あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

サミット、オリンピック、万博、資源、環境、3Dテレビ、電子書籍…株式市場にはその時々で注目される、じつに様々のテーマがあります。このようなテーマを利用して株式投資でより効率的に儲けることは可能でしょうか?可能だとすれば注意点は?

正解は・・・
(2)多くの参加者が見込め、活発な売買が期待できるという意味では、テーマで銘柄を絞りこむのも悪くない選択である。ただし実際に値上がりするかどうかは別の話。先回りではなく、実際の値動きについていくほうが良い

相場は「旬な材料」と「その変化」とで動きます。「旬な材料」とは、市場参加者が注目し始めた材料です。「その変化」は言うまでもないでしょう。この問題の正解は(2)の、「多くの参加者が見込め、活発な売買が期待できるという意味では、テーマで銘柄を絞りこむのも悪くない選択である。ただし実際に値上がりするかどうかは別の話。先回りではなく、実際の値動きについていくほうが良い」となります。


市場参加者が注目し始めた材料は、今回のテーマのような一時的なものだけではありません。ずっと続く業績などのファンダメンタルズや、テクニカル指標ですら、市場参加者が注目し、売り買いを始めれば、旬の材料となりえます。


そして、一度その材料が注目を浴びると、今度はその変化で、ポジションの整理や積み増しが行われるようになるのです。逆に言えば、どんなに良いとも思える銘柄でも、相場は誰かが買わなければ上がりません。


このことをより深く理解するために、他の選択肢を見てみましょう。


(1)テーマで儲けることは可能。ただし、相場参加者の大半がテーマを認識した後の段階で手を出すようでは遅い。「噂で買って事実で売る」の格言のとおり、他を差し置いて関連銘柄を買っていける情報収集力が必要である


相場は、情報戦争だと言われます。では、「他を差し置いて関連銘柄を買っていける情報収集力」があれば、勝負に勝つことができるのでしょうか?


誰より先に情報を得るということは、その情報の真偽を確認する手段を持たないということです。もし、部外者以外誰も知らない確実な情報を得たとすれば、それはインサイダー情報で、その情報をもとに株式を売買すれば罰せられます。つまり、相場における情報を素早く得るためだけの戦争は、実りのない戦争なのです。


また、情報戦争などとはとても呼べない、一般的なニュースソースから得た情報が、100%企業業績のプラスに結びつく重大な情報だったとしても、それをもとに株価が上がるかどうかは分かりません。


つまり、情報の真偽、情報の価値と、株価との間の関係は密接とは言い難いのです。もし、密接な関係があるならば、業績の良い株は、少なくとも割高になるまでは買われ、赤字企業の株は、必ず売られることになります。


(3)わざわざ誰かの言い出したテーマなどに耳を貸さなくても、テクニカルや業績から買っていける銘柄は他にたくさんあるはず。人の行く裏に道あり花の山、このようなお祭り騒ぎとは一定の距離を置くのが得策である


業績などのファンダメンタルズ分析は、企業の価値を知るものです。ところが、企業価値と株価とには密接な関係がありません。好財務、好業績、超割安という銘柄が必ずしも値上がりするとは限らないのです。それでも、そういった銘柄は、年単位の時間をかければ値上がりする確率が高まりますが、その期間に経済環境が変化したり、その企業に固有の問題が発生したりすると、ファンダメンタルズの土台が崩れてしまいます。


また、テクニカル分析とは、過去から現在までのデーターをもとに、価格の未来を予測するものです。予測ですから、必ず当るというものではありません。外れると、それが新しいデーターとなり、そのデーターをもとに価格の未来を予測します。そして、その予測は、これまでのもとのは全く別物になっています。例えば、支持線が保たれている間は、上がるとしていたものが、下抜けてしまえば、下がるとなるのです。


もっとも、予測が当っても、データーは変化しますので、次の予測は変わってきます。例えば、上げるという予測が的中すると、今度は買われ過ぎになっている可能性があるのです。


つまり、テクニカルや業績について、あなたの見方が正しくても、必ず儲かるというものではありません。お祭り騒ぎとは一定の距離を置き、人の行く裏に道あり花の山を行っても、その道の脇は、死屍累々たる有様かも知れないのです。相場は人がつくりますので、人が行かない道は危険が一杯なのです。


相場は誰かが売り買いしないと動きません。分かりやすい、相場フレンドリーなテーマがあると、買い手はより多く買い、より長く持ちます。そうすると相場は上がるのです。その意味で、テーマと言う名の、旬な材料に注目することは大切です。


とはいえ、どんなに見方が正しくても、上がるかどうか分からないとすれば、値動きを見て、上げかけている銘柄を買う方が効率的だと気付きます。したがって、今回の問題の正解は、(2)の「多くの参加者が見込め、活発な売買が期待できるという意味では、テーマで銘柄を絞りこむのも悪くない選択である。ただし実際に値上がりするかどうかは別の話。先回りではなく、実際の値動きについていくほうが良い」なのです。


そして、思惑とは違っていたなら、損切る必要があるのです。


ここで、何が旬な銘柄か? 多くの人が、どんな銘柄を注目し始めたのかを知ることができれば、テーマそのものへの理解が足りなくても、むしろ当り外れなく上げそうな銘柄に行き着くと考えることができます。出来高の変化に注目するのです。


出来高が急増するということは、その銘柄に何らかのテーマが関わっている可能性があります。仮に、思い当たるテーマが見当たらないとしても、誰かが売買し始めたという事実には変わりがありません。その観点から出来高を見ていくと、出来高の急増は相場の転換点を暗示していることに気付くのです。


そこで、私は、出来高急増に注目した、売買シグナル・システムを開発しました。ご興味のある方は、エスチャートのウェブ・ページ( http://s-chart.com/ )をご覧下さい。


皆さまがもっとアクセスしやすいように、このページを改良する予定でいます。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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