あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[資金管理に関する問題]

あなたはしばらく株式投資から離れていましたが、久しぶりに「これはきっと値上がりするだろう」と自信が持てる銘柄を見つけました。あなたが余裕資金でこの銘柄を買うのであれば、どのような買い方が最もよいでしょうか。

正解は・・・
(2)「卵はひとつのカゴに盛らない」の通り、いくら自信があっても1つの銘柄にすべての資金を投入するのは避け、分散投資を心がける


自信があることとリスク管理は別物です。相場で当たり続ける人はいませんので、リスク管理を怠るといつか破滅します。正解は、(2)の「『卵はひとつのカゴに盛らない』の通り、いくら自信があっても1つの銘柄にすべての資金を投入するのは避け、分散投資を心がける」となります。


(1)のように、「自信があるのなら利を伸ばすために全資金を投入する集中投資もよい」でも、リスク管理は可能です。全額で買って、思惑とは違って値下がりすれば、売り払えばいいのです。しかし、株価は常に「ゆらぎ」を伴って動きますので、金額が大きいと思惑違いとは呼べない、ささやかな下振れでも、損切りを考えるようになります。また、買ってすぐに上げても、その後の「ゆらぎ」に動揺して、すぐに利食ってしまう。あるいは、コストも確保できずに投げてしまうことにもなります。全資金をつかっていると、ささやかな「ゆらぎ」でも収益が大きく振れますので、冷静に判断することが難しくなるのです。しばらくぶりの株式投資ならなおのこと、通常の「ゆらぎ」と下げ相場への転換とを見極めることは困難でしょう。


(3)の「自信があり余裕資金であれば集中投資もよいが、まずは資金の半分ほど投入し様子を見た上で追加で購入するなど、段階を経るのがよい」は、(1)ほど博打的ではありませんが、それでも単一の銘柄に入れ込み過ぎです。どんなに自信があっても、単一の銘柄と一蓮托生を決め込むことはありません。その自信は、実のところ思い込みと五十歩百歩なのですから。


あなたのその自信の根拠は何でしょう?会社のファンダメンタルズですか?それともチャートなどのテクニカルですか?


ファンダメンタルズ分析は、分析に用いる数値が常に正しいと信じるところから始まります。ところが、その数値は故意に粉飾されていない場合でも、会計基準や解釈の違いで変わってきます。おまけに、ファンダメンタルズの良い会社の株価の方が、常に悪い会社の株価よりも高くなるとは誰にも証明できません。つまり、ファンダメンタルズの良い会社の株を買った時、値上がりすれば見通しが正しかったとは言えても、値下がりしても不思議ではないというのが実情です。


テクニカル分析は、過去から現時点までの値動きのパターン分析です。つまり、現時点がどんどん先に延びるにつれて、テクニカル指標が示唆する未来の値動きも変化します。「テクニカル指標を信じて買ったのに、値上がりしないので、もう一度テクニカル指標を見たなら、売りサインとなっていた」というのが、当然のように起きるのがテクニカル分析なのです。


相場は誰かの気まぐれな売買でも動いてしまいます。実感したければ、出来高のほとんどない銘柄に成り行き買いを入れればすぐに分かります。低位株ならそれほどの資金もいりません。出来高の大きな銘柄でも、相応の金額をつぎ込めば動きます。つまり、あなたの自信がどんなに強いものであっても、あなたよりも大きな資金を扱っている人が気まぐれに売れば、株価は下がってしまうのです。


相場の経験を積めば、当たる確率は増えてきます。それでも100%当たるようにはならないので、リスク管理が必要なのです。私などは、上げ下げ半々の確率だと思ってリスク管理をしろと戒めています。


久しぶりの株式投資に、使える資金を全額つぎ込むことは、賢明ではありません。いくつかに分散していれば、小さな「ゆらぎ」などに動ずることなく、余裕を持って株価の推移を見ることができます。いずれは上がると自信があるのなら、なおのこと小さな「ゆらぎ」に振り回されないようにするべきです。当たる確率が高く、勝てる自信が強い人ほど、一発勝負に賭けることなどないのです。


指数先物や、為替、債券といったベータのリスク(市場全体の上げ下げリスク)を扱ったものと違い、株式の個別銘柄のリスク(アルファのリスク)は銘柄分散で軽減します。相場列伝に載るような大相場師でも、少なくとも5、6銘柄には分散しているのです。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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