あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

中国株やインド株など新興国の株式市場に個人投資家のマネーが多く入っているようです。また、FXの信用取引でも個人投資家が活発に円売り、高金利通貨買いのポジションを取り、それなりに利益を出しているようです。一方、著名アナリストなどプロの中には、新興国市場はバブルだという意見や、為替は円安に振れすぎという意見が多く見られます。あなたがこれらの市場でポジションを取る場合、どちらの意見を参考にすればいいでしょうか?

正解は・・・
(3)素人やプロの相場観は関係なく現在の価格が最も正しい

相場は価格が動いて損益が確定します。その意味では、どんなに情報を多く持ち、分析力が優れていても、それが価格に反映されなければ、何の意味もありません。正解は、(3)素人やプロの相場観は関係なく現在の価格が最も正しい、となります。


FX取引といえば、先週、東京国税局が都内の個人投資家3人を所得税法違反容疑で東京地検に告発していたことが分かりました。3人が隠した所得は2005年までの3年間で計約9億7000万円に上ったそうです。告発されたのは足立区の不動産賃貸業の男性(70)とその妻の美容院経営者(66)、江戸川区の保険代理業の男性(84)です。以前にも、世田谷区の50歳代の主婦がFX取引での4億円近くの利益を隠していたことが判明しています。


彼らの元手がいくらかは知りませんが、年率リターンが3桁を下ることはないでしょう。ヘッジファンドの2006年の平均リターンが13%ほどですから、裏情報をたくさん持っていそうなプロよりも、個人投資家のほうが相場がうまいことになります。


彼らが儲けた2005年までの3年間は、円を売り、豪ドルや英ポンド、ユーロなどを買っていれば、損切りする局面がほとんどなしで儲けられた相場です。その後の1年半も同じ状況ですから、続けていれば、彼らの利益は更に大きく膨らんでいたことでしょう。


相場はトレンドをうまく押さえ、相当量のポジション(レバレッジ)を張っていれば、大きく儲けられることの証明です。有価証券取引での所得は、個人投資家が隠そうとしても、証券会社が報告しますので、課税され事件とはなりませんが、FX同様、大儲けしている人は私の身近にも大勢います。


とはいえ、ここ数年は新興国の株式や高金利通貨だけでなく、商品や主要国の株式も値上がりし、金利上昇下の債券ですら高値圏に留まっています。一言でいえばモノと資産のインフレで、ドルや円以外はほとんどすべてのものが値上がりしたと言ってもいいのです。


そのドルも円に対しては値上がりしています。つまり、円資産を持つ人で、預貯金ではなく何らかの投資を行った人は、ドル預金を含めてすべてが報われた数年間でありました。何でも上がる相場を素人相場とはよく言ったもので、素人ほど儲けられた相場であったわけです。日本株は世界的にはむしろ例外的に難しい相場でした。


プロと個人投資家との違いは、場数の違いです。長く続けているプロは相場のあらゆる局面を経験してきていますので、リスクへの対応能力があります。相場の流れが変ったときには、一方通行であった相場ほど、反転の勢いは強くなりますので、数々の暴落を体験してきたプロの多くが、そろそろ警鐘を鳴らし始めるのは自然です。ところが、リスク管理の意識が強過ぎると、あまり儲けられないことにもなるのです。


トレンドを信じて、いつまでも相場についていくと、いつかトレンドは反転し、大きな損失を被ることになります。こうしたトレンドの反転が恐くて、トレンドに乗れないでいると、他の人は儲けているのに、自分は何もしていないことになります。それだけならいいのですが、過去の大相場では、慎重にリスクを唱えていた人が、最後の最後に意見を覆し、最高値をつかんだものでした。


相場でのリスク管理は、ポジションを持ったときから始まります。つまり、相場に入る前の警鐘は、単なる意見や言い訳であって、本当のリスク管理ではありません。トレーディングのリスク管理とは損益の管理ですから、損失が耐えられないところまで広がる前に、何らかの手を打つ必要があるのです。


具体的には損切りで、買ったものの損失がある程度にまで膨らんだなら、売り払ってしまいます。その損失の拡大を、実際に教えてくれるのは、自分の相場観やプロの意見などではなく、価格です。つまり、関わりたい相場があれば、自分の目で価格を見て売り買いを始め、価格が思惑とは違ってきたなら反対売買をする。それが、利益を得るためにも、損失の拡大を防ぐためにも重要なの
です。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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