あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

デイトレーダーであるあなたはある日、前日の終値に比べ大きく値上がりして寄り付いた銘柄を見つけました。調べてみると、前日の取引終了後に海外の有力企業との提携を発表したことが好材料になっているようで、前日比10%アップ、出来高も急増しています。ここで利益を上げるにはどうするのが最も良いでしょうか。

正解は・・・
(3)大きく窓をあけたときはどう動くか読みづらいので手を出さない


窓あけへの対処は、相場で最も難しいことの1つです。トレーディングを重ねることで、確実に利益を残していきたいと望むなら、あえて難しいことをするべきではありません。正解は(3)の、「大きく窓をあけたときはどう動くか読みづらいので手を出さない」となります。


北京オリンピック女子のソフトボールで、日本の代表チームが金メダルを取りました。決勝戦での対戦相手は連覇中のアメリカでした。アメリカには日本も予選でコールド負けし、準決勝でも延長戦で負けていました。


アメリカ代表チームの4番クリストル・バストス選手の北京オリンピックでの打撃成績は、決勝を含む8試合で22打数11安打、打率5割、ホームラン6本、打点10点の三冠王です。四死球も6つありますので、出塁率6割7厘という高率です。日本代表チームのエース上野投手もバストスに直球勝負を挑んでは、ホームランを打たれるなど、勝負するには最も難しい相手でした。決勝戦でアメリカが入れた4回裏の得点1も、バストスのホームランによるものです。


6回裏のピンチに、上野投手はバストス選手との勝負を避け、敬遠しました。そして次打者を打ち取り、6回のピンチを0点で切り抜けました。日本は次の7回表にダメ押しの1点を挙げ、3対1でアメリカを下しました。上野投手がバストスと真っ向から勝負をしていても、結果は同じだったかも知れません。5割というのはすごい打率ですが、打たせれば残りの5割は凡退しているのですから。とはいえ、勝ちにこだわっている時に、あえて難しい相手に挑む必要がありますか。相場でも同じで、窓あけで勝負しても勝つ確率は5割ありますが、確率を超えた難しさのあるのが窓あけなのです。


窓あけでは今回の10%のように、それなりに達成感の出るところまで上げてしまうのが常なのです。確かに好材料ではあるのですが、選択肢(1)のように「勢いがあるので」買ってみても、既にある程度上げてしまっているので、ここから更に上げるかどうかは分かりません。


一方、選択肢(2)のように、「窓埋めのための値下がりが予想されるので空売りする」ようなことをすると、逆に持ち上げられて踏まされることもしばしばです。したがって、窓あきではうかつには手を出さず、どちらかへの動きが確信できると思えてから売買するのが賢明です。


相場は勝負ごとですから、勝負で生きているスポーツはしばしば参考になることを教えてくれます。北京オリンピックの野球での日本の代表チームの敗戦は、星野監督の采配や、主力選手のケガ以前に、勝負をする体制に不備があったと言われています。打者は国際基準のストライクゾーンに対応できず、投手は国際基準のボールの握り具合に戸惑ったとのことです。つまり、日本チームは不慣れな環境に、精神力と選手個々の適応能力で乗り切ろうとしたのです。


また、ニューヨーク・ヤンキーズの松井選手は、「甘い球を遠くに飛ばす」ことを心がけていると言います。難しい球に対応しようとしているとフォームが崩れてくるので、甘い球を見極めて遠くに飛ばすのが、松井選手のスタイルだそうです。


相場でも適切なトレーディング環境を整えることが重要です。また、難しい相場が続く時や、うまく行かない時には待つ忍耐が必要です。そして、自分のスタイルにあった、自分にとって分かりやすい相場つきの時を見極め、大きく張って、それなりの値幅を取りに行くのが、結果を残すことにつながるのです。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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