あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[資金管理に関する問題]

あなたはこれまでデイトレードやスイングトレードをしてきました。その際は、リスク管理として、7〜8%程度の含み損で手仕舞うという風に損切りを徹底していました。今後はこうした短期に加え、余裕資金の一部を配当も期待でき安定している銘柄への長期投資に割り振ろうと考えています。長期投資の場合、損切りのラインは短期投資とは変えたほうがよいのでしょうか?

正解は・・・
(1)長期投資でも短期投資と同様のラインで損切りを徹底する

ファンダメンタルズの良い銘柄を買い、時間さえかければ必ず値上がりするのなら、どんなに株価が揺らごうと、持ち続けることで長期投資は成功します。ところが、ファンダメンタルズが抜群の銘柄でも、株価が半値になってしまうことが珍しくありません。そして、その間に頼みの綱のファンダメンタルズが悪化してしまうと、そこから更に下落するようなことも起こります。大きくやられてしまうと、その後の回復が大変です。思惑とは違っていたなら損切りを速やかに行うことは、短期、長期に関わらず投資の鉄則だと言えます。正解は、(1)の「長期投資でも短期投資と同様のラインで損切りを徹底する」になります。


短期トレードでは、損切りも利食いも短期に行います。長期投資とは言っても、損切りに関しては思惑とは違ったなら速やかに行います。長期投資でより大きな自由度が与えられるのは、利食いに関してなのです。株価は常に波動を伴って動きますので、どんなにはっきりとした上昇トレンドでも、それなりの揺らぎを伴います。もちろん、すべての波動の谷で買い、山で売ることができれば、最大の利益を上げることができますが、そんなことはなかなか望めません。それで、多少の揺らぎは大目に見て持ち続けることで、より大きな利益を得ようとします。


ところが、どこまでが揺らぎで、どこからが揺らぎを超えたトレンドの転換かを見極めるのは至難の業です。そこで、トレンドラインのサポートや、前の安値を手掛かりに、そこまでは揺らぎとみなし、そこを下抜けするまでは持ち続けるようにするのです。この場合も、そのレベルがあまりに時価より下のレベルだと、万が一下抜けした時に、十分な利益を確保するのが難しくなります。また、サポートされて反発しても、元のレベルにまで戻りきれないようなことも起こります。したがって、例え揺らぎの範囲だとは思えても、大き過ぎる揺らぎを容認していては、なかなか十分なリターンを上げることができません。したがって、思惑とは違っていたなら速やかに損切ることが重要なのと同じくらい、利食いの場合でも転換点の見極めを疎かにすることはできません。


他の選択肢から、このことを掘り下げてみましょう。


(2)の「長期投資の場合、配当も期待できるので、短期投資よりも損の幅を大きめにした損切りラインを設定する」場合、どれだけの配当が期待できれば、値下がり損を相殺できるのでしょうか。そう考えると、数パーセントの値下がりでも、配当で埋め合わせることができる銘柄は限られていることが分かります。ましてや、2桁の値下がりでは、トータルの収益をプラスにすることはほとんど絶望的になります。また、保有しているうちにファンダメンタルズが悪化すれば、減配や無配転落、あるいはそれ以上に悲惨なことが起きる場合もあります。高配当の銘柄は比較的下値が堅いのが普通ですから、そういった銘柄の大きな値下がりは要注意で、損切った方がいいでしょう。


(3)の「多少の値下がりで手仕舞っていては長期投資の目的が達成できないので、損切りラインは設定しない」のでは、長期投資の目的が、収益を上げる投資から、いつのまにか単なる長期保有に変わってしまっています。リターンを得るのに長い時間をかけるのは、それだけ大きなリスクを取っているのです。そのリスクに見合うのは、値上がりによるリターンだけなのですから、値下がりを損切りしないで持っているのは、投資と呼ぶのもおこがましい、単なる長期保有なのです。


短期、長期に関わらず、投資で重要なのはタイミングです。ファンダメンタルズの良い銘柄でも、タイミングが悪ければ上がらないのと同様に、ファンダメンタルズがぼろぼろの銘柄でも、タイミングさえ合えば急騰するのです。とはいえ、絶好のタイミングを捉えるのは容易ではありません。結局のところは、やってみて、うまくいかなければ損切って、やり直す。その繰り返しで、タイミングの取り方を覚えるしかありません。正解は、(1)の「長期投資でも短期投資と同様のラインで損切りを徹底する」なのです。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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