今週の解答
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なかなか損切りできないあなたは、証券会社のパンフレットでeワラントの存在を知りました。損は投資金額に限定されており、利益はレバレッジが効いていて株式投資より大きいという金融商品です。個人投資家がeワラント取引をやってもいいのでしょうか?
(2)損失限定とはいえ、難しい金融商品は手を出してはいけない
相場は、勝てば官軍の世界です。今風に言えば、勝てば自由世界を守る軍、負ければテロリストです。つまり、どんなやり方でも、勝ちさえすれば正解だと言えます。しかし、ここは私の『トレードセンス養成講座』ですから、私なりの筋は通させて貰います。ここでの正解は、(2)損失限定とはいえ、難しい金融商品は手を出してはいけない、となります。
この『トレードセンス養成講座』を、ここまで読み進めてきたあなたが、まだ「なかなか損切りできない」のだとすれば、私はあなたに損切りしない投資法を薦めるしかありません。
たとえば、11月1日時点のニュージーランドドルは88円50銭ほどですから、89万円で1万ニュージーランドドルを買ったとします。1年経てば金利が8%ほどついて、10,800ドルになります。金利がずっと8%だとすれば、2年で11,664ドル、5年で14,693ドル、9年で19,990ドルと、約2倍になります。
この時、円高になればどうするか?ニュージーランドドルが45円以上であれば、それでも日本で普通預金していたよりも多くの円貨が得られます。しかし、何も円に戻して使う必要はなく、ニュージーランドドルで19,990ドルをそのまま使う、あるいは有利ならば米ドルやユーロなどに換えて使ってもいいのです。では、仮に130円くらいの円安になっていればどうするか?89万円が260万円に増えたことになります。
ニュージーランドドルは金融商品でなく通貨ですから、換金せずとも使えますし、またどの通貨にでも交換することができるのです。この方法では、円高にいけば現地通貨のままで金利を取る、円安にいけば円に戻して利益を得ることができます。
あるいは、11月1日の時点でオンライン証券などで買える額面50円以下の日本株は38銘柄あります。このうち、さすがにNOVA(4655)を避けるとして、残りの37銘柄を1,000株ずつ買っても111万円ほどにしかなりません。さらに厳選して、30万円捨てたつもりになって、10銘柄ほどを買い、その値上がりを待つのです。
投資金を捨てたつもりで、値上がりを待つ。どこかで聞いたことがありませんか?損失限定でリターンが大きいというeワラントに似てますね?何が違うかというと、株価が動かなくても低位株はそのままですが、eワラントは次第に減価し、いずれはゼロになってしまいます。低位株も潰れればゼロにはなりますが、10銘柄全部が潰れることはまずありません。そして、過去にいくつもの実例があったように、この中の1つでも10倍以上に値上がりすれば、全体としての利益が上がります。
ここで、eワラントとは何かを整理してみます。eワラントとは、ゴールドマン・サックスが提供する金融派生商品で、個別株式、株価指数、外国為替などを対象として発行され、インターネット証券を通じてリアルタイムに取引ができます。同社のホームページにはこうあります。
eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式・株価指数、投資証券(REIT)、預託証券、国債先物、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。
また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。
また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券内容説明書をご参照ください。(引用終わり)
eワラントとは、上記商品を将来の一定期日(満期日)に、特定の価格(権利行使価格)で買う、または売ることができる権利です。つまり、コールオプションあるいはプットオプションを買うことです。
オプションとの違いは、
ロング(権利の買い)のみであること。
対象となる商品が多いこと。
取引時間が長いこと。
少額から行えること、などです。
ここで、他の選択肢をみてみます。
「(1)損失限定でリターンが大きいのでおすすめできる」は、確かに損失限定なのですが、オプションのロングをなさった方ならご存知だと思いますが、タイムディケイ(時間による減価)はけっこう厳しく、失ってもいい資金でなどと考えていると、本当に失くしてしまうのが常です。
「(3)相場の経験が豊富な個人投資家のみ手をだしてもいい」は、経験が豊富な方で、この手のものがお好きな方なら、オプションをやるべきでしょう。オプションなら、様々に組み合わせて、いろいろな相場付きに対応することが可能です。
しかし、どのように複雑なデリバティブを駆使しても、相場は最終的には価格の上げ下げに行き着くのです。ならば、最初からエネルギーのすべてを価格の上げ下げをどう見るかに費やし、思惑とは違った場合のリスク管理(損切り)を徹底する規律を高めることの方を、私はお勧めします。
見事正解だったあなたは・・・
油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。
書籍
プロフィール
- 【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。
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