あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

あなたは1年ほど前、余裕資金があったので長期保有を目的で、チャートやファンダメンタルズが優良だと思ったある大型株を購入しました。購入後、株価は順調に推移し、購入時の2倍ほどまで値上がりました。しかし、利食いのタイミングを逃し保有し続けている間に、株価はピーク時に比べ3割程度下落してしまいました。利益は、ピーク時と比べれば大きく減っていますが、まだ損はしていません。このタイミングでは、どうするのが最も良いでしょうか。

正解は・・・
(1)利が乗っているうちに売り、その資金で別の銘柄を購入する


市場価格は波動を伴って動きます。どんなに良いものでも、上がれば下がります。上げる時にはどんなに勢いよく見えても、いったん下げに転じれば意外なほどに弱含むものです。あなたが買った銘柄は2倍に値上がりして、そこから3割の下落ということは、まだ4割ほどの利が乗っているはずです。ここは利益を確定しておいて、増えた資金で次の投資を考えるのが上策です。正解は(1)の「利が乗っているうちに売り、その資金で別の銘柄を購入する」となります。


アメリカのロックバンド、BST(Blood, Sweat & Tears=血と汗と涙)の1970年前後のヒット曲にスピニング・ホイール(spinning wheel=糸車)という曲があります。糸車のように上げたものは必ず下げて、回り続けるという歌です。この歌は人生の浮き沈みを歌ったものなのでしょうが、相場も同様に上げたものは必ず下がります。決して下げないと信じることを、右肩上がりの神話といい、バブルの根底に流れるファンタジーです。


上昇トレンドとは、極端に言うと、10上げたものが9下げたところで持ち直し、また10上げて9だけ下げることを繰り返すものです。これをチャートで見ると、底値が確実に切り上がっていく(右肩上がりの)トレンドラインを形成します。トレンドとは流れのようなものですが、上流から下流に流れる川の流れというよりも、潮の満ち引きのように、時間が経てば必ず流れる方向が変わるようなものです。同じように相場での上昇トレンドもいつか終わり、その後には下降トレンドがきます。トレーディングとは、1カイ2ヤリ(1で買って2で売る)の日計りから、長期投資まですべて、その時間枠にあった流れの変化を読むものです。


運悪くすっ高値で買って、そこを頂点に下降トレンド入りしたものは、できるだけ早く損切るのが資産を守るほとんど唯一の方法です。持ち続けるならば、下降トレンドが終わり上昇トレンドに入り直すまで、ずっと待ち続けるしかありません。それがどれだけ長い時間をかけるかも、果たして次の上昇トレンドが前の高値を抜いてくるのか、トレンドを支える背景が違ってきているので、誰にも分かりません。また、銘柄によっては下降トレンドに耐えられず、そのまま破綻してしまうこともあります。流れに逆らってはいけません。待てば何とかなると考えるのは、自分の経験を普遍的な真実と勘違いしているだけで、何とかなってもラッキーなだけなのです。高値を抜けないものは早く売り払った方がいいのです。


上昇トレンドの時は、レバレッジこそが儲けを大きくする秘訣となります。5倍のレバレッジは5倍の収益を、20倍のレバレッジは20倍の収益をもたらします。しかし、いったん流れが変わってしまったならば、レバレッジはそのまま損失の拡大につながります。レバレッジは両刃の剣で、常に自分に利するとは限らないのです。そう考えると、レバレッジを大きくするのは短期勝負の時だけに限るのが賢明なのが分かります。


あなたの投資は余裕資金によるものですから、レバレッジはかけていないものを思います。とはいえ、高値から3割も下落しているのは上昇トレンドが終わっている可能性を示唆しています(アメリカ株市場では高値から2割の下落で下降トレンド入りと見なしています)。チャートやファンダメンタルズは時とともに変化しますので、投資した時点で優良であったものが、今も優良だとは限りません。チャートはまず間違いなく、売りを示唆していると思います。


チャートを利用する場合には、毎日その変化に注意を払うことが大切です。もっと望ましいのは、ここを抜けたらチャートはこう変わるなどと、価格の変化に応じたチャートの変化を常に予想していることです。過去のチャートをいつまでも拠り所にすることはナンセンスです。


他の選択肢を見てみましょう。


(2)の「損をしていないのであれば売る必要はなく、通常の損切りラインに達するまでは保有しておく」では、せっかくの利益が損失で終わる可能性が出てきます。その利益というのも、一時は2倍もあったのですから、損で終わることは許されません。利食い損ねたことは次回の反省材料にして、今回は引きずらずに利益を確定しておきましょう。


(3)の「優良だと思われる銘柄を1年程度で売っては長期保有の目的に反する。保有し続け、場合によれば買い増すことも検討する」を選んだ人は、長期投資の目的をはき違えています。投資物件を2倍にするには、7%の高利付商品でも10年かかります。それが1年も経たないうちに達成したのですから、長期投資の目的はほとんど達成していたのです。長く持てば損をしてでも長期投資といったものではありません。目先の勢いを狙う人ならまだしも、安定した利益を望む長期投資家ならば、短期間での2倍の利益は確実に確定しておきたいものです。残りの数年間は銀行預金にしていても、あなたの長期投資は成功です。今回は1年で40%のリターンです。今からでも遅くはないので、利益を確定して、他の投資物件を探しましょう。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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