「相場力ＵＰ」に役立つ矢口新の『トレードセンス養成講座』

相場は自信の度合いで勝率が変わるものではありません。どんなに自信があってもやられる時はやられますし、自信のないトレードで大きく儲けることもあります。もっとも、ここぞと思える時があるのは事実で、その時には普段より大きく張りたいものです。それでもリスク管理を考えるなら、正解は（２）の「儲けを大きくするためにレバレッジをかけるのはよいが、個人投資家であれば、株・為替とも３倍程度に抑えておくのがよい」になります。

あなたは余裕資金500万円のうち、100万円程度で株式や為替のデイトレードをしているようですが、それで生活費を稼ぐとすれば、年率で数百パーセント程のリターンが必要でしょう。そして、そのリターンがすべて生活費に消えれば、あなたの元手資金はいつまでたっても500万円のままです。リターン以上に使えば、500万円はどんどん減っていきます。つまり、100万円での運用では、あなたのリターンのハードルは非常に高く設定しなければなりません。

もし、あなたの生活費が500万円かかるとしたら、500万円すべてを使っても、100％のリターンでは次第に目減りしていきます。売買手数料や税金などを差し引く必要があるからです。したがって、専任のデイトレーダーが運用資金が少ないうちは、できるだけ生活費を切り詰めてハードルを下げておかないと、なかなか資金を増やすところまでは行きません。

そこで、手元資金の小さな人は、レバレッジをかけることで運用資金をかさ上げし、投下資金当たりのリターンのハードルを引き下げることになります。つまり、100万円で10％のキャピタルゲインが取れれば10万円ですが、５倍のレバレッジだと10％が50万円になります。問題は、リターンとリスクとはコインの裏表のようなものなので、逆にいけばますます運用資金が不足してしまうことです。つまり、あなたの運用資金ではレバレッジをかける必要がありますが、何事も、ポイントはバランスなのです。

他の選択肢を見てみましょう。

（１）の「上昇トレンド入りが確実など自信があるトレードなら、個人投資家でも為替で20倍程度、大きくレバレッジをかけて勝負に出てみるのもよい」というのは、あなたには向きません。レバレッジ20倍というと、キャピタルゲインの１％が20％に相当し、同時にロスも20％に相当します。少ない資金をやり繰りしての運用には向かないのです。これを使って良いのは、運用資金のすべてをなくしてもいい人が、最大のリスクを取り、最大のリターンを狙う場合なのです。

（３）の「個人投資家は大きな儲けより、確実な儲けを目指すべきなので、レバレッジをかけたトレードは避けたほうがよい」というのも、あなたには向きません。あなたの運用資金は小さいので、レバレッジをかけずに生活資金を捻出するのは、かえって望み過ぎだからです。

戦国時代の戦ではありませんが、戦力の小出しは相手にダメージを与えれないままに、自分の体力を消耗していきます。あなたは、もう戦うしかないのですから、500万円のすべてを使い、レバレッジを有効に活用するべきでしょう。そして、生活費の方も抑えて、（レバレッジ３倍の）1500万円の実質運用資金で、20％ほどのリターンである300万円を狙うところから始めるのです。