あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[資金管理に関する問題]

松坂大輔を獲得したレッドソックスのオーナーのジョン・ヘンリー氏は、トレンドフォローで財産を築いたと言われています。トレンドフォローはある一定期間の高値、安値を上抜け、下抜けした時、その方向にポジションを取る手法ですが、現在でもその手法は使えるのでしょうか?

正解は・・・
(2)損切りができれば、現在でも利益は上げられる

相場へのアプローチを大別すると、ファンダメンタルズを重視するものと、テクニカルなど値動きを重視するものとがあります。また、トレンドに従うものと、相場の行き過ぎを押さえるものとがあります。ファンダメンタルズなトレンドに従うものは成長(グロース)株投資、ファンダメンタルズな行き過ぎ(売られ過ぎ)を押さえるものが割安(バリュー)株投資です。値動き重視のテクニカル型では、それぞれ順張り(トレンドフォロー)、逆張り(コントラリアン)と呼ばれます。そのどれもに一長一短がありますので、どのやり方でも儲けることもできれば、損失で終わることもあります。かのジョン・ヘンリー氏は、トレンドフォローが得意だったのです。

どのやり方でも、相場観が良ければ儲けることができます。とはいえ、いつでも、いつまでも、相場観が当たり続けることは、なかなか望めません。相場が思惑とは逆に行ったときに、もっとも有効なリスク管理の手段は「損切り」です。それ以外の方法でリスク管理を行い、長期にわたって儲け続けている例も知っています。しかし、長期間寝かすことのできる豊富な資金と、卓越したリサーチ力が必要ですので、一般の個人投資家ができることではないでしょう。正解は、(2)の「損切りができれば、現在でも利益は上げられる」となります。

(1)の「投資家が増えた結果、トレンドが出やすいのでかなり使える手法である」は、「相場付き」へのトレンドフォローと言えます。つまり、この「相場付き」がトレンドである間は、それなりに儲けることができますが、思惑が外れることもありえます。いずれにせよ、リスク管理が必要なのです。

(3)の「買えば高値掴み、売れば踏み上げとなることが多い」のは、おそらく確率的には、その通りでしょう。トレンドフォローは、ある一定期間の最高値、最安値を上抜け、下抜けした時、その方向にポジションを取る手法なので、高値では待ち構えていた売り物が出て、安値では買いたい人が集まってきます。その人たちは、そこで売り買いする事情や、しっかりとしたプライス感覚を持っています。一方の、あえて高値買い、安値売りをする人たちは、相場の勢いを利用しようとしています。つまり高値で売る人や、安値で買う人の腰は据わっているのに対して、勢いだけの人たちは、勢いがなくなれば反対売買することになります。勝率だけを見れば、やはりトレンドフォローの分が悪いのです。

もっとも、そうした事情持ちの高値安値での売り買いは、一定の金額がはけてしまえば、しばらくは出てこないものです。また、安易な値ごろ感からの売り買いの場合には、思惑通りに行かないと、やはり反対売買が出てきます。つまり、はっきりとトレンド入りしてしまえば、かなりの値幅と期間にわたって、相場はトレンドに沿って進みます。

そこでディーラーがよく行うのは、高値を狙う動きが見えたときにロング(買い持ち)をつくり、抜けなければ、利食いと同時にポジションを入れ替えてショート(売り持ち)をつくることです。抜ければ、そのままロングを持ち続けるか、あるいは買い乗せで、ロングポジションを増やします。ここでは、あらかじめロングポジションをつくっているために、相場の節目となる、前の高値近辺での攻防を、余裕を持って迎えることができるのです。あとは、価格の動きに反応するだけです。

相場では、どんなアプローチででも儲けることが可能ですから、自分にとって居心地のよい、得意なアプローチをつかえばいいのです。そして、どんなアプローチにも損失で終わる危険性がありますので、リスク管理は徹底します。明日の新聞の記事を、空で暗唱できる能力をつけるまでは、あなたを守ってくれるのは「損切り」だといえます。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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