あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[資金管理に関する問題]

堅調に推移していた株式市場が、数年に一度の大幅下落に見舞われました。225採用の大型株を中心に、目一杯レバレッジをかけて信用買いしていたあなたの口座には、まもなく追証が発生しそうです。追加の証拠金を差し入れてもう少し頑張るべきでしょうか?

正解は・・・
(3)数年に一度の変動でやられるのは、ポジションサイズに根本的な誤りがあるため。マージンコール寸前の今の状況が、そのままトレードの失敗を示している。すぐに損失を確定させ、しばらく頭を冷やした方がよい

相場で勝ち続けることは望めません。勝ったり負けたりしながらも、負けの総額を勝ちの総額が上回るようにすればいいのです。そうする為には、大きく負けてはいけません。正解は、(3)の「数年に一度の変動でやられるのは、ポジションサイズに根本的な誤りがあるため。マージンコール寸前の今の状況が、そのままトレードの失敗を示している。すぐに損失を確定させ、しばらく頭を冷やした方がよい」となります。


私は先週11月11日に上梓した「テクニカル指標の成績表」(http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=528&c=9784775990926)のプロローグに、次のように書きました。


「まずは、小さな手元資金で始めることだ。失敗すれば、反省し、考えることで、知識や技術、精神力のアップにつながる。成功すれば、資産が増えるだけでなく、自信という財産を得ることができる。大怪我さえしなければ、どちらに転んでもポジティブに捉えてればいい。だから、大事なのはリスク管理なのだ」


こんなことを書くと、どこまでポジティブ(前向き、楽天的)な奴なのかと思うでしょう。実際、相場をする人間の根っこは楽天的なのです。買ったなら、本気で上がると思っているのですから。そして、やられても、やられても、また上げそうに思えたなら、買ってしまうのですから。


日本人よりも、アメリカ人の方が株式などの投資に熱心なのは、もしかすると、アメリカ人の方が楽天的なのかもしれません。


もっとも、買ったものが下げ続けているのに、持ったままでいるのは前向きとは違います。逆に、損を出したくない。損切った途端に上げ始めること(つまり判断ミス)を恐れるという、後ろ向きな思考に入っています。


「失敗すれば、反省し、考えることで、知識や技術、精神力のアップにつながる」というのは、いわゆる、授業料を払うというものです。授業料なのですから、きっと将来につなげたいものです。そのためには、一回の損失で追証が入るようでは困ります。大きくやられてしまうと、前向きでいようにも、何もできなくなってしまうのです。


他の選択肢を見てみましょう。


(1)持ち株に個別の悪材料はなく、市場全体の下落に連れ安している状態である。統計的にこのような大幅下落の後ほど、急反発の確率も高い。証拠金を差し入れて信用維持率を上げ、株価の反発を待つのが合理的だ


あなたの見方は正しいかも知れません。確かに、正規分布の標準偏差などを見ても、通常以上に下げれば下げるほど、反発する確率は高まっていきます。


しかし、相場に向かう時は、常に万が一を考えておかねばなりません。明日はもとより、次の瞬間に何が起きるかも見通せないのに、素朴な確率論に頼って勝負するのは、決して合理的な行為ではありません。


(2)追証に応じるのはリスクが高いが、株価が戻す可能性の高い状況で損失を確定させる必要もない。「大底での投げ売り」にならないよう我慢して様子を見るべきだ。結果的に強制決済となったら、諦めるしかない


あなたの質問では、今、投げ売りすることの損失と、追証での強制決済での損失とが比較できないので、一般論になりますが、様子を見ていてストップ安などになってしまうと、おそらく今の損失とは比較にならないほどの損失となるかと思います。


私には、あなたが自ら損切りするという判断を避け、強制執行なら仕方がないと、「苦渋の決断」から逃げようとしているように思われます。逃げたら負けです。どんなに辛くても、どんなに苦しくても、前向きに最善だと思われる策を講じ続けることが、最後の勝利に結びつくのです。


今回の問題は、相場に携わる人なら、追証までには至らずとも、ほぼ日常的に直面する問題です。基本的には、相場が思惑に反して逆に行った時にはどうするか? という問題だからです。そして、多くの場合は損切りした後の反転を恐れて、持ち続けるための一見もっともな理屈を考え出してしまうのです。


しかし、相場はタイミングがすべてだと理解し、割り切れば、やるべきことは自ずから決まってきます。損切りは早ければ、早いほどいいのです。


正解は、(3)の「数年に一度の変動でやられるのは、ポジションサイズに根本的な誤りがあるため。マージンコール寸前の今の状況が、そのままトレードの失敗を示している。すぐに損失を確定させ、しばらく頭を冷やした方がよい」となります。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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