あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

あなたは革新的な技術を次々と発表しているある企業に目をつけましたが、高値圏のためなかなか手が出せませんでした。そんな時、その企業の社長の個人的なスキャンダルが発覚し、株価は大きく下げました。そんな時はどうすればよいでしょうか。

正解は・・・
(3)不祥事の影響が読みきれないうちは手を出さない

スキャンダルで株価が下げるようなリスクを、イベントリスクと呼びます。イベントリスクはその銘柄に投資を始める時点では見えてないリスクですので、スキャンダルが出た時点では想定外のこととして売り払うのがいいのです。


しかし、この問題の場合にはまだ投資を始めていませんので、企業のファンダメンタルズやテクニカル分析に加えて、新たに出たスキャンダルも投資判断の材料にすることになります。したがって、売り買いを始めるにあたっては、このスキャンダルも相応に分析しなければなりません。正解は、(3)不祥事の影響が読みきれないうちは手を出さない、となります。


国や企業など、投資対象を分析するファンダメンタルズ分析は、国や企業が提出する資料、数値が正しいものと見なすところから始まります。したがって、不正会計や製品の不具合、重大な事故の隠ぺい、原材料や賞味期限の不正申告など、悪意による資料、数値の改ざんだけでなく、会計基準の変更や解釈の違いなどによっても、判断のもととなる資料、数値が変わってきます。企業によるスキャンダルは企業業績の数値をも大きく変えてしまうのです。つまり、投資に至った前提が崩れているのですから、投資判断の変更を余儀なくされることになります。


一方、社長個人のスキャンダルでも、いやしくも企業のトップなのですから、その不祥事が株価にネガティブな影響を与えるのは避けられないと言えます。とはいえ、重厚長大産業などの官僚的な社長と、個人の魅力で会社を支えているような社長と、どちらのスキャンダルがその企業にとって深刻かは疑う余地がないでしょう。殊にワンマンなオーナー社長のスキャンダルなどは、そのまま企業業績に反映される恐れが出てきます。したがって、同じようなスキャンダルでも、企業によって与える影響が違ってくるのです。その影響を見極めるまでは手を出すべきではないでしょう。


そもそも、革新的な技術を次々と発表している高株価の企業に目をつけた時、あなたは、単純に高値圏だと敬遠してしまわないで、どのような買われ方をしているかに注意を払うべきでした。


一定した出来高で、徐々に値を上げてきているとすれば、しっかりとした投資的な(=保有する)買い手によって上げてきていると考えることができます。たとえば、株価の上昇率が企業収益の伸び率を下回るようなものであれば、確かに高値圏には違いがなくても、投資物件としては危険なものではありませんので、このような買われ方をします。こんな銘柄はどこまで上がるか分からないので、まずは買ってみるのです。


勢いよく上がってきた株価が、高値圏でしばらく横這い始めたなら、買い手が続かなくなってきたと考えられます。こういう銘柄には利食いが出やすくなりますので、待っていれば押し目を買える確率が高まります。とはいえ、横這っているときに出来高が急増していたなら、大量の利食いを受け止めている買い手がいると思われますので、逆に上に跳ねる確率が高まってきています。投機的ではありますが、高値を買ってみるのも一考です。


株価が高値圏で上下に大きな波乱を始めたなら、投機的な買い手、売り手に翻弄されています。このような場合には、山越えを見極めて売り、谷越えを見極めて買うのが一番です。


その上で、どのような場合にでも、当初の想定にはなかったスキャンダルでは売り払ってしまいます。


社長の個人的なスキャンダルだとはいえ、場合によってはその企業の存続そのものが危うくなります。安くなったからと安易に飛びつくのではなく、その影響を慎重に見極めるのがいいでしょう。他に無傷な銘柄はたくさんあるのですから。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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