あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今週の解答

[ニュースに関する問題]

あなたが注目している銘柄の1つが午後2時半すぎに急落しました。数分前、大手ポータルの株価情報ページに「不祥事で社長逮捕」のニュースが掲載されたのが材料のようです。しかしあなたはいち早く、不祥事をおこしたのは名称の酷似した別の企業で、実際には注目銘柄と何ら関係がないことを突き止めます。株価はストップ安に張り付きました。取引時間は残り数分、あなたならこの状況をどう生かしますか?

正解は・・・
(1)株価は誤報に反応して下落していると思われるが、一方で、まったく別の理由で大量の売りが出ている可能性もある。いまこの瞬間、自分に優位性があるのは確かだが、リスク許容度を考慮し、慎重に買いを入れたい

悩ましい展開です。売られている事実には逆らえないが、間違った事実に基づいている可能性が高いからです。このような時には、後で振り返った時に納得がいく行動を取っておくことで、ほどほどの結果が得られるようにしておきます。正解は(1)の「株価は誤報に反応して下落していると思われるが、一方で、まったく別の理由で大量の売りが出ている可能性もある。いまこの瞬間、自分に優位性があるのは確かだが、リスク許容度を考慮し、慎重に買いを入れたい」となります。


通常、ストップ安で買いを入れるのは危険です。ストップ安では、中途半端なところで下落を止められますので、市場が売り圧力をどれだけ吸収できているかが分からないからです。そんなところで買ってしまったなら、連日のストップ安で、目も当てられないことにもなりかねません。


ここで選択肢(2)の、「株価は間違ったニュースに反応して下落している。社名の取り違え程度なら一晩で十分に材料は消化され、その後の急反発は必至。このような千載一遇のチャンスを逃していては相場で生き残れない。余力一杯で買い向かいたい」のように、あなたのすべてを賭けて負けたなら、破滅に近い損失を抱えてしまうのです。


もう一度よく考えてみましょう。あなたがいち早く手にしたと思っている情報は、本当にあなたなど少数の人だけのものでしょうか? ストップ安水準に張り付いている間がそれほど長い時間でなくても、そのニュースは市場に浸透していくものです。にもかかわらず、安値から上げることができないのは、売り手は別の情報を手にしているかも知れないのです。


他の市場参加者が実際に何を考えているかを知るのは、事実上不可能です。大きな手掛かりは値動きなのですが、それがストップ安に張り付いているために、判断の材料には使えません。ここで、市場の引け間際に闇雲にリスクを取り、翌日の展開は神頼みとするようなことは、もはや投資というより、一か八かの大博打です。


ところが、あなたの思うように全くの事実誤認をもとに、あなたが注目している銘柄が売り込まれているとすれば、真実が明らかになれば、売っていた人たちが慌てて買い戻すのは、ほぼ確実です。今日のストップ安が、明日のストップ高になっても、おかしくはないのです。


その時(3)の、「株価下落の原因は明らかに間違ったニュースにあるが、取引時間中の突発的な材料に飛びつくのは大やけどのもと。大引けまで残り数分という状況で、慌てて注文を入れるのはなおのことリスクが高い。我関せず、静観が正しい」のように、何も買っていなければ、せっかくの収益チャンスをみすみす逃してしまいます。


知らなくて儲けられないのは仕方がないでしょう。でも、知っていながらリスクを恐れて動かなければ、何も得ることができず、臍をかむことにもなります。「人はやったことの失敗には、あまり後悔しないが、やりたくてやらなかったことは、諦めきれないものだと言うではないか」といったようなことです。


これでは、ああでもない、こうでもないと、先に進むことができません。後悔はしたくないが、身の破滅も避けたいのです。


こういった状況は相場に関したことだけではありません。人生には、どうしても白黒をはっきりさせねばならないこともあるでしょう。ところが相場では、投入金額を調整することで、ほどほどの結果が得られるようにできるのです。


買うのは、翌日もストップ安で寄りついても、破滅までには至らない金額に抑えます。翌日になれば、情報がそれなりに揃いますので、改めて進退の決断ができます。思惑通りに急騰すれば、大儲けとはいかないまでも、小遣い稼ぎにはなるのです。


株式投資の必勝法として「勝ったらやめる」という人がいますが、「上がり」になるほど勝てるということは、「負ければやめさせられる」ほど張るということです。そんな一世一代の大勝負を、このようなニュースの誤認騒ぎで使い果たすこともないでしょう。


勝負は明日も、明後日も続きます。リスク管理は重要です。ここでの正解は、「(1)株価は誤報に反応して下落していると思われるが、一方で、まったく別の理由で大量の売りが出ている可能性もある。いまこの瞬間、自分に優位性があるのは確かだが、リスク許容度を考慮し、慎重に買いを入れたい」となります。

残念ながら不正解だったあなたは・・・

実際に運用をする前に、ほかの「ニュースに関する問題」で、さらに勉強しましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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