矢口新の『トレードセンス養成講座』
相場の世界で勝ち組になるためには、価格の変動要因やリスク・リターンなどの本質を掴まなければなりません。
わたし矢口新が監修するこの講座で、あなたも「相場力UP」を目指しましょう。
あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

会社勤めが忙しいあなたは、自分が買った銘柄の値動きをしばらく見ていませんでした。ある日、新聞を読むと持ち株が上場来最高値をつけたという見出しを見かけました。出来高は落ち着いた感じで、投機的な上げではなさそうです。どのようにするのがいいでしょうか?

正解は・・・
(2)一旦利確する

利食いの強いところは資金力が増えることです。増えた資金力を自由に有効に活用できる可能性を得ることができます。他の選択肢も場合によっては正しいのですが、勝負をする限りはそれなりの覚悟が必要です。会社勤めの片手間に買ったままにしておいて、たまたま見た新聞で儲けているのを知るような環境では、勝ち逃げするのが賢明です。正解は、(2)一旦利確する、となります。


私は相場では利食いこそが勝負を決めると思っています。相場が思い通りには行かないときの「損切り」は重要どころか、必須で、事務処理的に行います。上げ下げ5割の確率の損切りを徹底し、そのコストを低く限定することにより、思惑通りの展開のときの勝負に備えるのです。


私は相場での上げ下げは、所詮5分5分だとみなすべきという考え方をしています。経験を積み知識が増えれば、相場観が当たる確率が増すのは事実ですが、これで安心だというレベルにまで到達した人を知りません。むしろ生半可に相場観がよくなったために、無用な自信をつけて、相場が逆に行った場合の対処が遅れてしまう人ならたくさん知っています。百戦錬磨であるはずのプロのディーラーのなかにも、過信で滅びた人は多くいます。相場に入るには相場観が必要ですが、入ってしまった後は、上げ下げ5分5分なんだと、謙虚に思っていた方がいいのです。


株式を買ったなら、上げる確率は50%。下げる確率も50%。株価は常にぶれますので、あらかじめ想定していたぶれ以上に下げたなら、売って損切ります。そして、もう一度どこかのレベルで買うのか、あるいは売りを建てるのか、まったく別の銘柄で再起をはかるのか、いずれにせよ、いつかどこかで再挑戦するのです。波に乗れていない時には、辛抱強くいい波が来るのを待つのも一考です。自分が乗れていない時に、勝負を焦るのは禁物です。


勝負は波に乗れている時に行います。株式を買ったのなら、株価が上がった時が勝負です。そして今回の問題のような、上場来最高値や年初来高値、チャートポイントの抵抗線は、株価を上下に弾く力を秘めています。すなわち、そこに届いて、そこから下落する場合も、抜けて、そこから更に上昇する場合も、大きな動きになることが多いのです。


今回の問題には買いコストが入っていませんが、上場来最高値なのですから、明らかに利食いゾーンにいます。ここで勝負を継続するなら、(1)そのまま保持、を選択し、さらに大勝負をかけるなら、(3)買い増しをする、となります。


高値更新はテクニカル的には買いシグナルです。とはいえ、実際のチャートを検証してみればよく分かりますが、その買いシグナルはいわゆる「騙し」で、その後に売られるケースの方がむしろ多いのです。そして、さらに詳しくチャートを検証してみると、売られる場合の多くは出来高が急増していることに気付きます。つまり、投機的に買われて高値を更新すると、高値更新が達成感につながるケースが増えるのです。今回は出来高が平凡で、投機的な感じがありませんから、すなおに買いシグナルに従い、どこまで上がるのかを楽しみにするのも選択肢に入ります。ここから投機筋が新規に参入してくることも考えられるのです。


(1)を選択し、利が乗った状態での様子見は決して悪いことではありません。このとき、上伸するようだと、そのまま利を伸ばすか、買い乗せるかの選択ができます。この場合、下げ始めたなら、早めに利益確定の売りを出します。


(3)の買い増しは、余勢をかって大勝負に出ることを意味します。大きく動く相場で、利益を最大限に膨らませるには、怖くても嵩にかかって攻める必要があります。これを「買い乗せ」といいます。同じ量を買い乗せすると、そこからの上げ下げは、これまでの2倍のスピードで進みます。つまり下げ始めると、それまでの利益も含めてあっと言う間に吹き飛ばすので、下げ始めると最後に買ったコストを基準に、早めに売り逃げることが大切です。会社勤めの片手間で行うには、無理があると思います。


投資や投機に使う資金は、他のどこででも使うことのできる資金です。銀行などに預ければ、元手資金は確実に利息がついて増えていきます。タンス預金といった形で現金のままで置けば、増えることはありませんが、いつでもどこでも使うことができます。


相場でポジションを持つと、その期間は資金を固定され、元本も保証されませんので、不自由に、不確実になった分のリターンを期待していいのです。利食いは、資金が大きくなって帰ってくるだけでなく、いったん失った自由を取り戻すことにもなります。ここは確実に利食っておきたいところです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「個別銘柄に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

 

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矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1

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プロフィール

実践・生き残りのディーリング

【監修】矢口新(やぐち・あらた)

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。 著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。 新著『実践・生き残りのディーリング』は4月12日発売。

 

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