あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

あなたは、老後に備える長期保有のため、収益力、成長性などを分析し、割安だと判断した銘柄を買いました。しかし、買った直後から、これといった要因が見当たらないのに1割以上値下がりしました。このような場合、どうすればよいでしょう?

正解は・・・
(2)下げ続けるようであれば売る

企業の収益力、成長性などは、営利企業の良し悪しを計るのに重要な指標です。ところが、そういった、いわゆるファンダメンタルズと、実際の株価とには何らかの相関性はあっても、直接的なつながりはありません。ファンダメンタルズを拠り所に、ずるずると損失を拡大してしまうのは、相場でもっともありがちな失敗例なのです。1割以上という下げ幅が、どれだけの意味を持つかは、これだけでは分りませんので、すぐに手仕舞う必要はありませんが、下げ続けるようであれば売らねばなりません。正解は、(2)となります。


長期投資なのだから、目先の値動きにとらわれてはいけないのは、正論です。しかし、それが目先の無視してもよいような値動きなのか、本質を伴った重要な値動きなのかは、時間が経たねば分かりません。あなたがこの値動きを目先の「ゆらぎ」だと判断するのなら、ゆらぎの範囲を決めねばなりません。つまり、想定以上に下げ続けるのならば、目先のゆらぎではない可能性がありますので、売らねばならないのです。


どんなにファンダメンタルズが安定して良い銘柄でも、株価の上げ下げによって割高になったり割安になったりしています。そこで、長期保有のためには割安であるときに買うようにします。高値を追ってはいけないのです。高値を追うのは、それ以上に高く売ろうとする投機家の仕事です。投機家は短期保有で、上がらねばすぐに損切って売るつもりだからいいのです。簡単には売らない長期保有ならばこそ、売らなくてもいい割安価格で買う必要があります。そして、老後に備えての長期保有なのですから、インフレ率以上には、少なくとも国債や銀行預金の金利以上には値上がりして貰わねば困ります。


いかに老後に備えた長期投資だといっても、本当に老後まで持ち続けることはありません。割安で買えた銘柄が、いつまでも割安のままでいるのは良い傾向ではありませんし、割高になれば値下がりリスクが高まります。また、保有している間には不祥事が起きたり、経営者が変わったりもします。会社そのものがなくなることも珍しくはありません。つまり、長期投資でも買った当時の前提がいつまでも続くことは期待できないのですから、割安時に買って、割高で売るのがいいのです。


割安を買うことで有効なのは、割高に変わる過程で値上がり益が得られるばかりではありません。割安のままでいたり、さらに割安になれば、投資判断の誤りを示唆してくれることになります。つまり、自分が見過ごしていた悪材料や、計算ミスを暗示してくれるのです。これが割高を買ってしまっていたなら、これくらい下がるのは当たり前だと思ってしまい、見知らぬ悪材料や計算ミスを見逃してしまいます。割高を買ってしまったのだから当然だと、値下がりしていても損切りの決断が下せなくなるのです。


割安なはずの銘柄が、さらに1割以上も安くなるのは悪い兆候です。ただし、もともとボラティリティの大きな銘柄なら、1割くらいの「ゆらぎ」はあり得ます。また、市場全体が大きく売られていて、1割くらい下に引っ張られることもあります。長い目の投資で、その判断に自信があるのなら、これくらいの下げは十分に許容の範囲です。しかし、下げ続けるようであれば、いつでも再投資の機会はあるのですから、いったん売り払って判断し直すことが重要です。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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