あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

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外国人の日本市場への注文は株価に大きな影響を与えるという話を聞きました。市場の寄り付き前の外国人の売り注文・買い注文の動向は、手間がかかっても調べた方がいいのでしょうか?

正解は・・・
(2)外国人の売買注文の動向は大雑把な数字なので、参考程度に見る

ここ何年かの日本の株式市場が外国人の動向によって大きく左右されることはよく知られたところです。日本株だけでなく、現在の世界の株式市場は非常によく連動していて、世界が一繋がりになっている感があります。先日の英経済紙ファイナンシャルタイムズ紙には、2007年初から11月中旬までの、世界の株式市場とユーロ円との相関関係は93%もあるとの記事が出ていました。その意味では、前日の海外市況や為替の動きだけなく、寄り付き前の外国人の注文動向を知ることは、それなりの意味があるといえます。


ところが、日本市場の寄り付き前に出される「外資系注文状況」は公式に発表される数値ではなく、外資系各社の思惑を反映させる余地をもった曖昧なものです。あなたがそれを手掛かりに相場観を立てたり、売買するには心もとない数値なのです。そうは言っても、その動向は広く知れ渡り、何らかの参考にする人もいるでしょうから、あなたも参考程度に押さえておくのがいいでしょう。正解は(2)となります。


オーダーの有無や量、その位置を知ることは相場に役立つと言えば役立ちます。私がニューヨークで為替のディーリングをしていた頃は、為替では証券会社は銀行の顧客だということもあって、東京が残していったオーバーナイト・オーダーをこと細かく教えてくれる人がいました。輸出入がらみの実需玉、生保玉、年金や貸付信託といった信託玉、銀行のポートフォリオ玉などといったオーダーの量と位置を知っていることは、実際の売買に役立つというよりは、相場の全体像をつかむために役立ちました。


実際の売買により役立つオーダーの情報はオプションがらみの情報です。バイナリー・オプションの情報は、金額が桁違いに大きい上に、そのレートがつくとオプションが消滅してしまうといったことから、そのレートをめぐっての攻防が行われます。つまり、そのレートは防衛によってなかなかつかない壁となっているのですが、ついてしまうと、買い戻し売り戻しによってレートが飛ぶのです。これらの情報は、知るのと知らないとの間に大きな差を生じさせます。


では、「外資系注文状況」はどうでしょう?。たとえば、フィスコの相場情報ページ、Fisco Gateには、外資系注文状況(2007年11月30日08時12分)として、以下のように出ています。


「13社、差し引き480万株の売り越し
朝の外資系証券13社経由の注文状況は、
売り4750万株、買い4270万株、差し引き480万株の売り越しとの観測」


この数値は、前日の午後4時頃から当日の午前8時頃までに、外資系各社に置かれた注文を反映しています。この数値の扱いは各社の裁量に任されていて、某社は数日間も入れっぱなしになっている、時価から遠過ぎてつきそうもない注文をも含まれ、また他社は成り行き注文は除外しています。


この数値は現物の個別株の売買注文で、株式市場で最も大量の売買を行うバスケット注文は含まれません。また、寄り付きの1時間前までに置かれる注文なのですから、どちらかといえば、おおらかなタイプの注文で、ヘッジファンドからの注文などは含まれてないと思っていていいでしょう。また、本邦の投資家も8時前に注文を入れて、後は何もしないなどとは考えられません。


要するに、この数値は実際の注文だとはいえ、投資家の注文の全体像を与えてくれる数値ではなく、1タイプの投資家のごく一部の情報しか与えてくれません。あなたも、上記などのページを参考程度に見るだけで十分かと思います。ちなみに、売り越し注文であった11月30日前場引けの日経平均は、184.71の上昇となっています。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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