あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[ニュースに関する問題]

あなたは新興市場A社株の短期売買を手がけています。売買の際は、A社株の板情報やチャートのほか、同市場の主要銘柄やインデックス、また個人の書き込みが多い投資関連の掲示板をチェックしています。ある日A社株を買い持ちしたところ、掲示板に「A社が粉飾決算」との未確認情報が。正式にはそのようなニュースは配信されていないようですが、株価は急落し、まもなくストップ安に張り付つきそうです。どうしますか?

正解は・・・
(2)掲示板への書き込みが本当か嘘かは現時点では分からないし、調べても答えは出ない。この場合、理由はどうあれ、株価が急落しているという事実を受け止め、売れるうちに成り行きで手仕舞うべきである

何を拠り所に売買するにせよ、買ったものが値下がりすれば損を出すという事実からは逃れられません。正解は(2)の「掲示板への書き込みが本当か嘘かは現時点では分からないし、調べても答えは出ない。この場合、理由はどうあれ、株価が急落しているという事実を受け止め、売れるうちに成り行きで手仕舞うべきである」となります。


投資を始める拠り所には、大きく分けるとファンダメンタルズ分析と、テクニカル分析とに大別されます。また、あなたのように材料を求めて、投資関連の掲示板をチェックしたり、投資仲間の情報に耳を傾ける人たちも多くいます。選挙ではありませんが、株は「風」だという人も多いので、それで株価が動くのも事実です。


ファンダメンタルズを信奉する人たちは、テクニカルを見る人たちを下に見る傾向があり、テクニカルを信奉する人たちは、ファンダメンタルズは当てにならないと思っています。また、株は風だとする人たちは、分析云々を言う連中は相場を知らない連中だなどと言います。とはいえ、誰もが賛同するしかないのが、株価には逆らえないことです。


ファンダメンタルズ分析の長所は、ファンダメンタルズが激変することは稀なので、それなりに将来の予測が立てやすいことです。短所は、ファンダメンタルズ分析は投資対象の分析なので、その分析結果と為替レートや株価とは、必ずしも一致しないことです。つまり、良いものが買われるとは限らないのです。


テクニカル分析の長所は、市場価格の分析なので、為替レートや株価の現時点での状況が正確に分かることです。短所は、あくまで過去から現時点までの分析なので、現時点からの価格の変動により、将来の予測が激変してしまう恐れがあることです。つまり、支持線が保たれている間は買いだが、抜けたら売りと、180度転換するのがテクニカル分析なのです。


このように、これら2つの分析は役割が違うので、両方の違いを認識しながら学ぶことで、相場で成功する確率が高まってきます。一方、相場は誰が買っても上がる訳ですから、イベントに注意を払い、掲示板や、噂や、出来高などに注目するのも、1つの方法なのです。ところが、どんな方法を採っても、どこまでいっても先の事は分からないままです。


したがって、私はプライスアクション理論というものを提唱しています。
(参照:http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10324046540.html


プライスアクション理論の要点:

・キャピタルゲインは価格の変動によってのみ得られる

・あらゆる投資尺度、材料は、理論価格収斂型であっても、予測型であっても、価格が反応して初めて、成否が判明する

・投資尺度が正しい場合でも、基礎となる条件が変われば、結果がともなわない場合がある

・投資尺度が正しく、基礎となる条件が不変でも、まったく別の要因で失敗することもある

・すなわち、「価格の動き」そのもの以外のすべてを完璧に押さえていても、価格が思惑に反することのリスクを排除することはできない

・したがって、最大のリターンを追求しながら、同時にリスクが最小であるという、最も効率的な運用とは、価格の動きのみに反応することである


つまり、今回のように株価が急落し、まもなくストップ安に張り付つきそうだという場合では、理由の如何を問わず、売り払うことが肝要なのです。


他の選択肢をチェックしましょう。


(1)掲示板への書き込みはポジショントークばかりで、参考するに値しない情報がほとんどだ。虚偽の情報と判明すれば株価はすぐに反発するもの。慌てずにニュースをチェックしながら様子を見るべきである


掲示板の書き込みが虚偽か、あるいは企業の決算報告が虚偽かの真偽は、あなたの損益に直接には関係しません。問題は株価が下がっているという事実です。もし、この下落があなたの想定していた範囲を超えていたなら、ここは損切って、出直しです。


(3)ネット掲示板に本物の早耳情報が書き込まれる確率は低い。今回のように、個人が狼狽してパニック売りに走るような場面でこそ、自分は買いに回るべきだ。ストップ安近辺に指値買いを入れておくのが良い


この考え方で、もし今日がストップ安で引けて、明日も同じようにストップ安水準まで下げたとすれば、あなたは明日も、そしてその次の日もストップ安で買い続けるのでしょうか? 値幅はともかく、ナンピン買いをする人は、必ず「自分だけが正しくて、世間が間違っている」という、同じような考え方をします。ところが、現実に株価は下げているのですから、現実が見えていないのは、あなたの方なのです。


株価の上げ下げが、あなたの損益に直結する以上、あなたが判断の拠り所にするべきものは、株価の動きそのものなのです。


今回の問題の正解は(2)の、「掲示板への書き込みが本当か嘘かは現時点では分からないし、調べても答えは出ない。この場合、理由はどうあれ、株価が急落しているという事実を受け止め、売れるうちに成り行きで手仕舞うべきである」、となります。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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