あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

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FX取引で金利の安い通貨を売り、金利の高い通貨を保持すると、金利差額分のスワップポイントを受け取ることができます(例えば2009年11月現在、豪ドル/円を1万通貨ロングすれば1日約80円を得られ、逆にショートすれば同額の支払いが発生)。ここで問題、以下のうち正しい認識は?

正解は・・・
(2)少額でも確実に利の乗っていく高金利通貨のロングは、長期的にみれば有利な戦略である。ただし短期のトレードにおいてはその限りではない

金利収入は長く保有してこそ、それなりの収入に繋がります。数日などの短期トレードでは、売り買いのスプレッドにも負けてしまいます。正解は2)の、「少額でも確実に利の乗っていく高金利通貨のロングは、長期的にみれば有利な戦略である。ただし短期のトレードにおいてはその限りではない」となります。


スワップポイントは金利差を価格で調整するものです。例えば、3.6%の金利差があれば、1日分は0.01%、100万円当たり100円になります。スワップポイントの決定に、政策金利を適用するわけではありませんが、日豪の政策金利差は3.15%ですから、豪ドル/円が100円だと、スワップポイントは88円、80円だと70円ほどになります。つまり、豪ドル/円が82円ほどの時に、スワップポイントが80円だということは、日豪の政策金利差以上に、市中金利差があることを意味しています。


金利収入は意外に大きなものです。金利が7%あると、複利だと10年余りで元金が2倍になります。2008年3月ー8月の豪ドルの政策金利は7.25%、日本のそれは0.5%でしたから、約7%の金利差があったのです。もっとも、スワップポイントは、1日分だけの計算ですから、豪ドルの利下げとともに、2009年の4月ー9月は金利差2.90%にまで縮小しました。その金利差だと、元金が2倍になるのに24年以上もかかります。


金利差7%を豪ドル/円レートで考えると、82円のものが、10年ほどで40円近くになるのです。これは、40円で豪ドルを買えたという意味ですので、FXレートが全く動かないで、80円で売れば2倍の利益が出ます。このように、高金利通貨の長期保有は明らかなメリットがあるのです。


他の選択肢を見てみましょう。


1)高金利通貨の短期売買によりキャピタルゲインを狙う場合、スワップポイントを受け取れるロング側が有利で、支払いの発生するショート側が不利である


短期売買で、例えば、高金利通貨を5日保有すると、金利差が7%であっても、82.00円のFXレートが81.92円にしかなりません。この8銭という金額は、5日間のFXレートの動きの中では、誤差に近い金額です。キャピタルゲイン狙いのトレードでは、金利差に惑わされることは禁物です。こういったことを有利と考えて、買いから入り値下がりされると、スワップポイントで浮上するまでに、数年かかってしまうこともあるのです。


その間に、金利差が逆転などしてしまうと、今度はスワップポイントでやられることになります。


短期売買ではタイミングが命です。タイミングを捉えるには、チャートなどのテクニカル分析が優れています。


3)高金利通貨でキャピタルゲインを狙う場合、スワップポイントは有利にも不利にも働かない。またスワップポイントでのインカムゲイン狙いは長期的にみれば不利な戦略である


スワップポイントが有利にも不利にも働かないことはありません。誤差に近い金額とはいえ、高金利通貨の保有の方が、有利には違いありません。私が強調したいのは、金利面での優位性を、キャピタルゲイン狙いの短期売買に持ち込むなということです。タイミングを間違えば、どのように大きく見えた優位性ですら、何の力にもならないのです。


また、スワップポイントでのインカムゲイン狙いが、長期的には大きな意味を持つ有利な戦略であることは、上に述べました。


通貨は金融商品ではありません。金融商品には換金リスクがありますが、通貨にあるのは為替変動リスクです。つまり、豪ドルを保有していて、豪ドルのままオーストラリアで使うことにはリスクがありません。


いずれ円に戻すとしても、長期的にみて、両通貨の強弱に向かう可能性が5分5分だと見なせたら、高金利通貨を保有する意味が出てきます。その金利差が大きいと、相場観では多少は弱気でも、高金利通貨の方が有利なのです。


正解は2)の、「少額でも確実に利の乗っていく高金利通貨のロングは、長期的にみれば有利な戦略である。ただし短期のトレードにおいてはその限りではない」となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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