あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[個別銘柄に関する問題]

あなたは業績も好調で、今後の成長が期待できそうな銘柄を見つけました。しかしチャートを見てみると、金融危機の影響もあってか数ヶ月前に大きく値を下げた後はそのまま横ばいの状態が続いています。この銘柄で利益を出すにはどうするのがよいでしょうか?

正解は・・・
(3)横ばいの状態が続いている銘柄は長期・短期とも手を出さない方がよい

株価が10%上がる時、1年かけて上げれば年率10%でしかありませんが、1ヶ月で上げれば年率120%にもなります。横ばいでは資金が寝るだけで、まったくリターンが上がりません。相場で一番大事なのはタイミングなのです。正解は(3)の「横ばいの状態が続いている銘柄は長期・短期とも手を出さない方がよい」となります。


プロ、アマを問わず、長期投資家がはまる罠が、時間が経てば思惑通りに事が運ぶと考えることです。長期投資をもっぱらとするミューチュアルファンドのマネージャの中には、「明日のことは分からないが、1年後の株価は分かる」と言うような人がいます。まるで、時間はいつも長期投資家の味方であるかのようです。


しかし、時間の経過は、確かだと思っていたものを不確実にします。長い時間の経過は、絶対に確かだと信じていたものでさえ、もっと不確実なものにしてしまうのです。時の経過とは、はかなく、せつないものです。投資にとって、時間とはリスクに他なりません。


それでも、長期投資家が「短期的な価格動向は分からないが、長期的な見方には自信がある」と言うのは、私風の言い方が許されるなら、「きまぐれな投機資金による価格のゆらぎは計測不能だが、投資環境を調べれば実需や投資資金がつくるトレンドは明らかだ」ということなのです。ところが、時間が経てば経つほど投資環境が変わるリスクが増えるのです。また、アナリストなどが拠り所としている数値の不正確さや改ざんなどが明らかになるリスクも高まります。


株価が長く横ばっている時でも、出来高がある限り、その株主が変わっています。たとえば、信用での空売り残が増え続けているのに、株価が横ばっているとすれば、何らかの理由で押し下げようとする投機的な売り手に対して、じっくりと保有する買い手が株主となっています。このような銘柄は売り手がじれて買い戻しを始めれば、踏み上げられ高騰する可能性が高まってきています。


また、その企業を取り巻く経済環境は刻々と変化していますので、横ばい始めた時に割安だったものも、いつまでも割安であるとは限りません。今回の問題では、業績が好調な銘柄ですから、収益が伸びているのに株価が横ばうと、どんどん割安感が増すようになります。いずれ上放れが期待できるとは言えます。


しかし、売り手が金融危機の影響で資金繰りのために売っていて、買い手が上放れ期待の投機家ばかりだと、上の例とは逆に投げが出てくる可能性が高まるのです。買える材料があるのに上がらないということは、どんな材料でも上がらないかも知れませんし、その材料がなくなればまず間違いなく下げるということでもあるのです。


相場はタイミングです。選択肢(1)の「割安で放置されている銘柄に投資する絶好のチャンスなので、中長期保有を前提に今のうちに購入する」ようなことをしていては、待っている間に投資環境が変化するリスクを負うことになります。


また、(2)の「今後の値上がりが期待できそうだが、どう動くかは予想できないので、チャートを元に短期でトレードする」ようなことをしても、横ばって動かないのですから、短期的な利益は望めません。


どんなに動かないように見える銘柄でも、煮詰まればいつか動きます。気に入った銘柄ならば、毎日とは言わないまでも、週に1回はチャートをチェックして、上放れ、下放れといった、絶好のタイミングを逃さないように努めればいいのです。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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