あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

ある銘柄はPER、PBRが割安なのに下がり続けて、とうとう100円を割りました。下がっている理由を調べると、業種が変わったり、経営陣の信用不足によるものです。このような下降トレンドにある低位株で利益を出すにはどのようにすればいいのでしょうか?

正解は・・・
(3)もともと安い低位株は値下がりのリスクが少ないので買うのもいい

相場で、どんな場合にでも考えていなければならないのが、リスク管理です。100円を割った銘柄は値動きが激しく、何割やられたら損切るという形のリスク管理は難しいのですが、その代わり、例えゼロ円になっても失う金額は大きくありません。つまり(会社が潰れるまでの)無期限オプションを購入しているのと同じで、損失は限定、利益は無限大という形のリスク管理ができます。正解は、(3)もともと安い低位株は値下がりのリスクが少ないので買うのもいい、となります。


この講座に限らず、私が常々語っているのは、損失を小さく抑えて、できるだけ利益を伸ばすように心掛けていると、例え勝率が5割でも、あるいは3割以下でも、トータルで利益が残せるというものです。同時にどんなに優れた考え方、手法であっても、無批判の適用では大失敗する可能性があるとも述べています。今回の問題は、そのことを理解する実例だと言えます。


そもそも損小利大というのは、コストから遠い利食いレベルよりも、近くにある損切りレベルが先につきやすいという問題を抱えています。どんな価格帯の株価も、1日に10、20円動くのは珍しくありません。仮に1割やられたら必ず損切ると決めているとき、株価が500円以上の銘柄ならば、毎日20、30円動いても、損切りレベルに届かなければ静観していていいでしょう。


ところが100円以下の銘柄では、10円も動けば必ず損切りレベルに達してしまいます。こういった銘柄で杓子定規に損小利大を心掛けていると、いたずらに損切りばかりが引っ掛かるようになってしまうのです。したがって、損切りだけがリスク管理なら、(1)カラ売りしても買ってもリスクが高いので手を出さないほうがいい、を正解にしてもいいのです。


しかし、リスク管理とは、儲けるためにリスクは取るが、リスクの量を一定の範囲内に収めるようにするというものです。そういったリスク管理ができるならば、損切りだけにこだわる必要はありません。


100円以下の銘柄なら、単位株の1,000株買ったところで、10万円以下のコストで納まります。そして、その銘柄が上がり続ければ、元手の何倍も儲けることができます。こうしたリスクとリターンの関係を見ていると、コールオプションのロングに似ていますが、オプションでは満期日までにコスト以上に値上がりしないと儲けることができません。


しかし超低位株のロングでは、会社が潰れない限りゼロにはなりませんし、タイムディケイによる価値の目減りもありません。ここで、100円以下の銘柄を10銘柄1,000株ずつ買ったことを想定してみましょう。最大のリスクは、すべての銘柄がゼロ円になることですが、それでも最大損失は100万円を超えません。仮に半分の銘柄がゼロ円になっても、残る半分の銘柄が2倍以上になっていれば、収益を残すことができるのです。


いま数百円で取引されている銘柄、例えば、いすゞ自動車、住友金属工業、神戸製鋼所などの2002年、2003年頃の株価を見てください。いすゞ自動車は2001年11月に100円を下回った後は31円まで売られますが、2003年6月に再浮上し急伸した後は二度と100円を割らず、2007年7月に720円をつけます。住友金属工業は1999年に100円を割れ、安値は36円、2003年8月に再浮上し771円まで買われます。神戸製鋼所は1999年に100円を割れ、安値42円、2003年6月に再浮上した後は521円まで買われます。この間、100円割れの銘柄で実際にゼロ円となったのは1割ほどだと思いますから、10銘柄を買っていれば、残る9銘柄で大儲けできたことになります。リスクを避けていたなら、得られなかった利益です。


(2)の、値段がすべてというのは、値段が現状のすべてを反映しているという意味で、将来の価格水準を暗示するものではありません。今回の問題の場合に、値段に素直に反応するなら、100円を下回ったからといってすぐには手を出さず、底入れを確認したと判断できた、40、50円で買うことです。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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