あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[投資心理に関する問題]

自分の建玉に有利な材料や見通しを発言する、いわゆるポジショントーク。他人のポジショントークに対しては比較的警戒心を持ちやすいものですが、では逆に、自分が発言する立場であればどうでしょう。初・中級レベルのトレーダーにとって、ポジショントークも要は使いようでしょうか?それとも沈黙は金でしょうか?

正解は・・・
(3)自分の話も他人の話もあまり信じ過ぎずに、気楽に意見交換するくらいの姿勢なら有益である。ポジショントークを通じて、いま自分が多数派、少数派どちらに属するかの判断ができる。多数派に属するようなら要注意である

相場でポジションを持つことは、リスクを抱えることです。リスクを取るのですから、信念とまではいえないまでも、強い気持ちが必要です。上げると思うから、買えるのです。とはいえ、決して忘れてはならないのは、あなたが買う時、あなたに売った人がいるという事実です。つまり、あなたと正反対の気持ちや考え方、あるいは事情を持った人と、相対しているのですから、相手の立場を理解することは重要なのです。


正解は(3)の「自分の話も他人の話もあまり信じ過ぎずに、気楽に意見交換するくらいの姿勢なら有益である。ポジショントークを通じて、いま自分が多数派、少数派どちらに属するかの判断ができる。多数派に属するようなら要注意である」となります。


(1)の、「他人のポジショントークを盲信するのは良くないが、自分が喋る側なら話は別。自分の話が周囲に波及し、実際の相場に好影響が及ぶ可能性があり、損はない。ポジショントークも要は使いよう、上手く制したい情報戦のひとつである」というのは、どうでしょう。


情報戦として、ポジショントークを利用できる人は、極めて限られた人たちです。例えば、先年、原油価格が上昇した時にも、まだ60、70ドルの頃から200ドルに到達するとさかんに喧伝するヘッジファンドのマネージャたちがいました。彼らの真意がどこにあったのかは分かりませんが、一時は原油価格は上げ続けるというのが、大勢の相場観となっていました。


確かに、2008年7月に原油価格は147ドル台にまで上昇したのですが、そのうちの数十ドル分は、自分たちヘッジファンドが集まって買い上げたのですから、説得力があるというものです。


ヘッジファンドだけでなく、かっての日本の機関投資家や証券会社なども、静かに買い集めるというよりは、目立つように買い、その相場観も公開していましたので、ポジショントークによる情報戦と捉えられなくもありません。


とはいえ、それが説得力を持つのは、その通りに相場が動くからです。つまり、それだけのパワーがあるか、相場観が卓越しているかのどちらかなのです。それでも、当たり続ける人はほとんどいなくて、原油価格もその後、30ドル台にまで急落したのです。


個人投資家であるあなたが、自分のポジショントークで相場を動かせるとは考えない方がいいでしょう。そんなことよりも、真摯に値動きを観察して、付いて行くように心掛けるべきです。


(2)の「自分のポジショントークも慎むべきである。このようなお喋りは自分を正当化する屁理屈にすぎず、他人に話すことで自己暗示が強化され、トレードの判断を鈍らせる恐れもある。少なくとも得はなく、まさに沈黙は金といえる」はどうでしょう。


仮にあなたの相場観が卓越しているとして、沈黙は金だと押黙っている人に、誰が情報をくれますか? べらべらといろいろな人に相場観をしゃべりまくるのは問題があるとしても、情報は基本的にギブ&テイクなのです。じぶんの損得だけを考えていては、誰も何も教えてはくれません。


私がこういった情報をあなたに「無料で」提供しているのは、私なりの時間の視野を含めたギブ&テイクだからです。つまり、私は私の先輩たちからテイクしたものを、あなたにギブしているのです。そして、もしかすると、あなたがギブした誰かから、今度は私がテイクするかも知れないと思っているのです。


私は至るところで情報を提供していますので、多くのところから情報を得ることができています。つまり、大きなギブは、大きなテイクにつながるのです。


そして、意見を交換することの中から、相手の考えていることの理解が深まり、自分の考えの穴を発見できたりするのです。視野を広げて多くのものを観察し、包括的な見地からなされるのが、トレードの判断です。


ポジションを取ることは、相場での自分の立ち位置を決めることでもあるのです。しかし、それはあくまで、自分の立ち位置であって、それが正しいとか、真実とかいうものではありません。正解3)のように、「自分の話も他人の話もあまり信じ過ぎずに、気楽に意見交換するくらいの姿勢なら有益である」といえるのです。


ポジショントークについては、拙著、実践「生き残りのディーリング」で以下のように述べていますので、引用します。(参照:http://dealersweb.ken-shin.net/bookshop.html


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45. ポジショントークはこう聞く

「里がへり夫びいきにもう話し」
この有名(?)な川柳は、初々しい新妻の、いきいきとした様子を描写していながら、ポジショントークの本質をも、よくとらえているようで滑稽です。

初めての里帰りで、新妻はもう亭主の肩を持って話すというのです。彼女は夫というポジションのリスクを取ったがために、何が何でも自分の行為を肯定しようとしています。このとき、彼女が本当に夫に満足しているかどうかは、別問題です。

結婚というのも面白いもので、婚約中、結婚前夜までは、彼女にとって彼は最も近い他人です。したがって、彼を理解しようと努め、良い面を見ようとします。ところが、一夜にして彼は、その時点では彼女から最も遠い家族に変わり果てるのです。育った環境、食べ物の好み、日常のささやかな行為の一つ一つが、家族としては見慣れないものばかりなのです。腹の立つことも多いでしょう。夫婦が文字通りの、最も近い家族になるためには、まだまだ時間を要するのです。

ポジションも同様で、持ったポジションが必ずしも利益につながる訳ではありません。買った途端に値下がりして、苦しみ抜くポジションもあります。それでも買った以上、保有している以上、彼は自己のポジションを正当化せざるをえないのです。

本当は損失を実現したくないだけなのに、現状を肯定するありとあらゆる「へ理屈」が用意されます。また、ポジションも持ってしまうと、後悔しているポジションですら、何らかの思い入れが出てくるものです。いずれにせよ、ポジションを保有している理由を肯定しなければ、自己矛盾に至ってしまうのです。

ディーラー同士の相場観の交換というと、何やらプロだけで通じ合う難しい話のように聞こえるでしょうが、どのような難解な言葉を用いていようと、単なるポジショントークの言い合いをしていることが多いものです。かくいう私なども同様で、ポジションを持つ前ならともかく、持ったあとに反対意見など聞かされてもありがたくも何ともありません。かくして、同じような立場の人間が集まって、お互いを慰め励まし合うことになります。

実はこれが危険なのです。同じ方向にポジションを持った、似たような意見の人とばかり話していると、バランス感覚を失ってきます。のみならず、何度も同じ相場観を繰り返すうちに、自分の話に酔ってきます。相場観など、単なる仮説にすぎないのに、事実のように思え「どんと来い」となってしまうのです。

相場観の一致は要注意です。似た相場観は似たポジション、すなわちポジションの偏りを意味しています。

たとえば、ポジションがショートに偏ると、弱気の話ばかりが聞こえてきますが、その実、買い戻す必要のある人ばかりになっています。ささいなきっかけでも自律的に大反発する危険が迫っているのです。

ポジショントークは、このように聞かねばなりません。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「投資心理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
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1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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