あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[資金管理に関する問題]

何回かエントリー時に損切りをした後、新規で建てた買いポジションに利が乗ってきました。いまのところ上手く上昇トレンドに乗れているようです。どうせ勝つなら大きく勝って損小利大を実践したいものですが、利益を最大化するために正しい方針は以下のうちどれでしょうか?

正解は・・・
(1)利の乗った状態から1〜2回の買い乗せを行い、限度額に近いところまでポジションを膨らませる

損失を小さく、利益を大きくという、いわゆる損小利大のトレーディングを行うには、損失の値幅を小さく、利益の値幅を大きくするように努めます。そして、もう1つの方法は、損失のポジションを小さく、利益のポジションを大きくするように努めるのです。正解は(1)の「利の乗った状態から1〜2回の買い乗せを行い、限度額に近いところまでポジションを膨らませる」となります。


では、(2)の「一度に大きく買い乗せすると損益分岐点が跳ね上がってしまう。そこでトレンドを見極めながら10回程度にわけて細かく買い乗せを行うのがよい」は、どうして正解ではないのでしょうか?


まず(1)と(2)を比較するために、90のものが99に上げる過程で、93と96で2回買い乗せしたものと、91、92、と98まで、8回買い乗せし、同金額で終えたものとを比較して、そのリスクとリターンを見てみましょう。


90の時点では、(1)がコスト(以下C)90で、ポジション(以下P)3、でいます。(2)はそれぞれC90、P1です。

91の時点で、(1)はC90、P3で、利益(以下+)3です。(2)はC90.5、P2で、+1です。

92の時点:(1)C90、P3、+6 | (2)C91、P3、+3

93の時点:(1)C91.5、P6、+9 | (2)C91.5、P4、+6

94の時点:(1)C91.5、P6、+15 | (2)C92、P5、+10

95の時点:(1)C91.5、P6、+21 | (2)C92.5、P6、+15

96の時点:(1)C93、P9、+27 | (2)C93、P7、+21

97の時点:(1)C93、P9、+36 | (2)C93.5、P8、+28

98の時点:(1)C93、P9、+45 | (2)C94、P9、+36

99の時点:(1)C93、P9、+54 | (2)C94、P9、+45

ご覧のように、買い乗せをすると、当初のポジションのままでいるより、格段に収益が増加します。


また、この2つを比較すると、まとまった金額で買い乗せする方が、小刻みな買い乗せよりも、一貫してコストも、ポジションも、そして、収益も有利なことが分かります。


(2)が(1)より有利なのは、91に到達する前に、90以下に下落した場合だけで、いったん91に到達した時点で、(2)のコストは上がってしまい、(1)より有利ではなくなるのです。


では、(3)の「トレンド転換が確認されるまでは現在のポジションを保有しつづけるのがよい。また大きなポジションを作る場合は、下落局面で買い下がって取得単価を下げるのが基本」だというのは、どうでしょう?


(3)では、今回の問題のように相場が上げている間は、上げている分だけが利益につながります。つまり、当初に(1)のようなポジションを取った場合には、99の時点で、+27になりますが、(2)のような場合だと、+9のままです。いずれの場合でも、買い乗せした場合に比べて見劣りします。


また、下げた場合にはポジションが膨らむのですから、上の表を逆に読めば、どういったナンピン買いをすれば、どれだけ損失が大きくなるかが分かります。


もちろん、相場が回復すれば損益も改善しますが、例えば、81の時点からの回復過程で、新規のポジションで、(1)や(2)のように、収益を狙ってくる人たちに比べて、著しく不利な戦いになることは避けられません。


このようなナンピン買いの是非については、以下を参照して下さい。
http://money.mag2.com/invest/tradesense/2008/06/post_259.html


相場はメリハリです。下げると思って買い増しするのは論外ですが、上げると思っている時には、少なくとも使える資金の3分の1は注ぎ込みたいものです。


正解は、(1)の「利の乗った状態から1〜2回の買い乗せを行い、限度額に近いところまでポジションを膨らませる」となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「資金管理に関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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