あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[その他の問題]

あなたは株式投資を始めて数年たち、損を出すこともありますが、トータルではそれなりの利益を出せるようになりました。そこで、株式だけでなく、為替や金(ゴールド)といった、他の商品にも興味を持つようになりました。その場合、どうするのが最もよいでしょうか。

正解は・・・
(1)商品が変わっても投資の基本は変わらないので、利を伸ばし、リスクを分散させるためにも、株式投資と合わせて挑戦してみるとよい

分散投資によるリスクヘッジとは、極端に言えば、反対方向に動くものを組み合わせて持つことです。それが完璧に機能すると損失が出ない代わりに、利益も出ません。このことは、すべての金融商品が同時に同方向に動くわけではないことを表しています。一般に景気が悪いと株式は売られますが、債券は逆に買われます。この時、金融商品の空売りには制約があることが多いので、両商品に親しみがあると、買いしかしなくても収益機会が広がります。正解は(1)の「商品が変わっても投資の基本は変わらないので、利を伸ばし、リスクを分散させるためにも、株式投資と合わせて挑戦してみるとよい」になります。


(2)の「株式とは違う部分が多々あるので、新しい商品に集中するのがよい」というのは、株式投資を中断する必然性がありません。株式投資がうまくいっているなら、資金の大半は株式投資で運用し、新しい商品には慣れるまで少額で運用するようにします。


(3)の「株で利益が出せているなら無理に他の商品に挑戦する必要はない」では、自分で自分の可能性を狭めることになります。商品が変わっても投資の基本は同じですが、商品それぞれに固有の癖のようなものがあります。商品の質や参加者が違うのですから当然です。


相場は紙一重のリスクをやりとりしますので、その微妙な違いが勝敗を決めることも多いのです。あなたが株よりも為替や金(ゴールド)の取引に向いているかどうかは、やってみなければ分かりません。


私自身、相場生活を為替のブローキングから始め、債券のディーリング、為替のディーリング、株式のポートフォリオ運用、株式のディーリングと行ってきました。それぞれのデリバティブも活用しました。そしていま行っているのは、自己資金を株式でポートフォリオ運用することと、情報提供サービスです。なぜ、為替や債券でなく株式かというと、いまの自分の生活スタイルに合い、株式の多様性が面白いからです。


株式はそれなりの値動きがあるので、レバレッジを大きくしなくてもそれなりのリターンがでます。適当に銘柄を分散し、利食いや損切りといった手仕舞いポイントを決めて、比較的ゆっくりとした運用ができるのです。そして何よりも、証券取引所が開いている5時間半だけ集中していればいいのです。


債券でそれなりのリターンを上げようとすれば、それなりの資金が必要です。それは為替も同様で、さもなければレバレッジを高めねばなりません。レバレッジを高めると、おおらかな運用ができなくなり、効率的な運用を行うためには市場に張り付いていなければなりません。ところが、為替が最も動く時間帯はロンドン時間、日本時間の夕方から深夜なのです。


海外市場でプロのディーラーでいた頃は、朝7時過ぎに出社し、夕方の5時頃に退社していました。海外での実動時間はそんなものです。


東京市場では、債券ディーラーの時は米国債など外国債券を扱っていましたので、深夜まで会社で残業しました。為替では、夕方5時頃いったん帰宅できるものの、海外から夜中に何度も起こされる有様でした。疲れましたね。


また、債券や為替は金利やドルといった大元の動向に連れてトレンドを作りますので、私のように、谷越えを待って買い山越えを待って売る、ようなことを考えていると、待ち時間が長くなってしまいます。その点、株式は谷越え銘柄を探して買い、山越え銘柄を探して売ればいいのです。


このように私は、今は株式が自分のライフスタイルに合っていると考えていますが、債券や為替も経験してきました。もしみなさんが株式投資がうまくいっているなら、資金の大半は株式投資で運用しながらも、新しい商品にも少額でチャレンジして、適性をみてはどうですか?

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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