あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

相場全体が軟調な中で、じりじりと値を上げてきた銘柄が、含み益が2割を超えたあたりで下げ始めてきました。ファンダメンタルズが良好なのでこのまま保有し続けようかと思っていますが、良く調べてみるとこのところ出来高が大きく投機的な値動きではないかとの不安もあります。このような場合、どうすればよいでしょうか。

正解は・・・
(1)上がったものは下がるので、ひとまず利確する

株式投資の原点は、ビジネスに出資してその分け前に預かることにあります。その意味では、ファンダメンタルズが良い銘柄が上がるのは当たり前なことです。ところが、売られ続けている株式市場にも、ファンダメンタルズの良い銘柄はたくさんあります。残念ながら、ファンダメンタルズと株価との間には、直接的なつながりはないのです。これまで上げてきたあなたの銘柄も、これから下げ相場の仲間入りをしないとは誰にも言えません。2割の利益といえば、もし半年で達成していたなら年率40%という大したものです。下げ始めてきたのなら、ここはいったん利食ってしまいましょう。正解は、(1)上がったものは下がるので、ひとまず利確する、となります。


では、なぜファンダメンタルズの良い株でも売られるのでしょう?株式市場とは、株式発行により資金調達しようとする企業と、資金を株式で運用しようとする投資家との出合いの場です。発行企業が株式の本質的な売り手で、投資家が株式の買い手です。株式公開(上場)時の資金調達では、売り手と買い手とはこのようにはっきりと分かれています。この時、調達したい資金に比べて、運用したい資金が少なければ株価は安く発行され、逆の場合は高くなります。


公開後の株式発行を増資といいますが、これは企業による株式の供給、追加の売りとなります。ファンダメンタルズの良い企業が行う増資は、事業拡大のためなどの前向きの資金調達で、材料的にはポジティブです。一方、ファンダメンタルズが悪い企業が行う増資は、いかに美辞麗句で飾っていても、企業自身が生き延びるための、後ろ向きの資金調達の疑いが濃く、材料的にはネガティブだと言えるでしょう。この場合にも、売り手の企業と買い手の投資家とははっきりと分かれています。この時、追加供給に比べて、その株式に対する投資家の需要が少なければ株価は下落し、逆の場合は上昇します。


ここでの問題点は、ファンダメンタルズの良し悪しと、投資家の需要量とが必ずしも一致しないことです。投資家の資金は有限です。借金をする信用力も有限です。投資家はその限りのある資金を、できるだけ安全でかつ有効に利用しようとします。国債など安全性の高い金融商品の金利が十分に高い時には、多くの資金がそこに流れてなかなか出てこなくなり、現在のように安全性の高い主要国の国債の金利が低い時には、より多くのリターンを求めてリスク資産に資金が流れ込みます。投資家の資金は他のどこの市場でも、どんな形ででも運用できる資金なのです。


あなたの保有しているファンダメンタルズの良い銘柄は、その企業による増資という形で売られる可能性があります。また、あなたと同じように保有していた投資家が、他での資金不足の穴埋めに売ることもありえます。あるいは、他の投資物件に目移りすることもあります。下げ相場の中で値上がりしたために、株価収益率などで相対的に割高になったことを嫌う人がいるかも知れません。十分な利益が出たと利食う人もいるでしょう。


そういった売り手の意欲や事情が、買い手のそれを上回ると、株価は下げ始めます。下げ始めると、下げ相場を狙って空売りする連中が出てきます。高値を買った人の投げも出ます。通常、投資家は出来るだけ相場に影響を与えないよう徐々にポジションを膨らませますので、出来高が大きいのは投機家が値上がりにつられて参入していることの暗示です。その場合は、下げがきつくなります。このようにして、株価はいつの間にか下げトレンドに入ってしまうのです。そうなる前に、まだ下げ始めの初期に、あなたも売った方がいいのです。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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