あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

コーヒーが大好きなあなたは、株主優待にひかれてコーヒーショップの株を購入し、3カ月後の権利確定日を待っていました。しかし、コーヒー豆の不作が伝えられ、持ち株の価格が持ち値から2割ほど下落しました。このような場合、どうすればよいでしょう?

正解は・・・
(2)優待目当てで含み損を抱えるのはナンセンスなので売却する

株式投資を行う目的は、必ずしもキャピタルゲインばかりではありません。そもそも企業に出資するのは、その企業が行っている事業をサポートするのが本来の姿だとも言えますので、株主優待制度が目当てでもいいのです。


とはいえ、本養成講座はキャピタルゲインを狙う人のためのトレードセンスを養成するものです。あなたの投資額がどれほどのものか分りませんが、持ち株の値下りがコーヒー何杯分かの損失だというわけではないでしょう。コーヒーが大好きなら、値上がりしそうな銘柄を買って、そのキャピタルゲインで飲めばいいのです。二兎を追ってはいけません。正解は、(2)優待目当てで含み損を抱えるのはナンセンスなので売却する、となります。


株式投資から得られる経済的な利益は、キャピタル・ゲインと配当、株主優待制度があります。配当と株主優待制度が合わせて年率6%の収入に相当する銘柄があったとすると、その銘柄は3カ月で1.5%の値下がりに耐えることができます。2割の下落が3カ月後には1.5%以内に戻っている可能性はありますが、それ以上に下落している可能性は否定できません。(1)の「3カ月で値を戻すことを期待し、とりあえずは確定日まで保有する」のようなことをしていると、何が目的で株式投資を始めたのかを見失ってしまいます。


また、(3)の「空売りで含み損をヘッジし、確定日まで我慢する」ことは、失った投資額の2割と空売りのための貸株料を支払って、株主優待制度を買ったことになってしまいます。これは株価が上がっても下がっても確定したコストですので、たいへん高いコーヒーを飲むことになります。


人の幸せはお金からだけでもたらされるものではありません。有り余るお金は、時に人の幸せを奪ってしまいます。今年4月に発売された拙著『実践・生き残りのディーリング』の前書きには、このように書いています。


お金は人を幸せにもしますが、不幸せにもします。たとえば5万円のディナーを食べるとき、月収が20万円の人と、日収が20万円の人の、どちらがより大きな幸福感を味わえるでしょうか?


5万円のディナーは、1回の食事としては最高級のものに属します。それでも日収の4分の1でしかなく、日常のありきたりの幸福感しか味わえないとすれば、お金はその人の幸せを多少なりとも奪ってしまっています。もちろん、もっと高価なディナーを味わうことは可能ですが、いきつくところは、限りなくゲテモノに近くなっていきます。食事だけではありません。だれかさんのように高級外車を色違えで何台揃えても、また、だれかさんのようにとっかえひっかえ芸能人とデートしても、お金があるために、もっと選択肢が広がったような気がして、「かけがえのない」幸福感からは遠ざかるのです。


お金で幸せになりたいのなら、幸せになる方法で、お金を増やさねばなりません。好きな仕事がお金に結びつくことが一番です。相場でお金を儲けるにも、幸福感の味わえるやり方を見つける必要があります。一発勝負ではなく、長く続けられるやり方をみつけることは、すぐに大金に結びつくことがなくても、自信や満足感につながります。幸せになれる方法なのです。


相場に真正面から向き合い、日々研鑚していると、知識が増え、経験が増え、それなりに資金力が増えていきます。運がよければ、大儲けもできます。また、相場はある意味戦いの場ですから、真正面から向き合っていると、先輩、同輩、後輩、あるいは取引先のなかに、戦友とも呼べる、頼りになる仲間ができてきます。これらすべてが、自分の可能性を大きく広げるのです。


少し本題から逸れましたが、その人さえ幸せなら、株式投資を行うにも損得勘定抜きで、例えばその会社の部分的なオーナーになりたい人がいてもいいのです。「うちの社のコーヒーは格別の味がする」という思い入れは、実際の味覚や価値観にも影響するものです。「蓼食う虫も好き好き」ではありませんが、他人から見て必ずしも評価が高いものではなくても、思い入れはその評価を高めます。


とはいえ、外部環境はしばしばその思い入れを壊してしまいます。「金の切れ目が縁の切れ目」という寂しい言葉もあります。あなたが好きなはずのコーヒーも、「この1杯が10万円か…」などと思って飲んでいたなら、いつもよりも苦く感じ胃もたれしてしまうものです。


少々味気ないかも知れませんが、あなたとその銘柄との関係を崩さないためにも、値下がるものはいったん損切ってしまいましょう。事業をサポートしたかったなどと言っても、あなた自身もその業績の見返りに預かりたかったはずです。それは株主優待制度で飲める何杯かのコーヒーなどではなかったと思います。株式投資によって、自分が本当は何を望んでいたのかを突き詰めれば、正解は(2)以外にはないのです。そして、どうしても株主優待を受けたいのなら、確定日の前日にでも判断し直せばいいのです。ただし、その株主優待制度がそれほど魅力的なものだと、確定日後にその経済効果分だけ下落してしまうこともあり得ます。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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