あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[その他の問題]

投資初心者のあなたは余裕資金200万円の半分ほどで株を買ってみようと思っています。投資のスタンスには、順張りと逆張りがあると聞きました。初心者の場合は、どちらのスタンスで投資に挑戦するのがよいでしょうか。

正解は・・・
(2)余裕資金であれば、利幅の大きな逆張りに挑戦するのがよい

最も効率的な運用とは、波動の谷越えで買い、山越えで売ることです。これは、売られてきたものが反転したのを確認してから買い、買われてきたものが反転したのを確認してから売ることです。つまり、これまでの流れには逆らうことになりますので、逆張りです。正解は、(2)の「余裕資金であれば、利幅の大きな逆張りに挑戦するのがよい」となります。


もっとも、注意しなければならないのは、反転の兆候も見えないのに、安くなったから買う、高くなったから売る、という逆張りです。その根拠がファンダメンタルズの割安、割高でも、テクニカル的な売られ過ぎ、買われ過ぎでも、流れに逆らっての逆張りは大損のもととなります。


ところで、反転したのを確認してからと言っても、実は、それが難しいのです。移動平均を例にすると、ゴールデンクロスは売られてきたものが反転したことを確認する意味があります。一方のデッドクロスは買われてきたものが反転したことを確認する意味があります。そして、それぞれ買いサイン、売りサインとされています。ところが、そのサイン通りに売買しても、必ずしもうまく行くわけではありません。


確認のために、反転してからも動かないで捨てる部分をフィルターと呼びます。フィルターを小さくすると、すぐに確認を出し、またそこから反対に行くと、騙しだったとして打ち消すことから、確認そのものが当てになりません。一方、フィルターを大きくすると、捨てる部分が大きくなり過ぎて、確認した時には波動が終わりかけているようなことも起こります。また、そこからの反転確認にも大きな値幅や時間を必要としますので、結局いつも後追いとなって損を出してしまうのです。


そこで過去のデータをさかのぼり、フィルターが大きくも小さくもない、最も正確に反転確認ができた大きさに調整すると、それまでは100%近く当たっていた反転確認が、なぜかその後は機能しなくなるようなことが起こります。それを最適化の罠と呼んでいます。テクニカル指標は過去のデータをもとに、正確に今の状態を教えてはくれるのですが、未来のことはいつまでたっても分からないのが現実です。そこで、確認済みと見なして売買はしても、思惑通りに行かない場合には損切りすることが重要になってきます。


他の選択肢を見てみましょう。


(1)の「まずはリスクが低い順張りで挑戦するのがよい」というのは、本当に順張りはリスクが低いのでしょうか?もちろん、上げている途中で買えれば、リスクが低いどころか、必ず儲かります。しかし、上げ終えた所で買えば、後は下がるだけです。しかも、これまで上げ続けてきただけに、下げる余地はたんまりあるのです。順張りが恐いのは、皆と同じ方向に張るので、相場を後追いし、転換点に鈍感になることです。


(3)の「自分がこれだと思った銘柄なら、順張りでも逆張りでもどちらでもよい」というのも同様です。トレンドが続くと、あるいはトレンドが転換すると見極めることができたなら、どちらでも儲けることができます。しかし相撲などでも、右四つ得意、左四つも得意と、一見、両方とも得意なのを「なまくら四つ」と呼び、常に相手十分にされてしまうことを意味します。あなたが初心者なら、まずは得意な方を見極めるのが大事です。


ところで、順張り、逆張りとは言っても、実際の相場では、何を順張りと呼ぶか、何を逆張りと呼ぶかは、思ったほど単純ではありません。たとえば、谷越え確認で買うとき、波動全体から見れば逆張りですが、谷底から見れば上げているのを買うのですから順張りなのです。また、週足以上の長い足では逆張りだが、日足では転換しているので順張りなどということも一般的です。


拙著『実践・生き残りのディーリング』ではこのように述べています。


順張りか逆張りか?


あえて決めつけるならば、値動きには順張り、市場心理には逆張りで向かいます。したがって、高値警戒感が市場を支配しているときはまだ買えますし、こんな大底で売れるかと言われる時は売ってよいでしょう。

そして市場心理が値動きを追認し、総強気、総弱気となったときに逆張るのです。(参照)http://www.geocities.com/dealers_web/mainJ.html


最も効率的な運用とは、波動の谷越えで買い、山越えで売ることです。初心者であればこそ、相場の転換点に敏感になるためにも、逆張りに挑戦して貰いたいものです。コツは、長い足での逆張り、短い足での順張りです。これが、波動全体から見れば逆張りだが、谷底から見れば上げているのを買うのだから順張りという、谷越え確認です。そうは思っても、また深い谷が見えてきたなら、損切ることが必要です。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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