あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

あなたは、流動性の高い東証一部銘柄を中心に日本株を手がけるスイングトレーダーです。

2009年×月の衆院解散・総選挙で、野党が単独過半数を押さえて勝利しました。明けて月曜日になると円高が急速に進行し、前週末95円どころで横這っていたドル円は、91円台に瞬間タッチする場面も。株式市場は、内需系セクターを中心に買いが集まり、窓を開け寄りついた後は高値圏で前場の取引を終えました。ここ2ヶ月あまり8400-9700円でBOXを形成していた日経平均株価は+350円の9750円まで上昇し、225先物の気配も高いようです。

午前中、様子見を決め込んだあなたは、これまで漠然と「政権交代は円安要因」と考えていたため、いまの状況に少し混乱しています。後場から、どのようなスタンスで取引に挑むべきでしょうか?

正解は・・・
(2)理由は分からずとも、株価が上げているのは事実。今日明日には重要なテクニカルポイントを上抜ける可能性も出てきて、前週までとは明らかに違った相場つきである。「今日の高値は明日の安値」と考え、臆せず買いを入れていく

相場観は「風が吹けば、、、」的な、連想ゲームに似たところがあります。そして、結論に至る過程には、多くの仮説の積み重ねがあります。しかし、現実は1つだけ、値動きのみなのです。正解は2)の「理由は分からずとも、株価が上げているのは事実。今日明日には重要なテクニカルポイントを上抜ける可能性も出てきて、前週までとは明らかに違った相場つきである。『今日の高値は明日の安値』と考え、臆せず買いを入れていく」になります。


相場を動かす材料として、「総選挙での政権与党の敗北→政権交代」は、政治や経済の先行きが不透明になるところから、伝統的には円安の要因です。外交面では民主党の駐日アメリカ軍に対する対応や、北朝鮮に対する対応を不安視する人もいるでしょう。また、不況対策での現政権へのバラマキ政策に対する新政権による歯止めが、景気回復を遅らせるという見方も可能です。いずれにせよ、政権が「変わる」ということで、不透明さを増すことは避けられません。とはいえ、懸念をどこまで膨らませても、実際にはどうなるか、先のことは誰にも分からないのです。


相場は売り手と買い手とがいて、初めて売買が成立します。あなたが買いたいと思っている時、あなたに向き合っている相手は売りたいと思っています。あなたが自分が正しいと思っているように、相手も自分が正しいと思っているでしょう。ここで、価格が相手の思惑通りに行っているとすれば、あなたの考えは、世間的に通用していないことになります。


また、相場には様々な参加者がいます。大きく分けて、売り買いに至る「事情」を持つ人々と、売りたい買いたいという「意欲」に基づく人々に2分されます。あなたが買いたいという意欲を持ち、その相場観の正しさを伝えたくても、売らねばならないという事情の人には通じません。その事情が深刻で、大量のものであった場合には、意欲だけで買い向かっても、どこかで限界を見てしまいます。


そういった事情というのは、実需に基づくものが多いので、公の資料を分析していれば、大体のところが分かります。とはいえ、今現在売っているのが、正にその実需だというのは、業者を通していたとしても、その取り扱い業者にでもならないと分かりません。そして、その業者は守秘義務を持ちますので、仮にあなたがその情報を得たとしても、真実か噂かは分からないのです。しかし、売り物が出るとその痕跡は必ず現れます。それが価格の動きなのです。そして、その情報が嘘でも真実でも、価格が動けば損益が動きます。


選択肢1)の「今回の円高の進行はあまりに急速で、いつ大幅に値を戻してもおかしくない。円高メリットだけで上げすぎたと思われる銘柄で、売りから入ることを考える」は、どこまでもあなたの思惑から抜け出ていません。相場の売買に相手がいる以上、あなたの思惑だけで物事が進むことはありえません。


3)の「当初の思惑がはずれた以上、しばらくは様子見。きょうの後場から中途半端に動くのはいただけない。買いにまわる場合は、日経平均株価が週足で1万円台を固めるなど、今後のトレンドを明確に見極めてから」は、それなりに正しいのですが、あなたのような人が多いと、相場は見極めようとしているうちに上ってしまいます。もともと、あなたの思惑などに、相場は構ってくれないのです。


市場価格が常に正しいとは言いません。というより、何が正しいということすら、簡単には言えません。とはいえ、はっきりしているのは、市場価格の変動が、あなたの損益に直結することです。したがって、市場価格に逆らうことは、そのままあなたの損失を意味します。正しいと信じていても、損をすれば退場を余儀なくさせられるのが相場です。


その意味で、2)の「理由は分からずとも、株価が上げているのは事実。今日明日には重要なテクニカルポイントを上抜ける可能性も出てきて、前週までとは明らかに違った相場つきである。『今日の高値は明日の安値』と考え、臆せず買いを入れていく」のが正解なのです。


但し、ボックスレンジを上抜けしたからといって、必ず上昇するというわけではありません。タイミングを見極めたつもりで買ってみても、予め想定した以上に値を下げてしまったなら、速やかに損切る必要がでてきます。それがリスク管理なのです。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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