あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[投資心理に関する問題]

世間では曲がり屋として有名な株式アドバイザーが、あなたの持ち株を推奨しました。どのような行動が良いでしょうか?

正解は・・・
(1)相場で噂話はよくあること、値段を見て状況判断する

あなたは相場での売り買いの判断を、何をもとに下しているのでしょう?経済(マクロ)や企業(ミクロ)のファンダメンタルズでしょうか?テクニカル分析でしょうか?あるいは、証券会社の営業マンのアドバイスでしょうか?


相場で売り買いを始めるきっかけは数多くありますが、何がベストなのかは、結果だけで判断される世界です。しかし、いったん売り買いを始めてしまったら、ポジションに応じたリスクとリターンとがついてまわります。そのリスクとリターンとをもっとも正確に伝えてくれるのは、値段なのです。ここでの正解は、(1)相場で噂話はよくあること、値段を見て状況判断する、となります。


相場の世界には、相場の方向をよく当てて、カリスマと持ち上げられる人がいるかと思えば、いつもはずしていて、曲がり屋と呼ばれてしまう人もいます。この曲がり屋は、相場をはずして損をするのですから、その人の意見を聞く必要などなさそうなものですが、はずす確率があまりに高いと、彼の逆をやれば儲かることから、ネガティブ・インディケーター(反対指標)として重宝されるようになります。


とはいえ、当然のことですが、100%はずし続ける人はいないでしょうから、反対指標としていつも当てにするわけにもいきません。同じように、100%当て続ける人もいませんので、いずれにせよリスク管理が必要なのです。


相場での上げ下げは基本的に五分五分です。私などは、当たるも八卦、はずすも八卦を前提とし、当たる時を大きく、はずす時を小さくすることで、ネットでの収益を確保しようとします。相場は誰かの気まぐれな売買での動いてしまいますので、見方が正しく、経験が豊富でも、なかなかいつもは当たりません。


では、どうして相場を高確率で当てる人と、高確率ではずす人とが出てくるのでしょうか?


商品相場の高騰を予測したとして、投資家ジム・ロジャーズが、かってのパートナー、ジョージ・ソロス以上にカリスマ扱いされているようです。氏の見方が正しかったのは商品価格が証明してくれていますが、それだけでなく、氏や、氏の仲間のヘッジファンド、追随者などで、大きく買い上げたのですから、当たらない方が不思議です。


また、2、3年前に日本の高額納税者番付のトップになったことから、カリスマ・ファンドマネージャーとして、一世を風靡した人がいました。彼が買ったという銘柄には追随買いが入り、しばらくの間は当たり続けていたものでした。彼の場合も、時価総額が小さな銘柄に大量の資金を注ぎ込むのですから、当たらない方が不思議なのです。


彼らの相場観を否定するわけではありませんが、売り抜ける時の流動性リスクを無視すれば、大量の資金を持つ人は、誰でも常勝投資家になることが可能です。しかし、サブプライム問題でも明らかになったように、目先の利益に惑わされて流動性のないものに手を出すと、相場の反転時には売りたくても売れず、大きな損失を出すことになるのです。


一方、高確率ではずす人は、おそらく生真面目にファンダメンタルズや、割高割安を根拠にし、相場の持つパワーゲームの一面を忘れているのではないかと思います。結果的には正しくても、相場の要はタイミングだということを、思い出して貰いたいものです。


相場に入るきっかけは数多くあり、勝ち馬に乗るのも良し、曲がり屋に向かうのも良しです。大事なのは思惑とは逆にいった時の対処法を考えておくこと。また、そういった状況をもっとも正しく伝えてくれるのは、価格の動きなのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「投資心理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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