あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

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あなたは数ヶ月前に株式投資をはじめ、ある程度の利益を上げられるようになりました。しかし、会社勤めが忙しく、また「ギャンブル性が高い」といった声も聞くので、デイトレードには挑戦したことがありません。もし、2、3日の有給休暇が取れたとしたら、デイトレードに挑戦してみても良いでしょうか。

正解は・・・
(1)何事も経験なので、資金力の範囲内であればまず挑戦してみるのが良い

誰にでも、何事にも初めがあります。そして、どんなことにでも事前の準備が完璧ということはありません。やってみなければ分らないのです。正解は(1)の「何事も経験なので、資金力の範囲内であればまず挑戦してみるのが良い」となります。


あなたが株式投資を始めたのは数ヶ月前、利益も上げられるようになっています。デイトレードが他の株式投資の方法に比べて、敷居が高いなどということはありません。(2)の「急にではなく、事前に勉強するなど準備をしてからであれば良い」というのは、的外れです。


プロのディーラーは、見よう見まねのデイトレードから始め、それがうまくできるようになってから、ポジションの保有期間を長くすることを許されるようになります。「スイングや長期投資」こそが、ベテランが行うものなのです。あなたは失くしても自分しか困らない自己資金だからこそ、いきなりリスクのより大きな投資からスタートしたのです。したがって、(3)の「スイングや長期投資でベテランの域に達するまで手を出すべきではない」というのも、的外れです。


デイトレードは、「日計り商い」とも言い、朝買ったものはその日のうちに売り、売ったものはその日のうちに買い戻します。そして、相場が引けた後にはどんなポジションも残しません。プロの場合、ポジションを持ち続けないのは規制や社内ルールなどもありますが、眠っている間の価格変動のリスクを取らないためです。デイトレードでは目の前ですべてのトレードが完結しますので、むしろギャンブル性は低いのです。


株式市場は午後3時に大引けとなり、翌朝9時の寄付きまでは基本的に閉じています。そして市場が閉じている間にも、株価の変動要因となる様々な事柄が起きています。アジア、ヨーロッパ、アメリカの株式市場からの影響も避けられません。その間、株式を保有し続けることは大きなリスクなのです。もちろん、リスクとリターンとはコインの裏表のようなものですから、より大きなリターンを狙えることになります。


キャピタルゲイン狙いの投機では、価格の変動幅がそのまま損益につながります。その損益は、損失の側からみればリスク、利益の側からみればリターンです。価格が動かなければ儲けることはできませんので、ボラティリティ(価格変動)の大きいものが、キャピタルゲイン狙いの投機には適しています。また、期間あたりのボラティリティは、長期よりも短期のほうが大きく、時間効率的により大きな収益を狙うことができます。


ではボラティリティから見ると、デイトレードはスイングや長期投資よりもリスクが大きいのでしょうか?


1日あたりのボラティリティは、通常、年率で表されているボラティリティの数値を16で割ることにより得られます。16とはルート256(約1年の取引日数)なのですが、詳しい説明は煩雑なだけですので、ここでは1年のボラティリティを16で割ると、1日分となるとだけ知っていてください。このことはつまり、デイトレードのリスク・リターンは1年間持つことの16分の1だということです。1日当たりは16分の1なのですが、毎日(256日)デイトレードを繰り返せば、1年間持つことの16倍のリスク・リターンとなるのです。


つまり、デイトレードは小さな利益(16分の1)でも売買を繰り返すことにより、大きな利益(16倍)を残すことが可能です。実際、短期間で大きな収益を残した人は、相当の速度で短期売買を繰り返しています。短期売買では、長期投資ほどの値幅はとれませんが、同じ値幅を取るに要する時間が極端に縮まるので、時間効率ははるかによくなるのです。しかし、その分「疲れる」ことも覚悟する必要があります。


せっかくの有給休暇をデイトレードに費やすのがいいかどうかは分かりませんが、ことさら躊躇する理由もありません。やるのなら、前日の引け後から翌日売買する銘柄をスペアを含めて多めに選んでおき、値動きの大体のイメージをつくっておきます。そして海外市場に応じてシナリオを調整し、銘柄を絞り込み、寄付き前までに株数や仕込みポイント、損切りポイント、大雑把な利食いのポイントを決めておきます。そして、損切りさえ忘れなければ、損失はそれ以上には膨らまないのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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