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株初心者のあなたが、身近な日本株への投資を検討していたところ、投資経験のある友人がこんなアドバイスをくれました。「経験上、本業に時間を取られるサラリーマンが、個別銘柄を詳しく調べて投資するのは大変。長期なら日経225ETF、短期なら日経225先物を活用するのがいい」。あなたは早速ネットでETFや指数先物について調べましたが、一長一短あるようです。この友人からのアドバイスをどう解釈すべきでしょうか?

正解は・・・
(1)友人のアドバイスはその通り。初心者ほど「名前を知っている」だけの株を何となく買ってしまい損を出すことが多い。それなら、一般的な投資信託と比べて手数料の安いETFや、値幅の期待できる指数先物を活用するのが合理的だ

あなたの友人のアドバイスは、まったくその通りです。「経験上、本業に時間を取られるサラリーマンが、個別銘柄を詳しく調べて投資するのは大変。長期なら日経225ETF、短期なら日経225先物を活用するのがいい」といえます。正解は、(1)の「友人のアドバイスはその通り。初心者ほど『名前を知っている』だけの株を何となく買ってしまい損を出すことが多い。それなら、一般的な投資信託と比べて手数料の安いETFや、値幅の期待できる指数先物を活用するのが合理的だ」になります。


ETFを、オンラインの野村證券証券用語解説集(http://www.nomura.co.jp/terms/search/jojotosin.html)で調べると


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「ETF(Exchange Traded Funds)上場投資信託

ETFは、特定の株価指数、債券指数、商品価格(商品指数を含む)などに連動することを目的に運用される投資信託で、通常の株式と同じように金融商品取引所において、いつでも売買が可能である。いわば、取引所に上場されたインデックスファンドである。

またETFは目標とする指数・指標に連動する投資成果を目指す投資信託であることから、いわゆるパッシブ運用をおこなうため、相対的に信託報酬などの運用コストが低いのが特徴である。加えて、個別銘柄で分散投資をおこなうのに比べると、ETFは少額で分散投資が可能である」
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とあります。ここでの株価指数には、日経225やTOPIX、あるいは外国株式市場の株価指数などがあります。


日経225連動型とは、いわゆる、日経平均、日経ダウと呼ばれている、東京証券取引所第一部上場225銘柄を対象とした株価指数と連動するような銘柄構成を持ったETFです。


またTOPIX連動型は、東京証券取引所が日々計算し発表している株価指数TOPIX(東証第1部約1700銘柄の毎日の時価総額を基準日の時価総額で割って算出される)と連動するように、銘柄を構成したETFです。


連動するような銘柄構成という意味は、225銘柄や、1700銘柄すべてを組み入れるという意味ではなく、指数に連動するようにベータ値(市場の変動に対する株価の感応度。β=個別銘柄のリターン÷指数のリターン)を合わせて、銘柄を構成するのです。


したがって、株価指数が上昇している時に、それ以上に上昇しているETFは魅力的に思えますが、そういったETFは株価指数の下落時には、それ以上に下落する可能性が高いともいえるので、指数連動という目的からは離れていると見なされます。


日経225連動型とTOPIX連動型の違いは大きくありません。あえて言えば、TOPIXは機関投資家の評価に使われることが多いことと、銘柄数が多いので、値動きが重いということ。一方、日経225連動型は日本を代表する有名企業なので個々の銘柄の売買高が大きく、また、取引が活発な日経225先物と連動するので、より値動きが大きいことです。これはTOPIX連動型が保有に、日経225連動型がトレーディングにより適しているともいえます。

ETFの特長は、通常の株式と同じように金融商品取引所において、いつでも売買が可能だということです。


また、上の用語解説にあるように、事実上の分散投資を少額で行えることと、通常の投資信託よりは信託報酬が安いことです。


販売手数料は株式と同じなので、ネット証券を利用すれば購入金額の約0.1%、信託報酬も0.2%〜0.3%のようです。


現在は1万円内外(日経平均の数値そのまま、TOPIXの10倍の数値とほぼ同じ)からの売買ができますが、100円ほどの最低販売手数料を設定するところが多そうです。


一方の先物取引は、上の証券用語解説集では、次のように出ています。


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「株式先物取引

ある特定の商品(株価指数等)を、将来の一定の期日に、現時点で取り決めた条件で取引をすることを約束する取引。期日までに反対売買をすれば、差金の授受によって決済することもできる取引である。

機関投資家を中心として、主に、保有している株価変動のリスクを回避するため手段として利用されている。

日本では、1985年9月から始まった。現在、株価指数をベースとした先物取引(株価指数先物取引という)対象として上場されている商品は、以下のものがある。

東京証券取引所で売買
TOPIX先物取引
東証業種別株価指数先物取引
S&P/TOPIX 150先物取引

大阪証券取引所で売買
日経225先物取引
日経300先物取引
RNプライム指数先物取引」
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ここで、日経225先物取引の取引単位は、日経平均株価の1,000倍です。つまり、現状では1取引単位(=1枚)1千万円以上の売買を行っていることになり、10円の値動きが1万円に相当します。


また、決済方法には反対売買と、

(反対売買価格−約定価格)×1,000×枚数


期限満了で決済するものとがあります。

(SQ−約定価格)×1,000×枚数


また、TOPIX先物取引の取引単位はTOPIXの10,000倍です。現状では1枚1千万円近くの売買を行っていることになり、1円の値動きで1万円の損益がでます。


決済方法は日経225先物取引同様、2種類です。

(反対売買価格−約定価格)×10,000×枚数

(SQ−約定価格)×10,000×枚数


このSQ(Special Quotation=特別清算指数)を、上記の証券用語解説集では、


「株式先物取引や株価指数オプション取引の最終決済を行うための価格(=清算指数)のことをいう。満期日前に反対売買による決済を行わない時の、清算価格として使用される。


機関投資家を始めとする投資家は、株価指数先物取引、株価指数オプション取引と現物取引を同時におこない、割安になっている方を買い、割高になっている方を売ることによる価格差で利益を得る取引をおこなう(=裁定取引)。これは、期限満了になると、株価指数先物取引、株価指数オプション取引が清算指数で清算されるという「SQ」の仕組みを利用している。


株式先物取引のSQ算出日
株式先物取引は、3、6、9、12月のそれぞれを限月とする商品(3、6、9、12月の5限月取引制・最長1年3カ月)が取引されているが、各限月の取引最終日の翌日に、特別清算指数が算出される」


と解説しています。つまり、株価指数先物取引では3カ月以内に決済がきます。ETFに比べて、仕組みが複雑だということはありません。


売買手数料は、株価指数先物取引が1枚2,100円、10分の1単位のミニ取引が1枚105円といったところのようです。


これらを整理すると、トレンドを狙ってじっくりと保有するなら、ETFの取引が適しています。この時、じっくりを重視すれば日経225よりTOPIXですが、売買を考えて流動性を重視するなら、売買高の大きなものということになります。


ETFの売買高については以下を参照してください。
(参照:http://money.quick.co.jp/fund/fund_r/09090302.html


とはいえ、これだけの選択肢があるETFより、多くの参加者が期近という単一の物を売買する先物の方が流動性が高く、トレーディングには適しています。また流動性という意味では、TOPIXの先物よりも、日経225先物が短期売買には適しています。


あなたの友人のアドバイス、「経験上、本業に時間を取られるサラリーマンが、個別銘柄を詳しく調べて投資するのは大変。長期なら日経225ETF、短期なら日経225先物を活用するのがいい」は、まったくその通りなのです。


10円の値動きで1万円の損益が大き過ぎると思う方は、ミニ取引を使うことで解消されます。


他の選択肢を見てみます。


(2)日経平均全体を少額から買える225ETFはリスクが低く、確かに初心者向きだ。だが、10円の値動きで1万円の損益が発生する225先物はプロ向き。損益1/10の225先物ミニもあるが複雑な仕組みは同じで、初心者が手を出すべきではない


ETFと先物とは、リスクの大きさで使い分けるより、保有かトレーディングかという、目的別の使い分けがいいと思います。中期保有のトレーディングは迷うところですが、決済を気にしないでいいという意味では、ETFでのトレーディングでもいいでしょう。


(3)一利ある考え方だが、この友人にしても、個別株を経験したうえでこの考えに到達している。ならば自分も、一度は個別株への投資を経験してみるべきだ。別の結論も十分あり得るだろう。ETFや先物は後から手を出すのでも遅くない


私は順序が逆かと思います。株価指数より個別株の方がリスクが大きいのです。私にとっては個別株の売買の方が数段面白いのですが、それでも個別株の売買は、ファンダメンタルズに思い入れがあったり、個別の要因で大動きすることが頻発するなど、奥の深さを痛感しています。個別株取引は、株価指数取引で値動きのリスクを体感してからの方が、効果的だと思います。


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残念ながら、どちらも株価指数には負けています。今は安全性を重視した、ファンダメンタルズ的に抜群なものが買われる時期ではないとはいえ、個別株投資は奥が深いのです。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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