あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

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あなたは相場に慣れ親しみ、商品先物などでもある程度利益を出せるようになりました。しかし、両親からは「先物なんてギャンブルと一緒だ。儲けているうちに早く足を洗え」と言われます。相場、特に商品先物はギャンブルなのでしょうか。

正解は・・・
(3)ギャンブルではないが、その要素もあると考えたほうがよい

ギャンブル(Gamble、賭博(とばく)、博打、博奕(ばくち))とは、金銭や品物などの財物を賭けて偶然性の要素が含まれる勝負を行い、その勝負の結果によって賭けた財物のやりとりをおこなう行為の総称である。


英文の百科事典を調べても、ポーカーやルーレット、競馬や競技、イベントなどの勝者に賭けるといった実例が出ているだけで、上記の説明と変わりません。


(商品)先物の取引きでも、「賭ける」という言葉を使いますし、実際に商品や金銭のやりとりを行います。また相場も勝負事で、ギャンブルやスポーツの勝ち負けに共通するところがたくさんあります。


しかし、競馬場やパチンコ屋、雀荘やカジノでどのようなことが起きていようと、通常はそのことに関わっていない人たちには、何の影響も与えません。ところが、ニューヨークの商品先物市場で原油価格が100ドルを超えてくると、ガソリン代や電気代、製造業のコストなど、世界中の人たちの生活に直接、間接の影響を与えます。つまり、ギャンブルは閉ざされた世界で行われるが、相場は実体経済、私たちの生活に密接につながっているのです。正解は、(3)先物はギャンブルではないが、その要素もあると考えたほうがよい、となります。


ほんの数年ほど前まで、原油価格は長い間20ドル前後で推移していました。その頃言われていたのが、原油価格が30ドルを超えてくると代替エネルギーがペイするようになるというものでした。重油を含んだ砂であるオイルサンドから重油と砂を分離させるのも、ペットボトルのリサイクルも、原油価格が40ドルにならなくてもペイすると言われていました。原油は最も安価で実用的なエネルギーであったのです。


もっとも、商品相場全体が値上がりしていますので、代替エネルギーのコストも上昇しています。しかし、オイルサンドから重油を取り出したり、ペットボトルのリサイクルでは、人件費など他のコストが上がったとしても、以前より数パーセントの上昇でしかないでしょう。つまり、このまま原油価格が上昇すればガソリンなどの値上げによる需要減に加えて、石化製品のリサイクルによる需要減、代替エネルギー開発によるエネルギー全般の供給過多などで原油価格は急落してしまいます。つまり、商品価格の動向と実体経済とは互いに大きな影響を与え合っているのです。


とはいえ、実体経済が暗示する通りにいつも商品価格が動くのかというと、そんなことはありません。実体経済はより多くの制約があるために動きが鈍いだけでなく、相場には実体経済を反映する実需筋だけでなく、思惑によりキャピタルゲインを狙う投機筋がいるからです。


相場における投機筋の役割については、拙著『実践・生き残りのディーリング』に詳しく述べていますので、ホームページの「13.投機筋にできること」「14. 投機とマーケットメイキング」「21. 投資と投機 ―タペストリー第2理論―」の各項をお読みください。


いま世界は運用資金と投資物件とのバランスが大きく崩れていて、プロの運用担当者はなにがなんでも運用成績を上げたいために、危険な投資物件だと認識しているものにすら投資しています。サブプライム・ローン関連商品などもその一例で、他にもいろいろあります。比較的市場の小さな原油市場に大きな資金を注ぎ込むことも危険なことですが、原油価格を100ドル以上に買い上げた主力は投機筋です。


プロの運用者は金などの貴金属やベースメタル、穀物など、ありとあらゆる商品を買い上げています。その1つの大きな要因は主要国の金利が低すぎて、金利商品から十分な利回りが得られないためで、この傾向はもうしばらく続きそうです。


こういったマネーの動きは悪いことばかりではありません。解体に瀕していたロシアが復活し、長年にわたって債務国の代表格であったブラジルが2008年になって債権国に変わりました。世界は先進工業国だけがパワーを持った時代から、資源国、農業国などへ広くパワーの分散が始まっています。先物に先導された商品価格の上昇がなければ、ロシアもブラジルも、これほど早く回復することは望めませんでした。


商品価格は実体経済と密接に結びついています。先物市場でその取引を行うことは、実体経済を理解することにもつながります。とはいえ、市場価格はそれぞれの参加者の事情や思惑でも動きますので、ギャンブル的な要素も強いのです。負ければ負けるほど熱くなるような破滅型の人は、「儲けているうちに早く足を洗う」のがいいかも知れません。。今回の問題に関しては、ホームページの「11. 相場はギャンブルではない」もお読みください。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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