矢口新の『トレードセンス養成講座』
相場の世界で勝ち組になるためには、価格の変動要因やリスク・リターンなどの本質を掴まなければなりません。
わたし矢口新が監修するこの講座で、あなたも「相場力UP」を目指しましょう。
あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[ニュースに関する問題]

あなたは少し前から外国為替証拠金取引(FX)を始め、今は米ドル/円の取引をしています。そんな時、南米のある国で紛争が勃発しました。経済的にも混乱し、その国の通貨は、対米ドルで4分の1ほどにまで暴落しました。ここで儲けを出すにはどうするのが一番良いでしょうか。

正解は・・・
(3)事前 にスタンスを決めず、値動きに従う

何度かこのオンライン講座を読まれた方か、拙著の読者の方々ならほぼ全員が(3)を選ばれたことと思います。相場歴20数年の今でも、私が思わぬ損失をする時は決まって、値動きに従うことを忘れた時です。正解は(3)の「事前にスタンスを決めず、値動きに従う」となります。


為替相場を動かす要因は数多くあります。貿易為替や旅行為替のような実際の外貨邦貨の需要は目先のニュースなどの影響はあまり受けませんが、国力のような大きな経済状況を反映しています。一方、外貨預金や外国証券投資に伴う為替手当は、金利差や証券市場の動向に大きな影響を受けます。また投機的な為替取引は、どんなことでも売り買いの材料としてしまいます。つまり、外国為替レートは2国間や複数の国々に関係したほとんどすべてのことの影響を、大なり小なり受けているのです。


問題文のような政情不安は地政学的リスクと呼ばれています。地政学的リスクでは、紛争などの当事国の通貨が売られるのが常識です。その国に投資していた資金の引き上げが行われるからです。実需的な資金の流れとしては、当事国の通貨が売られ、その国に投資していた国の通貨が買われます。南米諸国の場合ですと、円に帰る投資資金より、米ドルに帰る投資資金の方が大きいでしょうから、投資資金における実需だけではドルは対円で上昇することになります。


投機資金の動きとしては、問題文の(1)のように、有事に強いドルという解釈からドルが買われる場合と、(2)のように、紛争地域に近い通貨が嫌われるという解釈からドルが売られる場合とに分けられます。どちらも説得力がある場合には綱引きとなり、多くの支持を得た方が勝つことになります。ここで、注意を要するのは、どの通貨に対してドルが売買されるのかということです。


ドル円とは、ドルと円の取引です。有事の際にドルが対ユーロでどんなに売買されても、円が蚊帳の外に置かれてしまった場合には、ドル円は動きません。今回の問題のような場合に、南米のどの国で紛争が起きたなら、円が巻き込まれるのかを考える必要があります。


日本が大きな輸出を行っている国の場合には、輸出に対するダメージだけでなく、売掛金が回収できなくて、輸出代金の外貨売り円買いが減少することから、円安圧力がかかります。


日本が大きな輸入を行っている国の場合では、代替国から輸入をすることになるでしょう。仮に輸入数量が減少しても、おそらく輸入価格は上昇しているでしょうから、輸入金額は減らないことになります。ここでも多少の輸出の減少は免れないでしょから、やはり円安圧力がかかります。


つまり円にからむ実需面では、投資資金の引き上げによる円買い圧力と、貿易為替での円売り圧力との綱引きです。ところが、投資資金の引き上げによる米ドル買いは投資資金の引き上げによる円買いよりも大きいと思われるので、実需全体では結果的にドル円は上昇圧力を得ます。


こうして見ると、円よりも米ドルが買われそうなので、ドル円を買ってみたくなることでしょう。このように投機資金が考えると、ドル円は上昇します。


ところが問題文にあるように、米ドルはすでに買われているのです。南米の通貨が売られて4分の1になったということは、つまり、米ドルはすでに4倍に買われており、私の経験では、4倍というのはもうほとんど伸びしろが残っていないレベルです。したがって、このレベルでドル円を買っても、上昇余地よりも下落リスクの方がむしろ大きくなっています。


どうです?このようにストーリーばかり組み立てていっても、なかなかトレードは始められません。それよりも値動きに従えばいいのです。取りあえずドル円がどこまで上がるかを見ておいて、上げ止まったと見極めた所で売るようにします。手掛かりは、前の高値を抜けられなくなった時です。そして同じ手掛かりで、下げ止まったと見極められた所で買い戻します。もちろん、上げ止まったと見極めたつもりが、また高値を抜いてきたなら損切りします。その繰り返しで精度が高まってきたなら、トレーディングで収益が上がるようになってきます。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

 

書籍

矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1

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プロフィール

実践・生き残りのディーリング

【監修】矢口新(やぐち・あらた)

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。 著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。 新著『実践・生き残りのディーリング』は4月12日発売。

 

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