはできないのです。ファンダメンタルズ分析に自信を持つ人は「良いものは良いものだ」と、時間軸を最大に広げて、実際の価格が理論価格に鞘寄せするのを待ち続けます。しかし、待ち続けて儲けるためには、長期間寝かすことのできる豊富な資金と、絶対的な見通しの正しさが必要です。そして、その長期間にわたる間、理論価格算出のもととなった基礎的な条件が不変であることが前提です。

あなたは資源株、鉱山株の売買に、中国経済の見通しや中東情勢を拠り所としています。こういった材料の分析や、資源株、鉱山株のファンダメンタルズ分析では、こうあるべきだという株価は導き出せても、実際の株価がどうなるかまでは分かりません。相場では、誰かの気まぐれな売買だけでも株価は動きます。その気まぐれな売買が、大株主の保有比率に関するような規模と影響力なら、なまじっかな投資基準や材料では太刀打ちできません。そういったことを十分に理解していたなら、今日の問題のように材料通りに株価が動こうと、あるいは、まったく材料とは逆に株価が動こうと、動揺することはありません。「しまった、損切るのではなかった」などと、精神的に参ることはないのです。

私はマスコミの報道で、DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)被害者の心情を聞いたことがあります。日常的に精神的や肉体的にいじめられていても、時々泣いて謝られれば、愛されていると感じて許してしまうというのです。「私がいなければ、この人は駄目になる」という、ある意味、自分の存在意義を認められたような感情だというのです。あなたにも似たような経験があるとすれば、それは「思い込み」に過ぎません。苦痛を与える人の側にいる理由を、自分で勝手に見つけて、自己矛盾に至らないようにしているのです。思い込みを捨てて、現実を直視しましょう。あなたの周りの人々が、あなたに何を与えてくれている人なのか?あなたを愛している人ならば、あなたに安心感や満足感を与えてくれるはずです。1つしか物がないときには、その半分以上をあなたに与えてくれるはずです。あなたが人を愛するとき、相手を心身共に疲弊させることが喜びですか?

相場での評価損に対するときも、似たような心理状態をつくります。価格が自分が行った投資判断を否定していても、まだ持ち続けている理由を探そうとするのです。相場で、あなたに真実を伝えてくれるのは、価格の動きだけです。どんなにもっともらしい相場観を組み立てても、あなたに損失を与えるトレードならば、続けていく意味などないのです。

今日の問題では、バーナンキ議長の発言などで損失となる位置で買ったのがそもそも間違いです。トレンドを押さえたければ、トレンド入りした頃を狙うのです。いい加減上がったところで買えば、どうしても急落するリスクが高まります。最初から、人の判断についていっているのですから、どこまでも振り回され、疲れ切るのは当然です。損失が出ていても、自分が状況をコントロールできていたなら、疲れは格段に少なくなります。

中国経済発展の恩恵を受けるセクターを買いたいのなら、人がすでに買ったセクターではなく、次にどのようなセクターが来るのかを自分で予想することです。いくつかのセクターが見つかったなら、まだそれほど買われていない銘柄に絞り込み、上放れしてトレンド入りするのを待つことです。それが騙しであっても、それは当たり前のことですから、精神的に参る必要などありません。逆に行けば損切るのみです。もし、そんなことでも参るような人なら、損益にあまり影響がないほど少額にして、徐々に精神力を鍛えるほうがいいでしょう。

相場観を持ち、銘柄を絞り込み、その銘柄が動き出すのを待つことは、相場に振り回されない1つの秘訣です。しかし、動き出した銘柄を探し出して、そのトレンドに乗ることの方が、はるかに効率的な運用ができます。つまり、最初から価格だけに注目している方が、間違いの少ない運用ができるのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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