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今週の解答

[ニュースに関する問題]

「消費税は近い将来、2%程度引き上げるのが適当」と発言していた首相率いる政権与党が選挙で勝利しました。その際、日経平均はどのように推移すると考えられるでしょうか。

正解は・・・
(3)消費税引き上げの時期が判明するまでは様子見のため大きな動きはない

最近の選挙の投票率を見る限り、有権者が政治に期待していることは大きくないと思います。G8や6カ国協議に見る日本の位置付けを見ると、各国が現政権に期待していることも大きくないと思います。この20年間で、日本の存在感はずっと低下してきたように思えますが、それでもアニメや自動車などは、世界をリードする位置を獲得しています。


つまり、世界第2位の日本経済はそこそこ頑張っているが、ほとんど誰も現政権には大きな期待を抱いていないといえます。与党が勝とうが負けようが、それだけで株価が大きな変動をするとは思えません。正解は、(3)消費税引き上げの時期が判明するまでは様子見のため大きな動きはない、となります。


株式市場は上場企業の収益構造が継続することを前提としますので、政治の不安定は望みません。しかし、「消費税は近い将来、2%程度引き上げるのが適当」と発言する政権与党が選挙で勝利したなら、その収益が侵食される企業群がでてきます。(1)の政権与党の勝利は政治の安定につながるため上昇する、とは言えなくなるのです。


行政が行う景気の舵取りは、金融政策と財政政策とに大別されます。金融政策は金利と通貨供給量の調整です。財政政策は税制の変更や公共投資などです。消費税の引き上げは、国家による民間資金の吸い上げですから、景気抑制効果があります。その意味では、(2)の消費税引き上げは消費を冷やし景気減退効果があるため下落する、も原則的には正しいのですが、引き締め効果がすぐに出るとは限りません。


むしろ、時期が明記されたなら、駆け込み需要で一時的に景気が浮揚することも十分に考えられるのです。そして、時期がきて景気後退が始まったなら、利上げができなくなりますから、「金余り」状態がしばらく続くことになります。リスク資産である日本株が売られたなら、買い手が出て来易い構造が保たれるのです。


いま世界の相場を動かしている最大の要因は、過剰流動性による「金余り」です。中国などの需要増で上がったとされる原油も、代替エネルギーとなるエタノール需要で上がったとされるコーンも、あれほどの急騰と、その後の急落は、大きな投機資金の参入を考慮することなしには説明がつきません。


キャピタルゲイン狙いの投機資金は、売るために買い、買い戻すために売りますので、どうしても価格の変動を大きくしてしまいます。そして投機が成功しているうちは、資金が増え続けますので、ある商品で利食った資金を他の商品の購入にあて、全体にすべての商品の価格を押し上げていきます。それがいわゆるインフレで、商品価格の値上がりとの見返りに値下がりしたのは、ドルや円など通貨の価値なのです。


株式という金融商品の世界的な値上がりも、背景にはこうした「金余り」があります。余った資金の価値が下がることで、相対的なモノの価格が上がっているのです。


いま世界中の投資資金、投機資金は、持っているだけでは目減りする資金のリターンを求めて、面白そうなシナリオを探し求めています。シナリオに説得力があると、そこに資金を注ぎ込みます。やり過ぎてリスクの方が大きくなると、他のシナリオを求めますが、資金が増え続けている間は、リスク資産からすべての資金が逃げることもありません。


サブプライムローンの焦げ付きで質への逃避が起こり、米国債などが買われても、リスク資産も全体として高値を維持しています。日本株も売られれば買われるのです。それらが大きく売られる時は、無リスクとみなされる資産が十分なリターンを提供できるようになった時です。私は感覚的に米10年債なら7%近くの利回り、円債なら4%台が必要かと思っています。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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