あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[その他の問題]

外国株の長期投資に興味のあるあなたは、次に有望な国はどこかについて色々と研究しています。ある時、友人に「いくらデータ的に有望そうでも、暮らしたことのない国、知らないモノに投資はしないほうがいい」と言われました。それでは投資対象が狭まってしまうようにも思います。外国株投資に「その国で生活した経験」は必須なのでしょうか。

正解は・・・
(3)外国株とはいえ、株は株。実際の値動きや出来高こそが重要である。極端な話その国への旅行経験すら必要ないかもしれない。知らない国や個別銘柄に関する情報などは、証券会社やアナリストのレポートで十分に補える

あなたの周りにいる、外国で暮らしたことがある人に話を聞いてみて下さい。多くの人に聞けば聞くほど、様々な意見が聞けることでしょう。1人の人間が経験できることには限界があるので、それぞれがそれぞれの印象を語るのです。あなたの経験も例外ではありません。尻尾だけを見て「象」を語れないように、自分の経験を過信することは禁物です。


この問題の正解は(3)の、「外国株とはいえ、株は株。実際の値動きや出来高こそが重要である。極端な話その国への旅行経験すら必要ないかもしれない。知らない国や個別銘柄に関する情報などは、証券会社やアナリストのレポートで十分に補える」となります。


外国だけではありません。あなたは自分が生まれた街や、住んでいる街のことをどれだけ知っていますか? 出身校のことを、自分の思い出以外のことで、どれだけのことを話せますか? 世の中には、自分が勤めている会社がいきなり倒産するという憂き目に合った人さえ大勢いるのです。


国やモノや人であれ、知りたいという対象がある場合に、何を知りたいのかを絞り込む必要があります。すべてを知りたいと思うのは望み過ぎで、結果的に、「分からない」で終わるのが落ちです。


投資対象として、外国株が知りたいのなら、その観点から外国株を見る必要があります。投資の場合には、比較対象が必要なので、その観点から他国の株式を見る必要も出てきます。また、より良い投資のためには、より多くの比較対象を見た方がいいのです。


ここで、見るということが、実際の生活体験を意味するとすれば、より良い投資のためには、世界中を転々と渡り歩く生活がベストだと言うことになります。


生活できないまでも、旅行者の目からでも、実際の投資対象を見る必要があるとして、世界をオートバイで回った著名ヘッジファンド・マネージャーがいます。私も氏の書物を読みましたが、知らない土地のことはそうかと納得できるのですが、知っている土地のことは極めて一面的な観察でした。それも当然で、オートバイの上から数日見た印象を書いて、それが投資につながるはずもありません。


氏の相場観は一面では当り、一面では外れています。当ったのは、一時的には急騰したことです。外れたのは、急騰はしたがその後急落したことと、急騰したのは、氏が投資物件として挙げたものだけではなく、ほとんとすべてのものが急騰したことです。


私は、その理由を、世界的な金余りに見ています。それはデーターで明らかで、オートバイの上からは、なかなか見えないものです。


もっとも、その書物は面白く、また、投資家のものの見方を教えてくれるので、読んでも無駄などということはありません。むしろ、自分で旅行するよりも、投資家の見地からの旅行記を読むほうが、一般的には投資に役立つといえます。そして、1冊だけでなく、多くの書物を読み、比較することで、自分の「見聞」を広げることができるのです。


対象を見る場合に、投資に焦点を当てた見方の書き物があります。証券会社やアナリストのレポートです。これは、投資してリターンが得られるかということに的を絞っていますので、投資物件を知るためには、オートバイ旅行記よりも有用です。


ところが、投資物件を知るためには、オートバイ旅行記よりも有用でも、実際の投資に対しては、どちらが有用なのかは、簡単には判断できません。


たとえば、プロの多くが間違った、サブプライム・ローン証券化商品への投資です。「収入も資産もない人に資金を貸し付けると、資金回収ができない恐れがある」。こんな当たり前の常識に、プロの多くは気付かなかった、というより、あえて見て見ぬ振りをしたのです。


この辺りの詳しいところはブログにまとめていますので、参照して下さい。
(参照:サブプライム・ショックの要点 http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10275436987.html


投資対象に対する深い理解があるに越したことはありませんが、必須ではありません。それよりも大切なのは、「収入も資産もない人に資金を貸し付けると、資金回収ができない恐れがある」。というような、当たり前の常識を身につけることです。


その為には、いろいろなことに興味を持ち、学び、体験することが必要です。また、遊びやスポーツで「みんなのルール」を学び、違法、合法を超えた、ルールを守ることの意味を理解することも重要です。


ルール破りでいながら、違法なことはしていないと居直る政治家などは、当たり前の常識からは外れているといえます。法律は簡単に変えられても、みんなのルールや、当たり前の常識には、一本筋が通っているのです。


ルールについては、今週のブログで取り上げています。
(参照:ルールの範囲 http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-10443050127.html


相場は総合力です。証券会社やアナリストのレポートや、ファンドマネージャーのオートバイ旅行記を読み取る力も、いろいろなことに興味を持ち、学び、体験することで身についてきます。それがあれば、見たものを見たままだけでなく、意味するところまで汲み取ることができるようになるのです。


そして、投資物件の良し悪しだけでなく、タイミングを知るには、価格情報は欠かせません。正解は(3)の、「外国株とはいえ、株は株。実際の値動きや出来高こそが重要である。極端な話その国への旅行経験すら必要ないかもしれない。知らない国や個別銘柄に関する情報などは、証券会社やアナリストのレポートで十分に補える」となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「その他の問題」で、さらに勉強しましょう。

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【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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