あなたの答えは、正解 です!

今週の解答

[ニュースに関する問題]

少し前からFXを始めたあなた。為替相場は、ここ2週間ほどで円高が進行し、あなたの建てたドル円ショートポジションには200ポイント(2円)を超える含み益が乗っていました。そんな時、「米軍が某国への侵攻を決定」のニュースが流れ、相場は一転ドル全面高の展開に。あれほどあった含み益がすべて消えてしまいました。ここからの取引方針として正しいのは?

正解は・・・
(3)材料への反応やショートカバーが一巡した後の相場は短期的にはどちらにも動きうるが、まずは現在のポジションを解消すること。そして冷静な頭で改めて今後の戦略を練ることが重要である

この問題を考える時に、まず確認しておきたいのは、あなたがどういう理由でドル円をショートしたのかと言うことです。一般的に、当初に想定していなかったことが起きた時には、いったんポジションを閉じるのが賢明です。


その意味で、正解は(3)の、「材料への反応やショートカバーが一巡した後の相場は短期的にはどちらにも動きうるが、まずは現在のポジションを解消すること。そして冷静な頭で改めて今後の戦略を練ることが重要である」となります。


FXに限らず、相場でポジションを取る時には、ポジションを取る理由を明確にしておく必要があります。さもないと、利食いや損切りの判断の根拠に乏しくなるのです。根拠がしっかりとしていないと、判断が遅れ、タイミングを逃すことにも繋がります。


例えば、失業率の改善を見越してドルを買っていたなら、失業率が悪化したなら、迷わずに売ることができます。また、割安を根拠に買っていれば、割高になれば持っている理由がなくなります。あるいは、金利差を目当てに買っていたなら、金利差の縮小は売る理由になるのです。


もっとも、ポジションを取る理由が1つだけということは、ほとんどありません。つまり、金利差が逆転していて、もはや割安とはいえなくても、失業率の改善を見越して買ってもいいのです。そんな時には、メインの理由を重視しながらも、バランスの変化を見ます。


今回の「米軍が某国への侵攻を決定」といった新しい材料は、これまでの売買理由のバランスを崩してしまいます。いわば、想定外の事態なので、これまでの考え方を変える必要があるのです。


相場では、常に売り買いの要因が交錯しています。だから売り手と買い手がいるのです。そこで、一応はすべての要因に注意を払うのがベターだとはいえます。ところが、相場の方向性にとっては重要な要因でも、今現在は誰も注目していない要因に、市場が反応することはほとんどありません。実戦的に大事なのは、投機筋など、市場の大勢が注目している「旬」な材料を知ることなのです。


今回、あなたのポジションがそれなりの含み益になっていたということは、あなたが意識していないまでも、「旬」な材料に乗っかっていた可能性があります。それが、想定外の新しい材料が加わったために、含み益が消えてしまったのです。


今後の展開は、その新しい材料が、市場の大勢が注目する「旬」な材料に格上げされるかどうかにかかってきます。それは、もちろん、その材料がどう発展していくかにもかかっています。今回の問題の場合には、全面戦争になるか、小競り合いで終わるかでも変わるのです。


そのことを、あなた自身がどう確信しているかより、市場の大勢がどう捉えているかが重要です。今の時点では、誰にも分からないので、市場の大勢はいったんポジションを閉じたのです。あるいは、市場の反応を試すために、大手の投機筋が「有事のドル買い」というパターンを利用して、いったん買い上げて見たのです。


あなた自身も、いままでの相場観はいったん捨てて、新しい展開に備える必要があります。


ポジションをとる理由は、値動きや、テクニカル分析でも構いません。ファンダメンタルズや材料を追うことなく、単に値動きに反応するだけでも、同じような行動に繋がるのです。下げている間はショートポジションをキープしながらも、ある程度戻されたなら、そのポジションを閉じればいいのです。


テクニカル的に動く場合には、レジスタンスまではショートをキープし、抜けたらロングに入れ替えるのもいいでしょう。


いずれにせよ、新しい事態の出現に、(1)や(2)のように、ショート、ロングと決め打ちすることは避けた方がいいのです。ポジションを取るのは、市場がどう反応するかを見極めてからでも遅くはありません。


正解は(3)の、「材料への反応やショートカバーが一巡した後の相場は短期的にはどちらにも動きうるが、まずは現在のポジションを解消すること。そして冷静な頭で改めて今後の戦略を練ることが重要である」となります。

見事正解だったあなたは・・・

油断は禁物、ほかのカテゴリの問題にも挑戦してさらにセンスを磨く努力を怠らないようにしましょう。

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プロフィール

【監修】矢口新(やぐち・あらた)
テクニカル指標の成績表

1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。著書『生き残りのディーリング決定版』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は会社社長兼ファンド・マネージャーとして、資本金を株式市場などで運用。主著に『実践・生き残りのディーリング』『なぜ株価は値上がるのか?』など。新著『テクニカル指標の成績表』は2009年11月11日発売。

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