あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[ニュースに関する問題]

購入予定株数の約30%まで買い進めていたファンダメンタルズ良好の保有株が、定期銘柄入れ替えにより日経225から外れました。事前の下馬評では除外候補にほとんど入っておらずサプライズとして受け止められたのか、株価は約5%急落しています。この状況からどう取引するべきでしょうか。

正解は・・・
(1)買いポジションの完成前に悪材料が出たのは不幸中の幸いだった。放置して損失が拡大することのないようなるべく早く損切りし、別の銘柄を探すのが良い。225からの除外により、業績に関係なく相場つきが一変する恐れも否定できない

買うと決めた時点で想定していなかったことが、購入後に勃発、あるいは発覚すると、その物を購入すると判断した前提が崩れてしまいます。想定外の好材料である場合には、とりあえず株価がどこまで上がるか見極めてから、売って利益を確定します。想定外の悪材料である場合には、どこまで下げるか分からないので、即座に売り払います。


前提が違うのに保有し続けるようなことをしていると、いずれ投資というものを見失ってしまいます。正解は、「(1)買いポジションの完成前に悪材料が出たのは不幸中の幸いだった。放置して損失が拡大することのないようなるべく早く損切りし、別の銘柄を探すのが良い。225からの除外により、業績に関係なく相場つきが一変する恐れも否定できない」となります。


日経平均株価は、東証第1部上場銘柄のうち市場流動性の高い銘柄で構成する指数で、市場を代表する225銘柄を対象に算出しています。採用銘柄は、長期間にわたる継続性の維持と産業構造変化の的確な反映という2つの側面を満たすものとしています。


日経225銘柄から外れるのが、なぜ悪材料となるのか、225銘柄の選定基準を、「日経平均プロフィル(http://www.nikkei.co.jp/nkave/faq/faq_10.html)」で見てみましょう。

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(以下引用)
Q:225銘柄はどうやって選ぶのですか

A:現状の225銘柄をベースに、「選定基準」によって除外・補充銘柄を選んでいます。除外・補充銘柄は市場での流動性とセクター(産業分類)間のバランスを考慮して決定します。原則として年1回10月の第1営業日に定期的に見直す他、合併、倒産など必要に応じて臨時に銘柄を補充します。定期見直しの結果、銘柄入れ替えがない場合もあります。

流動性は、過去5年の売買代金と売買高当たり価格変動率{(高値÷安値)÷売買高}で計測します。流動性が上位450までの銘柄を高流動性銘柄群とし、現在の採用銘柄のうち、これに属さなくなった銘柄を除外します。また、上位75位以内の非採用銘柄を採用します。

次に、高流動性銘柄と現在の採用銘柄のセクター別の銘柄数分布を比較し、過剰なセクターでは流動性の低い順に除外、不足するセクターには流動性の高い順に補充します。セクターは日経業種分類(36分類)を技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6種にまとめたものです。

倒産等による臨時入れ替えの場合、原則として除外銘柄と同じセクターから流動性の高い順に採用します。ただし、持ち株会社化など企業再編では実質上の継承会社を採用するなど実態に促した補充を行う場合もあります。
(引用終り)
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この「選定基準」については、以下の「銘柄選定ルール」のページをご覧ください。
http://www.nikkei.co.jp/nkave/about/rule_1.html
http://www.nikkei.co.jp/nkave/about/rule_2.html
長いので引用はしませんが、ポイントは以下の5つです。


[1]高流動性銘柄
東証1部上場銘柄のうち、市場流動性の上位450銘柄を「高流動性銘柄群」とします。

[2]市場流動性の尺度
市場流動性は「売買代金」と「売買高当たりの価格変動率」で計測します。計測の期間は5年です。 売買高当たりの価格変動率は(高値÷安値)/ 売買高 で算出します。

[3]極めて流動性の高い銘柄を必ず採用
高流動性銘柄群のうち上位75銘柄は必ず採用します。この採用基準は次の「セクターバランスによる除外・採用」に優先します。

[4]セクターバランスによる除外・採用
妥当数と実際の採用銘柄数を比較して、採用銘柄数が妥当数より多いセクターからは除外、少ないセクターには新規採用します。除外、採用は市場流動性の順に行います。

[5]臨時入れ替えに実態を勘案


文章や演説のキーワードを探るのに、頻出語句をハイライトするというのがありますが、上の採用基準、入れ替え条件のキーワードは一見して「流動性」です。つまり、採用銘柄は、長期間にわたる継続性の維持と産業構造変化の的確な反映ということにも増して、売り買いが盛んな銘柄なのです。


その高流動性銘柄であることのお墨付きを得ている225銘柄からの除外は、合併、倒産などでない限り、流動性が目立って落ちた銘柄です。つまり、以前より板が薄くなり、売買コストも高くなっている可能性がある銘柄です。


あなたが銘柄を選ぶ際に、こういった流動性リスクを考慮することはほとんどないと思いますが、1つの銘柄を大量に売買する機関投資家などは最重視する要因の1つです。225銘柄以外の銘柄の保有や売買を禁じるところもあるほどです。


あなたの銘柄が日経225から外れると、225銘柄をそのまま組み入れていたファンドなどは、否応なく売ってきます。そして、どんなに割安になったと思われても、そういったファンドや機関投資家からの買いは入ってきません。流動性が落ちたから外された銘柄の流動性が、更に落ちてしまうのです。


他の選択肢をチェックしましょう。


(2)30%買い進めた時点で約5%の下落なら、想定した価格の揺らぎの範囲のはず。225銘柄である事だけを理由に買っていたのでない限り、予定通り買い進めて良い。業績好調の銘柄ならパッシブファンドの売り一巡後は反発が期待できる


あなたの想定は、損失の絶対額だけのようです。すでに想定していないことが起きたという、投資の前提が崩れているのに、予定通りというのは筋が通りません。また、あなたが考えるように、好業績の銘柄だから反発が期待できるという根拠もありません。


(3)すぐに投げるほどの損失でもないが、だからと言って買い進めるのもどうか。この状況では数週間〜一カ月程度は様子を見るようにし、ファンドの売りが一巡した後のトレンドを見極めた上で今後の売買方針を決めるべきだ


ファンドの売りが一巡するのが分かっていて、なぜ様子見を決め込みますか? 損失が大きくなると予想していながら、実際にそうならないと損切りに踏み切れませんか? プロでもありがちですが、ポジションが小さいと根拠もなく神頼みし、結果的に大きな損失につながることがままあるのです。今回は、下げる根拠があるのに、なぜ損の拡大が見たいのかが理解できません。


想定外の好材料である場合には、とりあえず株価がどこまで上がるか見極めてから、売って利益を確定します。想定外の悪材料である場合には、どこまで下げるか分からないので、即座に売り払います。前提が変わったのに保有し続けるのは、もはや投資とは呼べません。

見事正解だったあなたは・・・

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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