あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[その他の問題]

あなたは父親の遺産としてある銘柄を相続しました。調べてみると、数カ月前に不祥事が発覚し大きく値を下げた後、そのまま横ばいの状態でした。この銘柄をどうするのが最もよいでしょうか。

正解は・・・
(2)元々コストはかかっていないので、反発を期待して保有し続ける

この問題の答えは生き方の問題だともいえるので、どのような答えを選んでも必ずしも間違いではありません。とはいえ、ここではトレードセンス養成という立場から、相場観を反映した解説をいたします。相場は常に上がる可能性も下がる可能性もあるのですが、ここは下げ余地は限られていると見て、(2)の「元々コストはかかっていないので、反発を期待して保有し続ける」を正解とします。


遺産を相続した場合といっても、相続額もさることながら、相続した人の経済状況によってもその重みが変わってきます(ここでは、相続税の支払いなどは無視します)。また、その重みの違う新たな資産の利用方法にも、さまざまな考え方ができるでしょう。あえて、そのパターンを分類すると、


(一)現有資産、収入に比べて大きな資産を相続するので、すぐに全部を現金化して生活レベルを上げる。
(二)現有資産、収入に比べて大きな資産を相続するので、半分だけ現金化し、残りの値上がり益を期待する。
(三)現有資産、収入に比べて大きな資産を相続するので、ビッグになる夢を追って、全額相場での値上がり益に賭ける。
(四)現有資産、収入に比べて小さな資産を相続するので、すぐに全部を現金化して臨時ボーナスと見なす。
(五)現有資産、収入に比べて小さな資産を相続するので、現金化して使ってしまうより、夢を残す。


(一)の場合、住宅ローンの返済などに汲々としていたり、リストラなどで収入の道が途絶えているところに遺産で株式を手にしたなら、相場観とは関係なく売ることになります。これが、私が常々語っている「事情」に当たります。そうでない場合でも、一気に現金を手にすれば、少なくとも消費生活のレベルを上げることができます。


(二)は「意欲と事情」のバランスを取ることです。(一)のような「事情」を満たしながらも、値上がり益という夢を追う「意欲」を残すことができます。


(三)では、当面の生活には困らない人は、大きな夢を追うという「意欲」に忠実になることができます。


(四)は、今までの生活レベルには影響しない相続額なので、せっかくの遺産を夢を追ってなくしてしまうよりも、亡父からのプレゼントを享受するという考え方です。


(五)は、今までの生活レベルには影響しない相続額なので、思いがけない楽しみを求めて、亡父の夢をつなぐという考え方です。


そして、
(一)と(四)では答え(1)
(二)は答え(3)
(三)と(五)は答え(2)
が当てはまることになります。この「意欲と事情」については、新著『矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1』で詳しく説明しています。


次に、相場観でこの銘柄を見てみましょう。不祥事で下げてから数カ月横ばっているのは、市場はその悪材料を完全に消化したとみなすことができます。もしその不祥事が企業の屋台骨を揺るがし、成長性を妨げるようなものであれば、その銘柄は下げ続けていたはずです。


悪材料がなくなっても、長く値上がりしない銘柄からは値上がり期待の投機筋が逃げていきます。それでも株価が下がらないのは、保有する価値があると考える(割安だとみなす)投資家が買っているからです。つまり、株価が横ばっている間は何も起きてないようでいて、実は所有者の質が変化してきています。値上がり期待だけで買ってきた投機家がいなくなり、長く保有する投資家だけが残っているのです。


この「投機と投資」についても、新著『矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1』で詳しく説明しています。そして、不祥事の前と今と明らかに違っているのは、株価が安くなっていることです。

こういった銘柄は、投資家の買いにより間もなく徐々に値を上げ始めます。値を上げ始めると、目ざとい投機家から順に参入してきます。新たな不祥事でもない限り、この銘柄は間もなく上昇トレンドに入ることでしょう。したがって、ここでの正解は(2)となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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