あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

画期的な製品の開発に成功したと報じられた理由で、ある企業の株は3日連続でストップ高になりました。その後、値段は下がらず、3ヶ月ほど横ばいの状態が続き、出来高も落ち着いた様子です。このような株は、どのようにすればいいでしょうか?

正解は・・・
(3)展開が読めないので、その株は見送る

好材料が出て株価が跳ね上がった後、3カ月ほど横ばったということで、株価はこの好材料を織り込み、消化したと見なすことができます。つまり、現状の株価は画期的な新製品の開発をすでに反映していますので、ここで買ってもこの材料によるキャピタルゲインは期待できません。今後の株価については、(3)の「展開が読めないので、その株は見送る」が正解です。

通常、新製品の開発などは企業収益に好ましい影響を与えます。その製品による増収が見込まれたなら、企業分析のアナリストたちは予想株価を引き上げます。彼らは、その製品が実際に収益に貢献し始めるだろう半年後、1年後の株価を予想します。ところが、通常株価はいきなり急上昇を始めるのです。どうせ上がるものなら安いうちに早く買いたいとなるからです。会社の規模に対してその製品の貢献度が大きそうだと、今日の問題のように、連日のストップ高というようなことも起ります。このような展開になってしまうと、新製品の発表後に買った人たちのコストは高く、その製品からの収益増をあらかじめ織り込んだ株価で買っている状態になります。

企業がビジネスを行い、収益を計上するには時間がかかります。今日の問題の新製品も同様で、それがどのように画期的なものであっても、開発した企業の収益に貢献するようになるまでには、それなりの時間が必要です。にもかかわらず、株価は開発の成功が報じられた時点で、収益増が達成された状態までほとんど瞬間的に買われます。相場とは期待を買うものなのです。そして、期待を買っていた人たちは、その期待が消滅すれば売ることになります。時には期待の実現も消滅と同じ効果を持ち、売り材料とされることさえあるのです。

この株価が、急騰後3カ月間高水準のまま留まっているということは、その期待の大きさを表しています。3カ月という時間には、以前から持っていた人たちの利食い売りや、高値で買って不安になった人たちの売り物がそれなりに出てくる時間です。それでも株価が下がらないということは、そのレベルで買っている人がいるためです。そうして、そのレベルでの売買が繰り返されると、いまその銘柄を持っていた人たちの平均買いコストが次第に上がってきます。株価が3カ月横ばったということは、3カ月前には株価のはるか下にあった60日移動平均線が、株価のすぐ下くらいにまで上昇してきていることを表しています。少しの下げでも、売りサインを意味するデッドクロスが出現してしまう状況になっています。このように移動平均線は、ある期間の市場の平均コストを暗示するのです。

3カ月間経つうちに、その製品が実際の収益増に貢献し始め、4半期毎の収益見通しにも変化が現れてきます。その実際の収益が、市場が期待していたものと大差がなければ、株価がすでに織り込んだものと同じですから、そこから株価が上昇する理由がなくなります。期待の実現が消滅と同じ効果を持ち、売り材料とされるのです。また、期待に反すれば高く買ってしまった失望感から売られます。一方、期待以上の収益が実現し、さらなる期待を伴って株価が上昇する確率は、ケースとしては3分の1です。しかし、画期的な製品ならば、確率以上の好業績もあり得ます。つまり、どちらに跳ねてもおかしくないので、ここからの展開は読めません。したがって、もしその株を前もって所有していたなら、急騰後の株価が伸びなくなった時期に、利食っておけば資金効率を高めることが出来るのです。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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