あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[資金管理に関する問題]

あなたは余裕資金の半分を使い、ある銘柄を購入しました。購入してから1ヶ月、株価は順調に推移し、15%程度の含み益が出ています。出来高などを見ても投機的な動きはなく、しばらくは値上がりしそうです。そこで、買い乗せしてさらに利を伸ばそうと考えています。このような場合、どうするのがよいでしょうか。

正解は・・・
(1)絶好のチャンスなので、残りの余裕資金の全額で買い乗せする


相場が逆に行った時の損切りは守らねばなりませんが、利食いにはこれが絶対というものがありません。しかし今回の問題は、文中にある「買い乗せしてさらに利を伸ばそうと考えています」が答えとなっています。他の選択肢が不正解という訳ではありませんが、ここでは買い乗せで勝負する条件が揃っているので、正解は(1)の「絶好のチャンスなので、残りの余裕資金の全額で買い乗せする」となります。


常々私は「相場での上げ下げが5分5分の確率だとすれば、10回中の思惑とは違った5回は速やかに損切り、狙い通りいった残りの5回で勝負しろ」と言っています。そうすることにより、損切りのコストは比較的小さく限定され、利食いゾーンの時にいかに利益を伸ばすかにエネルギーを集中できるのです。


損切りコストは小さければ小さい程、良いに決まっています。しかし、あまりに小さな価格のゆらぎに、いちいち動揺して損切っていたのでは、なかなか大きな利益は狙えなくなります。そこで1回の損切り幅を、多少は余裕を持って考えるようにします。そして、利益を上げる時には、最低でもこの損切り幅を超えることを狙います。たとえば、損切り幅は7〜8%以下、利食い目標は15%以上などと決めるようにします。


そう考えるとこの問題の含み益は15%程度ですから、選択肢(3)のように、「買い乗せはせず利食いし、増えた資金で別の銘柄を買う」ことにして、ここで利益を確定しても良いのです。


利食いの強いところは資金力が増えることです。世の中の投資物件は自分が投資している銘柄だけではありませんので、増えた資金力を自由に有効に活用できる可能性を得ることができます。しかしここでは、あなた自身が「買い乗せしてさらに利を伸ばそうと考えて」いるのですから、あえて止める必要を感じません。


相場での上げ下げが5分5分の確率だとしても、思いのほか相場をはずし続け、想定外に負けが込んでしまうことがあります。また、勝ったり負けたりの繰り返しで、なかなか思うように儲けられないこともしばしばです。相場も勝負ごとですから、勝てる時には、大きく勝っておきたいものです。利の乗ったポジションを背景に、さらにポジションを増やす「買い乗せ」は、大きく儲けるためのポイントです。


15%上がったところで同じ量を買い乗せれば、そこからの上昇では、いままでの2倍のスピードで利益が膨らんでいきます。もっとも同じことは、買い乗せた後に下がる場合にもいえて、ポジションが2倍になっていたなら、2倍のスピードで利益が減少していきます。したがって、買い乗せが間違いだったと気付いたなら、速やかにポジションを閉じる必要が出てきます。たとえば、ここから7〜8%下げれば、当初の利益はすべてなくなります。買い乗せは乱高下を繰り返す投機的な相場では危険過ぎるのです。


この問題の場合には、平凡な出来高のなか1ヶ月で15%の上昇と、投機的な感じがありません。また、この15%の含み益があれば、たとえ買い乗せが間違いであったとしても、最小限の利益を確保することができます。買い乗せの条件が揃っているのです。


選択肢(2)のように、「1つの銘柄に全額を投入するのは避けるべきなので、残りの余裕資金の4割程度で買い乗せする」ようにしても、全余裕資金の7割で1つの銘柄を買うのですから、相当大きなリスクを取っています。リスクを減らしたつもりでも、買い乗せしたところから11%も下落すれば損になってしまうのです。中途半端はいけません。リスクを避けたいのなら、まったく買い乗せない方がいいでしょう。また、当初の買いに余裕資金の5割を当てるのも1銘柄のリスクが大き過ぎます。


勝負事で大事なのはメリハリです。リスクを減らしたいのなら、当初から1銘柄に過大な資金を注ぎ込まない。一方、勝負する時には全力で集中して勝負する方がいいのです。大勝負とはいっても、売り払えばすべてのリスクがなくなるのですから。この問題のケースでは、選択肢の(1)が、最も結果がついてくるかと思います。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「資金管理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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